しんぶん赤旗日曜版 2002/1/27付記事

消費税6割が滞納/中小業者「仕事ないのに徴税が・・・」

 小泉内閣がいよいよ消費税引き上げに動き出しました。そんな折りも折り、消費税を払えない業者が二○○○年度、申告業者の六割に達していたことが明らかになりました。景気の落ちこみで消費税分を価格に転嫁できなかったのが、大きな理由とみられます。こんなときに消費税増税などとんでもない話です。

 滞納状況を調べたのは、税理士の関本秀治さんです。国税庁の資料などから算出しました。これによると、一九九六年度34・4%だった滞納割合が増えつづけ、二〇〇〇年度には59・8%になっています。二百十五万八千件の申告業者のうち、百二十九万一千件が消費税を払えない、という深刻な事態です。
 なぜ、こんなに滞納が増えているのか。関本さんは、次のように分析します。
 「滞納額は一件あたり四十八万八千円で、中小業者が中心でしょう。消費税は、売り上げがあれば、いくら赤字になっても納めなければなりません。いま大型店との低価格競争を強いられる小売店では『少しでも安く』と消費税を価格に転嫁できないのが現状です。それでも徴収される。小泉不況の痛みをまともに受けているということです」

実際には自腹

 建設業者は不況で仕事がなく、あっても発注者の言い値の場合が多い。請求書に「消費税」とあっても、実際には自腹を切らざるをえません。
 川崎市で建設会社を営むAさん(65)も、消費税をたびたび滞納しています。
 従業員十五人、三次下請けです。下請け同士で競争を強いられ、単価が半分に切り下げられても「イヤ」とはいえません。売り上げは最高時の三分の一に落ちこみました。
 「納期に仕上げるために、従業員は減らせない。仕事のない月も、労賃、保険料、駐車場代。経費は同じ分かかるんです。『消費税を払え』というなら、資金をくれ。それなら、消費税を滞納することなんてないのに」
 Aさんが、消費税を滞納するようになったのは、消費税が5%になり、不景気が深刻化した九七年。その後、税務署の"徴税攻勢"を受けました。自宅や売掛金(取引先から代金を受け取る権利)を差し押さえる、と脅してきました。
 取材中、Aさんに「仕事をくれ」と電話が入りました。
 「親会社の下請けをクビになった男です。まだ四十九歳。大学生の子どもがいるのに・・・。国は、日本のモノづくりをつぶし、外国から買うだけの国にしている。消費税をいくら上げてもうまくいきっこない。この仕組みを変えるしかないよ」