エルサレムからのHOT NEWS
−イスラエル・パレスチナの紛争の解決を願って−


ラテン教区 イスラエル
ご復活のメッセージ


2003年4月復活祭
ミシェル・サバー大主教

ミシェル・サバー大主教キリストは復活される。キリストはまことに復活される。祝い、希望を新たにしましょう。

 兄弟、姉妹たちよ、私たちが蒙っている困難にもかかわらず復活をお祝いして下さい。私たちを取り巻く死にもかかわらず生きるよう呼びかけます。今日この頃の心底からの憎しみにもかかわらず愛しあうように促します。キリストは復活されます。キリストは死を打ち負かし死はもはやキリストに何の力も及ぼしません。パレスチナ人とイスラエル人の心であるこの聖地に於いて、死が征服されもはや何の力もないことを見るというのは復活祭にあたっての私たちすべての願いです。私たちキリスト教徒はキリストの復活を信じます。ですから、私たちはいつの日にか, 聖地が全ての住民にとって復活の地となり、死も憎しみもないところになるよう願い続けます。

 「都が見えたとき、イエスはその都のために泣いて、言われた。『もしこの日に、お前も平和への道をわきまえていたなら…』(ルカ 19章41‐42節) 全ての善意の人々はこの聖なる町のために涙を流し、その住民とその統治者たちに平和への道を探るようにと願います。何故ならばここまでの道のり、つまり軍事行動やパレスチナの町や村全体を大きな監獄のようにして武力で押さえ込むことは平和につながるものではなかったからです。この監獄では人間としての尊厳は犯され、財産も家も取り上げられた上に命さえも奪われるのです。これらの行為は平和をもたらすものではありません。反対に、これらはさらなる戦争、殺りくと不安定につながるさらなる死、さらなる人間の尊厳の破壊を引き起こします。一年前の聖誕教会の解放以来何にも変っていません。 解放されたのは建物であって、人間ではありません。パレスチナ人は屈辱と飢えと無秩序に晒されながら包囲されたままですし、イスラエル人は不安定と恐怖に怯え続けています。

そしていまこの聖地で起きていることと同じことをイラクに見ています。

 ある人はイラクの戦争は平和への第一歩であると言います。教皇ヨハネ・パウロ2世は平和的手段のみが平和を導くと明言しておられます。国際社会は、強者の力の行使に限界を与える方法を見つけるために、また新たな世界戦争の脅威から人類を救うためにも自分自身を改革する必要があります。どこで起ころうともテロと戦う必要はありますが、テロとの戦いは、ものの基準と価値を見直すことから始まります。テロを終わらせる第一歩は、自分自身の内にある悪と死の根源と、強いものに弱いものを攻撃することを許し、国民に不公平と剥奪を課すことを許す基となるものを見つけるために自分を省みることです。「すべての王よ、今や目覚めよ。地を治める者よ、諭を受けよ。畏れ敬って、主に仕え」(詩篇2、10‐11節) 神に仕えるとは正義を持って平和を作ることです。平和と正義の求めに応じて、他の人々と国家に対応することが、あらゆるテロを排除する唯一の方法です。

 この聖なる地に於ける私たちの指導者たちに次のようなメッセージを送ります:
あなた方は平和と安全をもたらす者として選ばれているのですから、その使命に従うべきです。しかし今日までにあなた方がやってきたことは、イスラエルの人々にもパレスチナの人々にとっても平和と安全に到達するものではありません。神の声に耳を傾けなさい。神は平和と正義はともにあると言っておられます。あなた方のやり方を変えなさい。あなた方の国民の心から恐れを取り去りなさい。平和は可能でありパレスチナ人は自由と権利さえ取り戻せたなら平和のうちに生きることが出来るのだということを信じなさい。

 私たちはご復活を祝います。それは死から命へ移ること、従属から自由へ移ることを意味します。 私は全てのキリスト教徒とパレスチナ人に、現在の死から再び取得した自由と正義、許し、愛と和解に基づいた新しい命に進むことを願います。私は過ぎ越しを祝うユダヤ人に現在の恐怖の状態から同じく正義、許し、愛と和解に基づいた安全に進むことを願います。新しい世界の秩序は正義、許し、愛と和解と言う同じ基礎を持たなければなりません。許しなしでは、また神の存在がなければ死は死を導くだけです。戦争は戦争とテロを生むだけです。人は如何なる口実の下でも、一方で人類の破壊を進めながら新しい社会の秩序を築くことは出来ません。

 キリストは復活される。主はまことに復活される。皆さんの上にご復活の平和、正義、許し、愛と和解がありますように。



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