エルサレムからのHOT NEWS
−イスラエル・パレスチナの紛争の解決を願って−


マーサムとエリザベス・サンダースの所感


2003年8月21日

 今週私達は又もや、テレビに釘付けになり、もう見慣れてしまった光景を見る羽目になりました――バスが一台、側面がそがれ、夜の闇に背景のように立っています。手前には医療専門家がオレンジのベストと白い手袋を身につけ、その多くは、長いひげと髪を後ろにたなびかせながら急いで駆け回っています。ある人たちは傷ついた男性、女性、子どもたちを運んでいます。他の人たちはカメラマンを安全のため阻止しています。あたり一面血だらけで、明かりの点滅がその場の狼狽振りを強調しています。

 今回は、エルサレムでした。しかしテルアビブ、ナタニヤ、アフラ、またはハイファで起こったかもしれないのです。ニュース番組はいつも、人の輪でなおも囲まれているこの血まみれの場面映像を2分ほど流し、あれこれのスポークスマンにコメントを付け加えさせます。この恐ろしい光景は、度々目下のところ公表されている政策又は戦略の弁解の場になります。「テロに対する闘い」「Hudna」「行程表」「分離壁」「占領」「インティファーダ」これら全てが、ひとびとの間の良好な関係を、粉みじんになったガラスやひん曲がった金属の周りに集まった水溜りに浸してしまうのです。

 しばらくこれらの政治的便宜主義者のことは横に置いておいて、彼らが忙しく紡ぎだし、巧みに操る光景を理解してみましょう。その人道主義に対して正直になりましょう。私たちが見ていることについて、事のあるがままについて、私たちの感じ方について正直になりましょう。

 しかし私たちの凝視は長く続けられません。何故なら私達はうんざりするからです。私達は深く病んでいます。人道的に倫理的に、体力的に病気です。夜のバス乗車は悪夢となりました。そのことは、正当化できず、弁解できません。それを祝うことがあってはならず、真似をしてはなりません。それは悪です。それ以外の何物でもありません。悪は神に反し、神の創造に反します。人々、財産、生命、希望、全ての破壊です。

 すぐにそれを正当化する人々がいます。自爆した女性や男性のことを考えてごらん。何の希望もなくなってあのような絶望へ突き進んでしまったのだろうよ。我々は彼を非難できない。占領による攻囲としめつけ、野蛮な集合的罰がこのような絶望を生むのさ。≠ニ。もし若い人々が以前、生命の安全、希望と約束を持っていたら、その中の幾人かが殺人的自殺を選ぶのは多分真実でしょう。しかしこれらの襲撃は希望のない抑圧された若者により引き起こされたのではありません。彼らは手当たり次第希望のない行為には走りません。これはパレスチナの政党の戦略のせいなのです。そのねらいは、イスラエル人の間に恐怖と苦痛を起こさせることです。彼らはこっぴどく痛めつけない限り変わらないのさ。≠サれは復讐の戦略です。我々が安全でない限り、彼らも決して安全になれない。≠サれは復讐への思いを募らせ、「力強い」指導者を期待する家庭に、政治的影響力を及ぼす戦略なのです。パレスチナの政治的パイが、彼らの僅かな分け前を増やすため、若者を殺戮へと送っているのです。パレスチナ人やイスラエル人の生命に価値を置かない、道徳的破綻の戦略です。

 それはまた、戦略的にも破綻します。指導者というものは、彼らが導く人々の自由、民主主義、戦争での勝利といった究極的利益となるような政治を行い、作るのがあるべき姿でしょう。もし戦略が失敗したら、それはやめるべきです。その戦略を唱え続ける指導者たちは、退かねばなりません。

 政治戦略として、自爆は失敗でした。パレスチナ人の死者の数は劇的に増え、爆破した本人だけではなく、殆ど全てのイスラエル軍の復讐と「標的」殺人により、より多くの民間人が殺されました。イスラエル人のこの戦略への答えは、パレスチナの人々を悲しませ、傷つけ、家や職を奪い、更に攻囲によって、しばしば仕事や学校、病院、教会、モスク、自宅にさえ行けなくしました。この戦略はパレスチナ人に西洋世界の軽蔑をもたらしました。彼らがそのために戦ってきた自由は、テロリズムのTという紅文字をまとうことを余儀なくされました。そしてこの戦略は、更なる"戦略"へと巧みに操られる怒りと希望喪失を生み、それは更に怒りと希望の喪失を生み、それが又・・・・もうお分かりでしょう。それはばかげた悪の戦略です。この戦略と戦略者は取り除かれねばなりません。

 しかし当面は、更に多くの同じような血なまぐさい光景、連鎖的映像場面に遭遇せざるを得ないようです。神が私たち皆を憐れんで下さいますように。
                           
マーサム・サンダースとエリザベス・サンダースはザバブデのパレスチナのキリスト教徒の村で働いている、長老教会派のアメリカ人です。



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