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気ままに来らむ 『時空をこえて』!

アンサンブルを羽織ってみれば:久木田憲司

2015年10月22日投稿 


 両親が亡くなってからは7年ほど誰も住んでいない熊本市内の実家の家具や遺品を10月末には処分するので、要るものがあったら視ておくようにという連絡が博多に住む実兄から夏にあった。

 昭和22年創業の地場企業に管理職として勤めていた実兄は、平成15年に本社機能の福岡市移転にともない家族とともに博多に移り住んでいた。定年退職後も会社に残り技術者として働いていたが、今春仕事を完全に辞めたと聞いていたので、実兄とその家族が帰熊し実家に住むものと私は思っていた。

しかし、社会人になった子ども達も福岡県内や東海地方に居を構えたので、交通の便がよい博多で今後も暮らすとのことである。

遺品の整理等は辛いものがあるので今まで私は関わっていなかったが、9月も下旬を迎えたので鍵を開け誰もいないひっそりとした実家を覘いてみた。

さすがに私が黌校の時に使っていた机はもう無かったが、使用していた二段ベッドは物置代わりに使われていた。

和箪笥には母がいつも着ていた着物や黌校入学式で私に付き添った時に着ていた着物があったし、私の代理で出席した黌校卒業式でも着たであろうと思われる着物もあった。

洋服箪笥には父の背広や誕生日プレゼントされた未使用のネクタイもあった。

じっくり視ていると辛くなるので、ざっと眺めて父のアンサンブル、礼式用ネクタイ・ハンカチーフと母の櫛を形見分けとしていただくことにした。

 帰宅後我が家の和室で陰干しして、アンサンブルを羽織ってみれば遠い昔が走馬灯のようにめぐりました。

 そして、10月初旬にあった姪(実兄の娘)結婚式では、そのネクタイを締め、ハンカチーフを胸ポケットに挿し、母の櫛を内ポケットに忍ばせて式に臨み、姪には亡き祖父母も参列しているよって伝えました。




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