2000年3月17予算委員会質疑<保健福祉委員会所管>准看護婦制度の廃止を


○荒木 委員長 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆木下 委員 ここに三月十一日の朝日新聞の夕刊があるんですけれども、これに都立母子保健院でうつ伏せ寝の児童が窒息した事件、これは一九九八年の十月二十日なんですけれども、これについて、最近、損害賠償請求事件が起きているのがわかったと、そういうことが載っているんですね。
 ずっと見ていきますと、都立の広尾病院での事故の際に書類送検された前同病院院長らとともに、「『過失が極めて明白な場合を除き、病理解剖がぜひ必要だと遺族に承諾を求める』とし、警察への届けを避けるよう求める『医療事故・医事紛争予防マニュアル』を作成していた」というふうに書かれているんですけれども、この事件について、世田谷区としてはどのように把握されていますか。

◎向山 健康推進課長 申しわけありません。特に後段の方にお話がございました都立広尾病院の医療事故につきましては、私ども保健衛生行政にあずかる立場からも非常に残念ということと、特に法的な部分、病理解剖をどういった形でする、あるいは異常死体を発見した、あるいは検案した医師が二十四時間以内にどういった形で届け出をするというような、特に法的な部分を踏み越えて密室的な対応を行ったということは非常に強く残念に思ってございます。

◆木下 委員 世田谷区内にある病院のことなので、その辺についてどう思うかをお聞きしたんですけれども、十分調べておられなかったら、これはやっぱり状況把握をきちっとされた方がいいと思います。
 といいますのは、これは病理解剖がぜひ必要だというふうに言って、これは警察に届けをなかなか出そうとしなかったんですよ。それで、遺族の方が結局は司法解剖に付してもらって、それで今、裁判になっているという事件なんですね。これは重要な流れですので、ぜひ把握しておいていただきたいと思います。
 ここで、実は看護婦さんが関係しているわけですね。それで、私、前にもここで質問したことがあるんですけれども、准看護婦学校の件なんですが、世田谷区はまたことしも、医師会立の准看護婦学校に二百八十万円の補助金を出そうとしているんですけれども、今、この准看護婦学校はどういうことをされていますか。つまり、准看護婦の養成が中心ですか。

◎亀田 保健福祉調整課長 ご質問の看護学校でございますが、世田谷区医師会立の看護高等専修学校というような名称でございまして、二カ年で准看護婦の方を養成するということで、現在、約五十名の生徒さんがおられまして、二カ年で准看護婦の養成をしている、そういう学校でございます。

◆木下 委員 一九八六年の暮れに准看護婦問題調査検討会の報告書というのが厚生省から出まして、二〇〇一年までに、二十一世紀の初頭に准看護婦制度は廃止していく、看護婦に統合していく、そういう方針が出てきているわけですけれども、日本医師会等の強力な反対によりまして、それがとんざしている形になっているわけですね。
 補助金を出すということは区の裁量なわけですから、要するに、そういう移行についてのことをやらないところに、そういう準備をしようとしないところに対して補助金を出す必要はないんじゃないんですか、いかがですか。

◎亀田 保健福祉調整課長 今、委員のお話のございました報告書のその後の経緯でございますけれども、一番の問題といたしましては、看護婦の資質向上かと思われます。今回の報告書の関連でございますが、実はその後の経過といたしまして、資質向上のためのカリキュラム改正の検討がなされまして、平成十一年六月に報告書がまとまっております。その取り扱いが確定いたしまして、内容でございますが、二年後の平成十四年になりますと、履修時間ですとか履修科目、これらが拡大されていくこととか、専任教師につきましては二名以上となっておりますのを五名以上にするとか、あと、実習施設等の規定もございまして、資質向上に向けた取り組みということで新たな動きが出てございます。そのようなことを、今後、区としても期待していきたいと思っております。

◆木下 委員 要するに、准看護婦制度をやめていくという方向性については、区としてはどういうふうに考えているんですか。

◎亀田 保健福祉調整課長 前回の議論でもお話し申し上げたかと思いますけれども、この准看護婦につきましては中卒後二年で資格が取れる。いわゆる看護婦ですと高卒後三年以上ということで、資格としましては二段階あるということでございます。ただ、法律的には医師の指示の違い等ございますが、一応同じレベルでの処置ができるということになっております。(「もういいです」と呼ぶ者あり)

◆木下 委員 結局、時間がありませんので申し上げますけれども、医療現場はやはりかなり大変なわけですよね。そういった中で高度な知識も必要とされてきている。しかし、医学関係のいろんな職種の中で、中卒で二年間の学校に行っただけで資格が取れるというものはないわけですよ。それは旧来の悪弊として残っていて、医療の看護現場でもさまざまな混乱を来しているわけですし、それから、最近、医療過誤が非常に続いているわけですよ。
 北海道の名寄市で、かつて准看護婦さんが准看護婦さんに指示した形で、牛乳を点滴にやっちゃって、それで死亡させたというような事故などがあって、それをきっかけに名寄市では、短大ができるということをきっかけにして准看護学校をやめて、むしろ准看護婦さんを正規の看護婦さんにする指導機関にするような、そういう措置までとっているという、そういうニュースもあるわけです。
 そういった意味から、准看護婦さんというものをどう考えていくのかということについて、それは区としてはきちっと方針を出すべきだと思うんですね。これは看護婦協会と日医との間で非常に対立のある点ですけれども、しかし、趨勢としては、もう厚生省の方で移行していくという方針は決めているわけですから、何も日医の圧力に負けずに、やはりそういう方向で運用していくようにするべきだと思うんですね。
 それから、医療機関への就業義務づけの禁止とか、就学金の運用の適正化とか、補助看護法違反の業務への従事問題、つまり、違法にやらせているとか、そういうことについての調査みたいなことはされていますか。

◎櫻田 保健福祉部長 准看護のあり方については、国の動向を先ほど課長が申しましたので、その方向を見守っていきたいと考えております。
 今後ですが、その方向を見ながら、現実に准看護婦の役割というのは非常に強いものがございますし、それから、今言われておりましたが、お礼奉公的なものは、私どもの方で出している学校では最近ほとんど見られない。現にPTAなどは、今回でやめたというような経緯もありますので、正看に移る過程として再就職をしてくる方々の受け皿になっている、そういう面もありますので、しばらく動向を見守っていきたいと考えております。

○荒木 委員長 以上で無党派市民の質疑は終わりました。
 ここでしばらく休憩いたします。
    午後零時七分休憩

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