平成11年第2回定例会(自614日 至622日)

世田谷区議会会議録

2000年6月15日 一般質問


○山内彰 議長 次に、五番木下泰之議員。
   〔五番木下泰之議員登壇〕


◆五番(木下泰之 議員) 通告に基づき一般質問を行います。

 私は、前期議会で石綿英一氏が会長を務める経堂駅周辺街づくり協議会が区の御用機関にすぎず、副会長であった高品氏を初めとする小田急線の地下化推進の意見を持つ人々を、規約改正まで強行的に行って意図的に排除した不当な団体であることを指摘し、その解散を求めてまいりました。ところが、不当にもこの団体は条例に基づく街づくり協議会として存続し、去る四月には、まちづくり案をまとめ、区長に提出するに至っています。そして、区は、この提案をたたき台に区のまちづくり案をまとめると言っているのであります。この協議会が犯した誤りは数限りがありません。提出に当たって、都市計画道路及び周辺用途計画を含む広域案をまとめたものの、そもそも参加住民の範囲を狭くとっていたために、総会でこのことを住民から指摘されると、広域的なまちづくりのコンセプトはそのままに、はみ出た部分だけを消し去って、区に提案として提出しております。

 一二八号線、五二号線、一三三号線の提案が総会で拒否されたのだから、まちづくりのコンセプトを抜本的に見直さなければならない。そのためには十分な話し合いと期間も必要なはずであります。ところが、三本の道路計画及び周辺計画のみを消し去って、一週間後には提出している。これほど便宜的かつ地域住民を愚弄した提案もないわけであります。このような提案は無効であると考えますが、区のご意見をお伺いしたいと思います。

 さて、もっと本質的なことを改めて指摘しておきましょう。そもそも連続立体事業とは何であるのか。法令的に言って、これはまちづくりと一体のものであります。昨日、本会議での他会派の代表質問に理事者側が答えて、梅ケ丘以東の連続立体事業について次のように言いました。構造形式を早く決めていただいて、まちづくりを行いたい。これは全く逆さまの論理であります。まちづくりと構造形式は一体でありますし、連続立体事業は道路事業でもありますから、鉄道の形式あるいは道路の形式も含めて、これから道路についてはつくるかつくらないかも含めて検討しなければならないのであります。

 少なくとも連続立体事業の根拠法令である建運協定には、連続立体事業をまちづくり事業として位置づけてあり、そのため、まちづくり調査も含めた連続立体事業調査を事業主体に、小田急の場合は東京都ですけれども、義務づけているわけであります。国が補助金を出して行う法定の調査です。建設省の定めた調査要領では、地元自治体を通じて住民のまちづくりについての意思を連続立体事業に反映させることになっているわけです。

 したがって、高架計画を決めてしまってから行われている六駅でのまちづくり協議も、現在、梅ケ丘以東下北沢地域で行われている連続立体事業調査も、その法定の手続にすらのっとっていない違法なものだということを指摘しておきたいと思います。区のご見解をお聞きしたいと思います。

 昭和六十二年、六十三年の連続立体事業調査について言えば、報告書さえ区民が情報公開裁判で基本部分の公開をかち取るまで、区は一切東京都から知らされていなかったと言い張り、この調査への住民の意見を反映させることを怠ってきたことの責任、高架を前提とした後づけでのまちづくり協議しか行ってこなかったことについての責任について、区としてどのように考えているのかのご見解を示していただきたいと思います。

 次に、千歳台のインドアテニスコート建設計画についてお尋ねいたします。

 この屋内テニスコート建設計画は、現在、アウトドアで四面の貸しテニスコートとして営業している土地に、二面のインドアテニスコートをつくることを計画しているものであります。住宅地に接近して十メートルもの高さの体育館様の建物が建つということで、周辺住民が建築の変更を求めて区議会に陳情するに及んでおります。現在、三千五百二十七平米の貸しテニスコートが存在するわけですが、道路から二十メートルが第一種住居、それから先は一種低層となっております。この土地は一種低層部分が広い土地ですので、遊戯施設は本来建てられないわけですが、一種低層部分の土地の東南側七百六十七平米を切り離し、残りの二千七百六十平米を敷地とすることで一種住居地域の用途で同遊戯施設の建築を可能にしようと申請を計画しているものであります。切り離した七百六十七平米については、住民にはアウトドアのテニスコートをつくると言い、行政に対してはアパートを建設するとも言っております。この計画は、二重の意味で脱法を試みております。

 第一に、同一所有者の敷地を恣意的に区分けすることによって用途をクリアさせようとしているものであります。そして、第二には、敷地を三千平米以下に抑えることによって、世田谷区の環境条例にはかからないことをもねらっているわけであります。先日、この問題は都市整備委員会での請願審査になりましたけれども、区の説明が、この恥ずべき脱法行為に対して寛大であることに驚きました。当初、理事者側からは法律的にはクリアしているとの説明がなされたわけであります。果たしてそうでしょうか。第一の点を許せば、土地の用途行政は死んだも同然です。第二の点は、三千五百二十七平米の土地を改変するわけですから、環境条例に適用されるのは当然であると考えます。脱法行為は法の趣旨に反する行為として、まさに違法と認定されるべきであります。ご見解をお伺いしたいと思います。

 次に、家賃補助での弱者切り捨てと地主優遇についてお伺いいたします。

 世田谷区は、建設・住宅部住宅課が高齢者、障害者、ひとり親世帯住み替え家賃助成の見直しを行いました。住宅政策を考えるとき、弱者保護の政策は必要であり、家賃補助も軽々に減額、廃止すべきではないと考えます。多くの方がそう考えていると思います。

 ところが、この弱者対策としての家賃補助をばっさり切っておいて、一方で「せたがやの家」の一般型については、新築については休止したが、制度としては廃止はしていないし、家賃補助については継続していく方針をいまだにとっているのであります。いち早く切るのが弱者への家賃補助であり、一方で、強者である地主に対する家賃補助を継続するというのは合点がいきません。ちなみに、高齢者、障害者、ひとり親の家賃補助は年間一億八千万円の予算であり、「せたがやの家」の補助は五億四千万円であると聞きます。プライオリティーは一体どうなっているのかお尋ねしたい。

 そもそも福祉の対象とはなり得ない中堅所得者に対して、当たった人はもうけものといったような「せたがやの家」一般型を存続させておくこと自体、おかしいと考えます。一部の地主や中堅所得者が恩恵をこうむるこの制度は平等原則を逸脱しており、憲法違反ではないかとも考えられます。弱者対策としての家賃補助は存続すべきであるし、財源確保の観点から言えば、地主優遇、一部中堅所得者優遇の「せたがやの家」の一般型の制度の廃止こそ求めるものであります。見解をお伺いいたします。
 以上、壇上からの質問といたします。


◎小畑 世田谷総合支所長 まず、経堂駅周辺街づくり協議会と同協議会から提出されたまちづくり案についてのご質問にご答弁申し上げます。

 経堂駅周辺街づくり協議会は、地域の住民の方々が小田急線連続立体交差事業を契機に、経堂駅周辺のまちづくりの課題に地域で取り組んでいこうと、平成八年十一月に発足した自主的な組織でございます。これまで数多くの協議会、運営委員会、見学会、分科会等を通じまして、まちづくりの検討や研究を重ね、活発な意見交換や提案等を行いながら活動が行われてまいりました。

 今回、区へご提案いただきましたまちづくり原案の作成につきましても、このような過程の中でつくられたものと理解しております。四月十四日開催の協議会の場では、新たに協議会に参加されました方々から、既に都市計画決定されている計画道路の扱い、あるいは協議会エリアと検討エリアの関係等について意見が出されたとのことでございます。これにも配慮する形で修正が加えられ、計画原案として区に提出いただいたものでございまして、区といたしましては、提出された計画原案は地元の方々の意見が反映、集約されたものと認識しております。
 以上でございます。


◎原 都市整備部長 小田急連立の関連、まちづくりについて、二つお尋ねをいただきましたので、お答えします。

 まず一つ、昨日の梅ケ丘以東のことについて構造形式云々ということについてでありますが、このように私どもは考えております。特に下北沢については、構造形式とまちづくりというのは密接な関係があり、どちらかが条件が決まらなければ決まらないという面もありますけれども、相互にその条件を出しながら検討していくということで、決して建運協定の違反というようなことではなく、地元のまちづくりと構造形式を一緒に一生懸命考えているところであります。

 それから、次の質問、昭和六十二年、六十三年の東京都の調査との関連ということでありますが、東京都が実施しましたこの連続立体交差事業につきましては、関連事業計画として駅周辺整備の検討がなされたということでありまして、この時点で周辺のまちづくりについて何かが決定されたという認識は区としては持っておりません。

 この調査を受けまして、平成三年に連続立体交差事業の採択が建設大臣によってなされて、採択後、区として六駅の周辺まちづくりについて必要な調査を行い、平成八年にまちづくり構想案としてまとめたものを地元の皆様にお示ししながら、さまざまな検討を積み重ねてきているということであります。

 その後、各駅の地元の方々により結成されたまちづくり協議会あるいは懇談会等において、駅周辺のまちづくりについて活発な議論がなされ、経堂につきましては、今、総合支所長がお答えしたような方向で進んでおるということでございます。

 六十二年、三年の調査と、私ども、まちづくりの計画についてはそのように認識しております。
 以上です。


◎八木 砧総合支所長 千歳台におきます屋外テニスコートの建設計画についてお尋ねがございましたので、私の方からお答え申し上げます。

 本件は、ことしの二月、小田急線祖師ケ谷大蔵駅の北側約九百メートルにございます。現在、四面のテニスコート、二階建てのアパート、駐車場などがある土地を利用いたしまして、屋内テニスコートをつくろうという計画でございます。中高層建築物等の条例によりまして看板が設置されたことに伴って表面化いたしました。

 この計画は、第一種住居地域と第一種低層住居専用地域の二つの用途地域にまたがってございまして、運動施設は第一種住居地域には計画可能でございますが、第一種低層住居専用地域にはできないということになってございます。建築基準法では、第一種住居地域の敷地面積が全体の計画面積の過半を占める場合には運動施設が可能であるという規定がございます。本件計画は、この規定に沿って計画されたものでございます。

 一方、地域住民の方々の要望は、日影や圧迫感などのほか、本来第一種低層住居専用地域では建てることができない運動施設が周辺住民の近くに建てられることから、第一種住居地域の方向へ移動できないかという内容でございます。

 この件につきましては、四月二十五日、中高層建築物等の条例に基づきましてあっせんを行いましたが、双方の調整がつかず、打ち切りの状態になってございます。

 なお、ご指摘の件でございますが、建築基準法の観点からいたしますと、法的には問題はないと考えております。

 なお、環境基本条例との関連についてもお話がございました。建築物等の建設については、環境基本条例によりますと、敷地面積三千平米以上が該当となります。しかし、現在、事前協議で提出された申請書では、屋内テニスコートの建築物の敷地面積が二千七百六十・四二平米でございますので、敷地面積に関する限り、環境基本条例の基準を満たしておりません。しかし、残りの敷地に例えば屋外テニスコートを残すというようなことになりますと、その時点で一体の敷地と考えられますので、その旨、建て主に説明はしております。

 いずれにいたしましても、本計画はまだ確定をしておりません。事前の相談の段階でございまして、現在調整中でございます。したがいまして、適法、不適法の判断をする状況ではないと考えてございます。
 以上でございます。


◎岡沢 建設・住宅部長 住み替え家賃助成制度の見直しというのは、弱者を切り捨てる政策ではないか、こういうお話がございました。

 住宅施策は、これまでにも社会情勢の変化に応じて施策を展開してまいりました。住み替え家賃助成制度につきましては、現行の制度がバブル経済期の地上げによりまして移転を余儀なくされる高齢者等の方に対する措置として、都を初めとして二十三区及び一部の市を含めて展開してきたものでございます。

 制度の見直しに当たっては、他の関連制度、福祉の関連制度ということですけれども、そのバランスを見ながら、時々の社会経済状況等を勘案しまして、より適切な制度運営を行うことを基本としてまいりました。

 この住み替え家賃助成につきましては、今度のアクション・プランにもありますように、制度を直ちに廃止するというものではなくて、制度を継続する方向での見直しであり、本制度の対象者が公営住宅へ入居するまでの経過措置として位置づけるための見直しであると、このように認識しております。

 また、補完措置として身元保証制度ですとか、公営住宅への優先的な入居制度などの導入を検討する、あるいは図っていく予定となっております。対象者には配慮した見直しの内容であるというふうには思っております。

 一方、「せたがやの家」の家賃制度でございますけれども、これは住み替え家賃助成制度同様の時期に、地価高騰によるファミリー層の区外流出を防ぐなどの目的から、国の特定優良賃貸住宅制度を──これは特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律に基づくものでございますけれども、それによりまして活用して、同じく実施してきたものでございます。

 それぞれ意味のある施策と認識しておりますけれども、この制度につきましては、昨今の経済状況から、ファミリー向け住宅につきましては市場にゆだねることが適切と判断いたしまして、新規の建設を休止している、こういうものでございますので、ご理解をいただきたい。
 以上でございます。


◆五番(木下泰之 議員) まず、テニスコートについてお聞きしますけれども、これは、要するに同じ所有者の持ち分を恣意的に切り取っているわけですね。しかも、東京都で調べたら、三つに分かれておりまして、ただ、その分かれ方と今度の建て方は全然違うわけですよ。それで、こういうことを許しておくと、幾らでも一種住専とか、つまり用途地域の指定が全くきかなくなってしまう。こういったことについては、よくよく趣旨等に照らしていけば、これは違法であるというふうに私は認識しますし、経過等をいろいろ見ていけば違法だというふうには考えますので、この辺についてもう一度、そういったことが本当に正しいのかどうか、そのことについてお聞きしたいと思います。

 それから、家賃補助については、一方で弱者、これは完全にはしばらく経過措置がありますけれども、最終的にはなくしていくということも決めちゃっているわけですね。それから減額もしていく。しかし、一方で、「せたがやの家」については新規募集は打ち切るけれども、廃止するわけではない。休止するというふうに言っていて、まだこの制度が続いていく。もはや、この時点においては廃止するということを言い切った方がいいというふうに思います。その点についてお聞きしたいと思います。


◎八木 砧総合支所長 ただいまの土地の所有者が同一ではないかというお話がございました。

 土地の所有関係と土地利用関係とは別の問題と私どもは考えてございます。本件に関する限り、先ほど申し上げたとおりでございますので、現在、適法、不適法の判断をする状況ではございませんので、改めて繰り返し申し上げます。
 以上でございます。


◎岡沢 建設・住宅部長 「せたがやの家」について、廃止してしまえばいいじゃないかというお話でございますけれども、これにつきましては、一応契約では二十年という形でオーナーの方と契約をしてございます。

 また、今後につきましても、平成七年から人口がだんだん戻ってきているという状況がありまして、これらのために存続の意味といいますか、今あるやつを続けていくという意味はあるんではないかというふうに思っておりますので、そんな観点から、この政策については廃止はできないというふうに考えております。
 以上でございます。


◆五番(木下泰之 議員) 社会政策として間違っているというふうに私は申し上げておきます、今の住宅の補助について、「せたがやの家」について。
 それから、もう一つ、まちづくり協議会について調査との関係ですけれども、調査の要綱では、現地踏査についてこう書かれているんです。行政当局、関係機関、住民などの都市の現状に対する問題意識、意見を聴取するとともに、実際に現地を踏査し、地域の抱えている問題とそれに対応するまちづくりのビジョンを具体的に把握する。現地踏査は調査の進行において何度も行うことが望ましい。こういった調査について、世田谷区は本来は受けていかなければいけないし、住民の意見も聞かなければいけない。そういったことを六十二年、六十三年の調査のときに一切やっていないわけですよ。それから、まちづくりの下北沢についても今ですらやっていない。そのことが非常に問題なわけです。後づけで決めてから、幾らまちづくりについて、高架が決まってしまってからそれに合わせてやるというようなことは間違いである、そのことについてどうですか。


○山内彰 議長 何かお答えはございますか。
 以上で木下泰之議員の質問は終わりました。(「議長、議長」「質問じゃないでしょう、今の」と呼ぶ者あり)


○山内彰 議長 ありませんね。(「答弁はさっき聞いたじゃないですか」「質問じゃないでしょう、今の」「何を言っているんだ」と呼ぶ者あり)


○山内彰 議長 以上で木下泰之議員の質問は終わりました。

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