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【おまけ 〜サンチアゴにて〜 】

フォークランドを発ち、プンタアレーナスを経てサンチアゴに着いた時には既に夜の10時過ぎ。昨日はそれからサンチアゴの町中にあるホテルに泊まり、今日は夜11時10分のフライトまで、この町で過ごすことになっていた。といっても、特にこの町に興味があるわけでもなく、事前に何の下調べもせずただぶらぶらとホテルの周りを歩いてみるだけ。前回パタゴニアに行った帰りもこの町で何時間か過ごしたが、あまり好きになれそうな所ではない。南米にしてもアフリカにしても、大自然の中に浸るのは好みだが、途中の都市にはほとんど興味がない。こういう町は、たいてい人が多くてごみごみしているばかりだ。

ガイドブックを手に、しばらく歩いては休み、歩いては休みして時間をつぶす。朝食が遅かったのでお腹もあまり空いていない。それでも偶然、中央市場にたどり着いたので覗いてみることにする。なかなかおいしそうな食材がずらりと並んでいる。サンチアゴの海産物のおいしさは有名だ。売り子が盛んに声をかけてくるが、お腹が減ってないのでみんなパス。後でまた来ることにしてとりあえず外に出る。

サンチアゴは夏。でもセーターしかないので着ていたら、やっぱり暑い。ジュースが飲みたくなり、いくつかの店で聞いてみると、USドルは使えないらしい。しかも日曜日なので、銀行も開いていなかった。しかたなく通りがかりのホテルで両替を済ませ、マクドナルドでコーラを飲んだ。コカコーラというのは世界各国で微妙に味が違うらしいが、ここで飲んだそれは日本のに比べて少し甘さ控えめのような気がした。

ガイドブックにあったアルマス広場近くを通ると、大規模な工事が行われていて、道路を根こそぎ10メートルくらい掘り返していた。アルマス広場は、その工事現場の中に、以前はあったようだ。仕方なく、前回にも訪れたモネダ宮殿前の広場のベンチに座り、持ってきていた遠藤周作の「影法師」を読み始める。いつも感じるが、異国の町に遠藤周作の作品はものすごくよく合う。昼下がり、喧噪の繁華街からは少しはずれたこの場所でページを繰っていると、何かしら哀愁のようなものが周りに漂ってくる気がする。しばらく読んでいるといい気持ちになり、そのままベンチに寝っころがってしばらく眠る。

そろそろお腹が空いてきた。もう5時を過ぎている。さっきの市場に戻ってみたが、案の定、閉まった後だった。ガイドブックにあった市場の店「Pailas Blanca」の料理「Paila Marina」を食べてみたかったのに。しかたなく、これもガイドブックで見つけた別の店、日本料理の「金太郎」に向かう。がしかし、アルマス広場の工事に押されてか、ここもやっていない。ずいぶん前から閉めている雰囲気だった。結構歩いて疲れていたのだが、どこに行くか考えた結果、さっきの市場付近のレストランに行けば新鮮な魚の料理が食べられるのではと思い、また引き返す。

しばらく探して入った店のメニューに、念願の「Paila Marina」を発見。コーラと一緒に注文する。それにしてものどが渇く。夕食にはまだ早いせいか、店の中にはあまり客はいない。ただ、ハープを弾いているおじさんとその知り合いらしい一陣が店の中でえらく盛り上がっていた。楽しげにハープを弾き、大声で歌っている。その雰囲気は悪くなかった。

出てきた料理は、基本的にはスープなのだが、中には様々な貝類を中心とした海の幸が山盛りに入っている。スープを一すくい、口に入れてみる。うまい。みかけはグロい料理だが、具だくさんの出汁が十分に出ていて、味は申し分ない。量が多くて全部たいらげることはできなかったが、サンチアゴに来たかいがあったかなと思えるものだった。ハープの演奏はまだ続いている。ちょっとだけこの町が好きになってきた。また少し遠藤周作を読み、夜8時過ぎに空港に向かった。外はまだまだ明るい。

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