エルサレムからのHOT NEWS
−イスラエル・パレスチナの紛争の解決を願って−


2004年復活祭のメッセージ


ミシェル・サバー大主教
2004年4月5日 エルサレム

兄弟、姉妹の皆さん
キリストは復活された。まことに主は復活された。

1. 私たちの精神と心をその霊的恵みで新たにし、教会、社会でわたしたちが自分の務めを忍耐強くやり抜くための新しい力を与えようと復活祭が訪れるこの時、メッセージをあなた方に送ります。復活祭はまた、その宗教や国籍に関わらずすべての兄弟姉妹に仕え、愛するようにわたしたちを励まします。キリストのおきては、全ての人の中に神の顔を見出し、それを愛し、また神ご自身がわたしたちを愛されるように愛することです。
教区の皆さん、心を新たにして、人を完成へと導く奉仕と愛に忍耐強く徹するよう、わたしは心から望みます。それは全てのおきての完成です。私たちの主、イエス・キリストの栄えある復活は私たちの復活でもあり、新しい命の力と喜びで私たちを満たしてくださいます。聖パウロが「希望は私たちを欺くことがありません。私たちに与えられた聖霊によって、神の愛がわたしたちの心に注がれているからです。」(ローマの信徒への手紙5:5)と述べたように、復活は私たちを希望と愛に満ちた"新しい人"にしてくれます。


2. 栄光ある主の復活を祝うにあたり、私達は、聖地やまわりに住む人々へと眼を向けます。
  生ではなく、死の状態――死、弾圧、殺戮の闇の中で生命を探し続けどうすればいいか分からない状態――に、わたし達は深い悲しみと共に眼を向けます。
私達は理性が暗くされた日々を生きています。殺戮や人間を押しつぶすことにのみ解決を探る"人間の狂気"のなすままに捨て置かれています。だから町や村々は攻撃され、占領され、再占領されます。多くの人が殺される一方で他の人々が拘束されています。また、村や町の攻囲や弾圧は尚も続いています。
抜け出す道はあるでしょうか? 指導者たちは、パレスチナ人であれイスラエル人であれ全ての人間は平等であるという道理に戻り、考えなければなりません。暴力を片一方で止めれば、もう一方でも止めなければなりません。指導者たちは、殺戮と破壊が、期待したほどの治安をもたらすことが出来なかったわけですから、ここ三年来の政策の結果について考えるべきです。数千人が殺されながらも、人々は自由を要求し続けています。暴力の枠組みの中では、殺されれば殺されるほど人々は自由をより強く願い続けるものです。ここから抜け出す道は、虐げられた人々の声に耳を傾け、ひとびとが要求している"自由"を返すことです。これは、全ての過去の出来事から学ぶという単純なことです。
今こそ理性に立ち戻り、自分たちや人々のために、更なる殺戮やいつまでも続く不安を避けるため、今までやって来た罪について、指導者たちは考え直すべき時です。まことの安全な道に人々を導きましょう。その道は平和なこころと友好的な関係の中に存在します。自由と土地が人々に返されるとき、今日の敵意あるこころは変わり、治安もよくなるはずです。現在建てられている壁は、心の中の防壁が崩れるときにのみ倒れるでしょう。その時、「安全」は壁や破壊などのどんな力にもよらずに花を開くでしょう。
この聖地の新しい歴史を造るに当たり、私たち皆を強め、死から生へと過ぎ越させるご復活祭の恵みにすべての人の心を開いてくださるよう、神に願いましょう。


3. 攻囲の下に生き、いつの間にか壁に囲まれてしまった信者たちに告げます。弾圧に抵抗するとき、全てのことを、祈りと忍耐を持ってしましょう。復活の力と喜びを通して希望を新らたにしましょう。嫌悪の論理に屈せず、愛があなた方の内に常に留まり、あなた方やこの聖地の全ての人々にとって救いの源となるように魂を自由にしましょう。攻囲されていないこの主教管区の他の教区の信者たちに告げます。兄弟姉妹たち、またこの血塗られた紛争の中にあるこの地の全ての住人に祈りと共に寄り添ってください。神が私たちを憐れみ、この地と二つの民族に安全と平和と新しい命をお与えくださいますように。預言者はこう述べました。「わたしは彼らに一つの心を与え、彼らの中に新しい霊を授ける。わたしは彼らの肉から石の心を除き、肉の心を与える。」(エゼキエル書11:19、36:26)
御父と復活された主に新しい心を与えてくださるよう祈ります。復活祭が私たちの心を新しくし、私たちにとっても復活――死から、安全で平和な生への道、神と共なる旅路――となりますように。アーメン。
楽しい、聖なる復活祭を。

総大主教ミシェル・サバー
2004年4月5日 エルサレム



HOT NEWSのもくじ

トップページに戻る