2000年3月14予算委員会質疑<企画総務委員会所管分>


○荒木 委員長 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。


◆木下 委員 新しい公共という言葉が盛んに使われているわけなんですけれども、内容を聞きますと、要するに区民と事業者と区が三者協働でいろいろ進めるんだ、そういうようなお話があるわけですね。ただ、これが本当に新しいのかということですね。むしろ、日本の行政というのは、ある意味で日本というのは役人国家でして、江戸時代からおかっぴきなんかもそうですね。ある意味で手先になってということもあったり、それから町会も昔からあったし、ある種のボス支配がそこで行われている。

 そういう町とのつながりというのは昔からあって、それで、戦後の日本の民主主義の歴史を見ると、むしろ、そういう昔からの支配ではなくて、きちっと市民社会としての規範を持った人たち、そして役人は役人として区別する、事務は事務屋として粛々と仕事を行う、そういうことがやっぱり確立していない、そのことがむしろ問題なんじゃないかと思うわけですよ。

 去年の秋の議会でも、例えば東急との協定書の問題が浮かび上がってきたり、それから、小田急との協定書の問題が浮かび上がってきたりしているわけです。これは結局、今言うところの新しい公共というものがこういう実態だとすれば、何も今さら新しい公共と言う必要はないと思うんですよ。

 そこで、例えば世田谷では外郭団体が十三ほどありますけれども、そこの事務局長ポストというのは区以外から参加している方はいますか。つまり、区の職員関係者じゃない方がやっているということはありますか。


◎千葉 政策担当課長 事務局長というのは、ほとんど区の現職の派遣、あるいはOBということで占めていると思います。


◆木下 委員 新しい公共と殊さらに言うんでしたら、例えばこういった外郭団体についての事務局長ポストなどは、本来、民間の方がやった方がいいポストだってたくさんあるわけですよ。そういうことが一切ない。それから、今回の基本計画とか実施計画等を見ても、そういうことをやっていこうという気配も感じられないわけですね。

 例えばこの中でトラスト協会というのがありますけれども、これの事務局長さんは環境部長さんだった方ですよね。給料はお幾らですか。


◎千葉 政策担当課長 報酬額ということで申し上げますと、部長級で退職をされて、形としてトラスト協会に事務局長として入られている。ただ、馬場事務局長につきましては、基本的にはトラストに現職で一度行かれてという経過をたどっています。部長級の、いわゆる外郭団体、財団法人が一番目になりますけれども、一応年間報酬額としては約五百五十万円でございます。


◆木下 委員 五百五十万円が高いか安いかというのはいろんな価値観があるんだけれども、このトラスト協会の十二年度予算の中で寄附金額というのは幾らになっていますか、わかりませんか。寄附金額の予算が四百四十九万二千円になっているんですよね。つまり、事務局長ポストの給料より寄附金額の予算の方が少ないんですよ。全体の予算は二億三千九十二万七千円、そして補助金が一億五千七百八十万円で、あとは受託事業ですから。そうすると、このトラスト協会というのは一体何だということになるわけですよ。

 それは財団である以上は、やっぱりきちっと寄附を集めて、トラスト協会ですから、これはある種の市民運動ですよね。だから、そのことによって社会的活動をやるにもかかわらず、事務局長ポストよりも寄附金額が少ないというのはどういうことですか。


◎千葉 政策担当課長 委員ご指摘の部分は、いわゆる財団法人の基本的な考え方の問題かなというふうに理解しますけれども、確かに財団法人というのは、いわゆる公益法人と言われておりまして、これは一般論で申し上げますと二形態ある。一つには行政補完型、もう一つは公民協調型。この行政補完型につきましては、区としては行政サービスを自治体がやるよりも、より効率、効果的に発揮できる、そういうことで、種々の目的に対して設立をしてきたということがございます。

 そして、当然、例えば国の具体的なこういった公益法人に対する出資比率、これは設立するに当たって、自治体が最低五〇%以上の出捐をしないと、まず設立を認めない。したがいまして、現行の制度の中で、いわゆる行政補完型の第三セクターといいましょうか、そういう部分については、一定の行政としての支援を前提としてつくられている。そういう意味で、確かにトラスト協会が一定の寄附を募っている、それに対する事務局長の報酬額と逆に対比させて、そういう見方もあろうかと思いますけれども、我々としては、基本的に行政補完型の財団を立ち上げて、一定の目的のもとに事業を進めているというふうに理解をしております。


◆木下 委員 これは本当に市民社会をゆがめていると思いますよ。つまり、トラスト協会というのは、初めは市民から起こった運動ですよ。これを行政がかむことによって、寄附金が事務局長の給料よりも少ない予算を組んでいるということは、つまり、集める気がないわけですよ。これだったら、民間に任せておいた方がよっぽどいい結果になりますよ。これでは区の肩がわりの事業を受託事業として、ある造園業者とかそういうところにやるようなものじゃないですか。

 こういったことが、これだけじゃないですよ。例えば都市整備公社、都市整備公社にはまちづくりセンターなどというものがあります。私もそこの会合に何回か出たことがあります。大体ディベロッパーも、コンサルタントに登録しているような方々がそこの職員になっていて、さまざまなまちづくり教室とかそういうのをやりますよ。来ているのは大体全国の業者、そういった人たちが来て、それで、ある種の世田谷での仕事づくりをやっぱり探しているという状況ですよ。

 こういったことに対してメスを入れていかないで、新しい公共という意味での、何が新しいのかよくわからないけれども、新しい公共というようなことは言えますか、いかがですか。


◎八頭司 助役 お考えの違いだと私は存じます。今、例に挙げられた財団法人が新しい公共イコールであるとはこちらも思っておりませんが、例に挙げられたまちづくりセンターのようなものは、今、木下委員がおっしゃったような方ばかりがいらっしゃるわけでもないし、それなりの活動をしっかりとなさっていらっしゃると思っています。


◆木下 委員 新しい公共の中に事業者というのが入っていますね。事業者というのは、やっぱりもとから癒着するというおそれがたくさんあるわけですよ。事業者が考えているのは、やはりどうやってもうけるかですよね。むしろ、それをセーブするのが公共の役割なんじゃないですか、いかがですか。


◎八頭司 助役 その辺のためにも行政が入っている効果があるだろうと思っておりますし、また民間も、セーブができないような方々がいらっしゃる世田谷区ではないと考えております。


◆木下 委員 いや、それでは東急の協定の問題とか、小田急との協定の問題なんかは、これは区民と相談する前にやっているわけですよ。


○荒木 委員長 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

   ──────────────────