1999年 12月の雑記
 
 
1999. 12/2(木) 
先日のトヨタカップについて、書き足らなかったので、もう少し。結局、トヨタカップの意義っていうのは、日本で騒いでいるほどのものではないんだと思う。ヨーロッパチャンピオンズリーグとリベルタドーレス杯が最終的なゴールであって、トヨタカップはお祭りのようなものなのだ。例えば、イタリアでも日本のJリーグでも、リーグ戦勝者とカップ戦勝者による試合が「スーパーカップ」などど称して行われるが、その試合の勝者を、「真のイタリア一のチーム」とか「真の日本一のチーム」などとは誰も思わないだろう。悪く言えば「客寄せのための口実」であり、「くどい」のである。試合前後の選手達の表情や得点時のノリを見ても、それが窺える気がする。

 それから話は違うが、日本での中継を見ていていつも思うこと、それは、選手の名前の表記の仕方だ。これは特にサッカーに限らず、外国人を日本語で紹介する場合全てに言えることだが、その基準が全くいい加減。「スールシャール」て!!誰やねん!!!

 今回の選手については、他には気になるものはなかったが、フリットがグーリッドになったり、シードルフとセードルフ、クライファートとクライフェルトなど、いくらでもある。一体何なのか。いい加減、ちゃんと統一しようという動きがあっても良さそうなものだと思うが、一向に改善されない。人の名前というのはアルファベットや漢字によるのではなく、あくまでも「音」だと、僕は思う。原語での発音を日本語で一番近いと思われる音で表すのが一番妥当だと。ある程度の規則を定めれば、大体の統一は可能なはずだ。


 
1999. 12/3(金) 
またまた格闘技の話。

今年のK−1グランプリが近づいてきた。プロフィールに書いた通り、アーネスト・ホーストのファンなので、今年もまた彼を応援することは変わりない。しかし可能性でいうと、ジェロム・レ・バンナが1回戦の調子のままならば、いけるんじゃないかという気がする。K−1出場回数は多いが、グランプリでは成績を残せていない、それはあまりにも調子の波があり過ぎるからだ。試合中にも波があり、最初に攻め込んでおきながら爪が甘くてやられてしまうことも多かった。しかし、今回は違う。ボクシングに更に精通し、ホーストに変わって「ミスター・パーフェクト」と呼ばれてもおかしくない程の出来だった。

 もう一人注目は、マイク・ベルナルドを恐るべきハイキックで破ったミルコ・フィリぽ何やらだ。小さな体に秘められた破壊力は、K−1ナンバーワンのハードパンチャーであるマイクを沈めたことで実証された。武蔵に勝って欲しいところではあるが、どうだろう。巨漢選手とよりは、組みやすいかもしれない。そのほか、サム・グレコも、今年のアーツとの勝負で自信をつけているはず。彼は、ホーストの次に応援する選手である。

それでは、僕の予想する対戦結果は、ずばり、次の通り。

 レイ・セフォー負−
   サム・グレコ勝

 武蔵負−
   ミルコ・フィリポビッチ勝

 アンディ・フグ負−
   アーネスト・ホースト勝

 ジェロム・レ・バンナ勝−
   ピーター・アーツ負


 サム・グレコ勝−
   ミルコ・フィリポビッチ負

 アーネスト・ホースト勝−
   ジェロム・レ・バンナ負


 アーネスト・ホースト勝−
   サム・グレコ負



さあ、真実はどうなるか?


 
1999. 12/5(日) 
ばんざーーい。
ばんざーーーーーい
ばんじゃーーーーーーーーーいっ!!

ホースト優勝
おめでとう!!!


本当に良かった。あの強いホーストが戻って来た。格好良かったー。しかもあの絶好調レ・バンナを破っての優勝。見事だった。

初戦のアンディ戦。じわじわと追いつめてポイントを奪い、明らかに優勢を保った。それでも後半にスタミナ切れからか攻撃に力が入っていないようにも見えた。少し不安がよぎる。

 続くアーツ対レ・バンナ戦。もの凄いものを見た。歴史に残る試合になるだろう。1ラウンド開始早々、アーツの必殺ハイキックがものの見事に命中、レ・バンナは崩れ落ちた。その後立ち上がるがもうフラフラ。先手を取ったアーツの勝利を誰もが予見した直後、レ・バンナのたった一発のフックが当たった。アーツが斜めにかしいで倒れてゆく。顔に生気はない。フィリオ以来の衝撃。あのアーツが沈んだ。

 準決勝、ホーストの相手はそのレ・バンナ。勝ち目はほとんどないように見えた。1ラウンドから猛然と襲いかかるレ・バンナのパンチの嵐。ホーストは手が出せない。ブロックを粉砕するようにレ・バンナは攻め続ける。しかし、しのいだ。1ラウンドをしのぎ切った。2ラウンド目、先に勝負を仕掛けたのはホースト。作戦は的中した。パンチのレ・バンナにパンチで応酬したのだ。自らがアーツを倒した時のような形で、今度は自分がリングに崩れ去った。レ・バンナの99年は幕を閉じた。

 そして、決勝。立ちはだかるは、伏兵ミルコ・フィリポビッチ。ハイキックとダーティ気味の戦法に気を付ければいける、そう確信していた。様子を見ながらのスタート。ミルコはやはり攻めてくる。懸命にガードでこらえるホースト。そして、ローキック、またローキック。2ラウンド。ローが効き始めた。前2戦で痛めていると聞いている。静かにホーストが前に出始める。しかし深追いはしない。

 3ラウンド。最終ラウンド。勝機と見るや、ホーストがあからさまに攻勢に出た。狙いはボディだった。あばら負傷の情報は得ていたのだろう。どてっ腹に正拳突きのような一発。遂にミルコが倒れた。起き上がってきたところにまた仕掛ける。もう一度、とどめのボディ。カウントが続く。ミルコは起き上がらない。歓喜のホースト。1900年代最後を飾るK−1の覇者がそこに立っていた。

 うれしかった。特に準決勝。もう、勝ち目はないと思っていた。それほどレ・バンナの一戦目が凄かった。あのアーツのハイキックを浴びた後にやり返せるとは信じ難い化け物だと思った。しかし、これでレ・バンナはホーストを苦手選手とみなすようになるだろう。前回も破れ、今回もあの絶好調でアーツを破った後に負けたのだから。ま、アーツのハイの後遺症が残っていたのかもしれないが。

 しかし、金曜日に書いた僕の予想の当たり方も相当じゃないのと、少々自己満足気味。何しろ、準々決勝4戦は全て当たり、準決勝のグレコ勝ちのところが違っていただけ。予想というようりは、こうなって欲しいなという願望で書いただけなのだが。グレコも応援していたのだけれど、負傷したのでは仕方ない。あれがなければどうなっていたかわからない、とは言ってはいけないか。ミルコ選手については、初戦の武蔵との戦いでの、足をつかんだり投げたりの少しダーティなファイトが気に入らなかった。格闘センスはいいのだろうが、やはり体が小さい。これからその辺りをどう克服するかだろう。

 ホーストが引退を考えていたというのは事実だろう。年齢は34歳。昨年からの体調の悪化、そして新鋭フィリオに叩きのめされた屈辱。引き際かもしれなかった。そんな状態の中、強豪ひしめき合うK−1グランプリの舞台で再び優勝するために、一体どのような経緯があったのだろうか。リングを降りると物静かな紳士だそうだ。ストイックな中に秘めたる闘志が、栄光を掴み取ったのだと信じる。人間とは凄いものだ。


 
1999. 12/8(水) 
溜まっていた新聞をまとめて読んだ。地下鉄サリンの判決、槙原敬之の判決の記事などが目に入る。そこでの、槙原敬之についての裁判官のコメントが気になった。有名な歌手が起こした事件で、社会的に与えた影響は大きく云々、とある。有名だから罪が重くなるのか。有名でない人間が全く同じ罪を犯した場合には槙原氏よりも罪が軽くなるのか。確かに一般人が起こす同じ事件よりも影響は大きいかもしれない。しかし、そもそも有名になるために槙原氏は努力してきたのだし、有名であることで影響を受けやすいというのはむしろ我々大衆の側の話であって、その責任が槙原氏にかかってくるというのはどうにも納得しがたい。何となく、くだらないワイドショーのリポーターが不祥事を起こしたタレントに向かって、「あなたには話す義務があるんだ。こんなことをして恥ずかしくないのか。」などと詰め寄るシーンに似たものを感じる。

 
1999. 12/12(日) 
久々に大型の更新。ゲームのコーナーにカードゲーム編を追加した。ここ2週間ぐらいかかりっきりだった。興味ある方は御覧あれ。というか是非見てやって下さい。

 全国実業団女子駅伝で、わが応援する沖電気宮崎が優勝した。おかげで先週に引き続きこのTOPページは賑やかになっている。最近は僕の応援する選手やチームが勝つことが多い。トヨタカップのマンチェスターしかり、先週のK−1のホーストしかり。この調子で来年のサッカー欧州選手権はオランダに勝って欲しいのだが。

 何ゆえに沖電気宮崎か。単に、川上優子選手が好きなだけだったりする。他の選手はあんまし知らない。前々回の世界選手権で見かけて、ファンになった。特にあの意志のある声が魅力的。顔もかわいいし。忘れていたのでプロフィールの「好きな陸上選手」の項に慌てて追加した。

 去年の同大会では、4位の屈辱を味わった。名門たるものゆえの苦悩。しかし1年で見事栄冠を取り返した。通算3度の優勝も、アンカーで逆転しての優勝も大会初だそうだ。たすきが渡る度に順位を上げていく、その様はレースを実に面白くしてくれた。あとは川上選手の個人レースに期待するのみ。今年は名古屋女子マラソンには出てくれるんだろうか。


 
1999. 12/13(月) 
プッチモニが売れているようだ。今度こそは売れないと思ったのだが。もうすっかりおニャン子の焼き直しになってしまった。タンポポはうしろ髪ひかれ隊、今度のプッチモニはニャンギラスだ。後はもう、解散してソロ活動というネタしか残ってないが、それには歌がヒドすぎる。おニャン子のほうがまだマシだったぞ。曲がりなりにもオーディションで選んでいるのに、不思議だ。

 それでもやっぱり、売れるんだろうか。


 
1999. 12/14(火) 
今日、喫茶店の窓から、身体障害者の人が車に乗り込むシーンを偶然に見かけた。30代前半ぐらいのその男性は、車椅子に乗っていた。自動車は道路の左側につけて止められていて、助手席側のドアを開けるスペースはほとんどなかった。

 見ていると、まずは後部座席右側のドアを開け、車椅子を降りて車に乗り込み、その座席から車椅子を折り畳みながら引き上げ、シートの奥に置いた。それから後部座席から直接今度は助手席に移動し、最後に運転席に移動してエンジンをかけ、車を動かし、走り去った。実に鮮やかで合理的なやり方だった。確かに、一人しかいなければああするより他ないだろう。盗み見したような気がして心苦しい気にもなったが、小さな感動でもあった。


 
1999. 12/19(日) 
ゲームのコーナーが、やっと落ち着いた。これで様になっているんだろうか。

 毎年末の楽しみのひとつになっている、「このミステリーがすごい!2000年版」が発売された。まだ買ってない人、下にその内容があるので読まないように。















国内1位は「永遠の仔/天童荒太」。読みたいと思ってまだ読んでない。2位は「白夜行/東野圭吾」。うーむ、毎年強いのお。これも読んでないわ。第3位、第4位、...。愕然。全然読んでない..。20位以降を探し、ようやく「クリムゾンの迷宮/貴志祐介」に当たる。こ、これだけ。今年のミステリーで読んだのこれだけ。しかも、海外編は全滅。

 こんなんじゃいかーん、という訳で、しばらくあほみたいにミステリーばっかり読むことにします。「白夜行」、うーん、東野氏の作品はどうも合わないのだが、これだけもったいぶった書評を読まされると、手を出してみたくなる。そしてやっぱり、「永遠の仔」か。持ち歩いて読むのは、「ハサミ男」かな。文庫本でランクインしているのがないからね。「ハサミ男」もかなりぶっといけど。


 
1999. 12/21(火) 
「OUT」終了。先週と今週の最後の2回分はもう、失笑、失笑。前回のなすび刑事と湯江健幸刑事の撃ち合いシーンから、それはないわなあ、というシーンの連続。今回も、警察の内部汚染の証拠文書なんかいい加減だし、遊園地も意味不明、師匠の家の火事も意味なし、山ちゃんの自殺未遂も意味なし、期待されたラストの対決も盛り上がらぬまま、ガソリンに火がついて、佐竹「あーーーっ」

 ...。あーーーて。ほんでその炎上シーン、合成モロわかりのショボショボ。テレ朝系列の「〜戦隊」並み。
 ラストは、女二人が○○○○で出会うシーン。スタジオ撮り!!モロバレ!!!どんどんドリフの大爆笑かえっ。なおかつトドメは、井口刑事の
「ねえ、雅子さんは結局、何を求めていたの?」の問いかけに対し、
「自由、かな」
と答える、某雅子さん。阿呆か、お前ら。そんなテーマやないやろっちゅうねん!もうこのシーン、さぶさぶで見てられんかった。ほんでまたあれで余韻を残して終わらせたつもりが笑わせる。

 フジテレビの「OUT」専用ページに、演出の先生の話が載っていた。小説とテレビとは違う、テレビならではの演出を心がけたい、みたいなことが書いてあった。これがその結果ですか。見てくれだけの中身なし。幻滅。ゲンナリ。出だしはいい感じなのに、これほどラストで寂しい思いをしたことはない。スティーブン・キングの[IT」をビデオで見た時以来。

..結局、終わって思うのは、安娜役の小田エリカが綺麗だったなあってぐらい。何だったのか。


 
1999. 12/25(土) 
恩田陸氏の「六番目の小夜子」読了。感想は書評のコーナーを参照のこと。珍しく短期間で読めた。本当に読むのは遅いのである。疲れている時は特にヒドい。延々と同じ箇所を何度も読んでたりする。平均して、1時間に30ページぐらいしか読めない。

 この書評アップと同時に、これまで書いた中でネタバレ気味の部分を、背景色と同系統色の表示で隠した。特にミステリー系の作品について、「これを書くと、結末が見えてしまうかも..」っていう表記が少々あって、気にはなっていたのだ。これまでに読んでしまった方には申し訳ないのだが。なお、読みたい場合には、該当個所をマウスでドラッグすると、文字が浮き出てくる。


 
1999. 12/26(日) 
久しぶりに格闘技の話題を。RINGSでは今、「King of Kings」と銘打って、リングスネットワーク以外からも広く選手を募り、トーナメント方式で真のチャンピオンを決めるシリーズが行われている。今日はそのBブロックの一回戦・二回戦の模様がWOWOWで放送された。

 2ヶ月前に行われたAブロックでは、RINGSでのエースの一角とも言うべき、僕の応援する山本宣久選手が一回戦で敗退するなど、日本勢は全滅となった。また、RINGS勢としても、唯一イリューヒン・ミーシャ選手が勝ち残っただけとなり、RINGSが団体としていかに井の中の蛙だったかを思い知らされる、かなりショックな結果となった。そして迎えたこのBブロック。現RINGSチャンピオンの田村選手をはじめ、高坂、坂田と3人の日本人選手が闘いに挑んだ。結果、坂田は今回最実力者とも言われるヘンゾ・グレイシーの前に、力の違いをもろに見せつけられるような1分そこそこの秒殺でやられた。高坂もあまり調子が良さそうに見えず、一回戦は何とか判定で切り抜けたが、二回戦では因縁の相手、ギルバート・アイブルとの戦いでまたもや負傷、勝ち進むことができなかった。そして最後の砦、田村は一回戦を打撃で勝ち抜けた後、手に負傷を負ってしまった。そのため、二回戦では思うように動けない場面が続いたが、相手の一瞬の隙をつき、スリーパーに沈めた。かなりのプレッシャーがかかっていたのだろう、試合後のインタビューでは珍しく泣き顔を見せ、苦しかった胸の内を吐露していた。

 Aブロックに比べ、BブロックのRINGS勢はよくがんばってくれたと思う。初期からのRINGSファンである僕にとって、今回もAブロックと同じような結果なら、自分の信じてきたものがいったい何だったのか、頭を抱えてしまいそうだった。特に目立っていたのは、何と言ってもコピィロフ!二試合とも、わずか十秒前後での勝利だ。サンボ強し、を十分にアピールしてくれた。もともと実力は誰しもが認めるところだが、波が大きく、負ける時はあっさり負けてしまうのが今一つ上位に食い込めない原因であった。それが今回のこの活躍。かっこよかった。次回の決勝でもこの調子を維持してほしいものだ。それに対して、不甲斐なかったのは坂田。彼はどうも、口先ばっかりという印象が拭えない。最近いい試合も見せてくれるようになってきてたので、今回も期待していたのに...。何もできなかった。それほどヘンゾが強かったということかもしれないが。試合後、呆然とした表情で、これからの進退を考え直すような発言をしていたのが気にかかる。

 決勝では何としても田村、最悪でもRINGS内の選手に優勝を勝ち取ってもらいたい。しかし、今日見たヘンゾ、それからAブロックのアントニオ・ノゲイラなど、強敵が控えている。ただ何にしても、ここ最近なかったほどRINGSは面白い。


 
1999. 12/28(火) 
この時期になると必ずBSで放送されるのが、紅白歌合戦の“再放送”。毎年これを楽しみにしている。昨日放送された第29回分の本放送が流れたのは、昭和53年のこと。まだ紅白が「意味」を持っていた頃だ。当時小学生だった僕達にとっても、歌謡曲というものは生活の中に自然に溶け込んでいた。好きな歌手の新曲のことが友達同士の話題になり、毎年末のレコード大賞や歌謡大賞を本気で心待ちにしていた。昭和53年といえば僕は11歳。当時一番よく遊んでいたN君から、小学校のプールでツイストの新曲の話を聞き、原田真二の「タイムトラベル」を歌って教えてもらった。この年の岩崎宏美は「シンデレラ・ハネムーン」ばっかり歌っていたが、直前に出た「あざやかな場面」のほうが僕は好きだった。郷ひろみの「バイブレーション」や野口五郎の「グッドラック」は修学旅行のバスの中で歌った。西城秀樹の「ブルースカイブルー」について、「秀樹がこんな静かな歌なんて珍しいね」っていう話を母親と交わしたことを覚えている。流行曲でその年の出来事を思い出す、というのは決して嘘ではない。

 この頃の歌手は歌が上手いからいい。歌を聴くことを純粋に楽しむことができる。今、巷で流れているキンキン声のカラオケくずれは歌ではない。懐古趣味的になってしまうが、やっぱり昔の歌謡曲は良かった。いつ頃から歌謡曲は姿を消してしまったのだろうか。僕は、転機は「たのきん」だと思っている。歌が下手でも、大した楽曲でなくても売れる時代が来てしまった。続々と現れるアイドル歌手の群れ。それ以前にもアイドルの存在はあったが、歌が売れることとキャーキャー人気とは別であり、売れるアイドルは歌もちゃんとしていた。僕が大学に入る頃には、若者が聞く音楽はポップス系として確立されており、それは決して歌謡曲ではなかった。そしてもう少し時が流れ、レコード大賞を光ゲンジが獲った時、これで終わったと感じたものだ。

 今のJポップしか知らない世代には、こんな話をしても理解してもらえないだろう。僕らにとっての年寄りの戦争話と同じように聞こえるに違いない。でも、あの少年時代を過ごせて良かったと思っている。今のこの時代ではなく、あの時期であって良かったと。最近、昔のアルバムがCD化されたものがかなり売られていて、CD屋に行くと、どうしてもそちらに目がいってしまう。


 ところで、庄野真代の「飛んでイスタンブール」で、「..こんなジタンの空箱..」という歌詞があるが、当時NHKでは「ジタン」という商品名がダメで、「..こんな煙草の空箱..」と歌っていたと記憶していたのだが、昨日の再放送ではしっかり「ジタン」と歌っていた。記憶違いか、はたまた紅白では特別に許されたのか。

 

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