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気ままに来らむ 『時空をこえて』!

まるで川中島・八幡原だ!!:狂犬病予防集合注射会場は
久木田憲司

2015年3月24日投稿

動物病院の待合室で 福丸とプーさん
私は犬を今は飼っていません。この写真は48会事務局・会計(48会HP管理者)
:増永玲子ちゃん家の愛犬「福丸」ちゃんの写真です
                          
愛犬家の皆さんには、この時期になると狂犬病予防注射の葉書が市町村役場から届くと思いますが、私が熊本市動物愛護センター所長をしていた頃は、4月1日から5月のゴールデンウィーク明けまで、熊本市内約150箇所の会場で動物愛護センターが狂犬病予防集合注射を実施していました。これは、公職選挙での投票所よりも多い数でした。

会場は屋外です。その多くは入り口が一箇所で、受付、注射料金の徴収、注射、領収書・注射済票とつり銭の手渡しという流れで業務は行われています。その中で、いくつかの会場では、飼い主と犬が前後左右のあらゆる方向から受付に来るところがありました。

忙しい時は、会計以外の職員は、あらゆる方向から訪れる飼い主と犬(数頭)に対応しなければならず、そこはまるで川中島・八幡原での武田軍のようでした。

犬のためには、速やかに注射をし退場してもらうことが大切ですが、注射料金の徴収漏れ等、事務ミスもあってはならないことです。受付を含めて、会場は川中島・八幡原における武田軍・鶴翼の陣形のような職員配置です。

それで、上杉軍・車懸かりの戦法のように来場される飼い主と犬に対応するために、迎え撃ち戦法で対応するように職員に指示しました。それは、受付で待っているのではなく、入り口まで出迎えに行き、そこで注射料金を預かると直ぐに受付に引き返し、つり銭と領収書を準備し、注射が終わると直ぐに飼い主につり銭と領収書・注射済票を手渡すという早業でした。

注射料金を預かるときの鉄則は、飼い主の目の前でお金を数えて何円お預りしましたと大きな声で言う事でした。その訳は、5千円札を1万円札と勘違いされて、つり銭が少ないと言われる方が毎年数人居られたからです。

 日本では集合注射を実施する事により接種率が向上して狂犬病を撲滅し、1956年以降は国内では発生していませんが、狂犬病は日本の周辺国を含む世界のほとんどの地域で依然として発生しており、9年前にもフィリピンで自分の飼い犬に噛まれた日本人が帰国後に死亡しています。また、感染して発症したら犬も人も100%死亡しますので、今でも世界中で約5万5千人が毎年死亡している恐ろしい人畜共通感染症なのです。それで、日本は常に侵入の脅威に晒されていることから、万一の侵入に備えた対策として狂犬病予防注射が義務付けられているのです。

長年国内では発生してないのだから予防注射をする必用は無いし、発生してからすればよいといわれる方がよく居られます。しかし、ワクチンを打ってから抗体価があがる(発症しない)には約3週間ほどかかりますので、それでは、遅いのです。

というのも、自分の飼い犬が外で感染・発症した犬にかまれた場合、なついていておとなしい飼い犬に最初に突然かまれるのは、その飼い主又はその家族なのです。愛犬を守ると同時にわが身と家族を守る為にも、狂犬病予防注射は毎年ちゃんと受けた方がよいと思います。

ただ、真の愛犬家には動物病院での予防注射を私は推奨し、集合注射会場で予防注射を受けることはお奨めしません。

その訳は次のとおりです。
1 犬に強いストレスがかかる。
どこの注射会場もそこは犬の臭いの巣窟です。人間の約100万倍嗅覚が利くと言われる犬にとっては、怯え苦しんだ犬の臭いが残っている場合は地獄に近い場所ですので、強いストレスを受けての事故も懸念されます。

2 犬に事故(アナフィラキシーショック等)が起きても、会場にはそれに対応できる獣医療設備がありません。

3 動物病院においては、腸内寄生虫の駆虫時期及び混合ワクチンの投与時期を勘案したワクチネーションプログラムの中で注射されますので、愛犬にとっては有効でやさしい予防療法が受けれます。

 また、本当の愛犬家はかかりつけの動物病院を持っていますので、病院長との信頼関係が構築されていれば、少しの無理(急病)は対応してくれますよ。
 



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