【旅立ちまで.その1】

この年、前年の夏休み分の休暇を年明けまで持ち越し、やっと暇ができた時点で、またどこかに行きたいという考えが頭をもたげてきていました。最初は、アフリカを再訪するつもりでした。日本でのせせこましい生活を続けるにつれ、またあの大平原と動物達を見てみたいという気持ちがだんだんと強くなっていました。今回考えていたのは、前回訪れたケニアではなく、サファリの本場、タンザニアです。セレンゲティとンゴロンゴロでのサファリを頭に思い浮かべ、いそいそと資料集めなどをやっていました。
 それと平行し、前々から考えていたのが、アラスカのオーロラでした。15万円前後で行けるツアーをどこかで見て、アフリカよりも安く行けるんだと思ったのを覚えています。暇つぶしにインターネット上で、オーロラのページやなんかを見ていました。その時なぜか、アザラシの赤ちゃんを見てみたい、と、ふいに思いついたのです。ネットを探してみると、すぐに見つかりました。真っ白いふわふわのそれらは例えようもなく可愛いものでした。
 「これを、この白いふわふわのやつを見たい!!」
急激に心が傾いていきました。
 その後、アラスカの資料を集め始めたのですが、調べるうち、オーロラはいいのですが、アザラシはカナダでしか見られないことがわかってきました。カナダに方針変更です。カナダではオーロラも大丈夫です。調べると、やはりアザラシとオーロラを見るツアーというのは人気があるのでしょう、いくつか見つかりました。が、自分の日程に合うようなものがなかなかありません。そこで、手配旅行も手がけているカナディアンネットワークさんに、僕の望むような日程を組んでもらうことにしました。
 
 

【旅立ちまで.その2】

最初、オーロラはあまり日本人のいないところで見たいと思っていました。カナダのオーロラといえば、真っ先にイエローナイフという町が候補に挙がります。しかし、最も有名で設備も整ったその町には年間数千人という日本人観光客が訪れるため、行ったらどこも日本人だらけ、ということになりそうです。それを避けるため、比較的知られていない、フォートスミス、イヌビック、チャーチルといった小さな町で日程を組もうとしました。しかし、そういった町には飛行機があまり飛んでおらず、待ち時間が多くて、少ない日数で行くにはどうしても無理があります。そこで観念し、オーロラはイエローナイフ、アザラシはカナダ東部、ケベックの向こうにあるマドレーヌ島ということで日程が出来上がりました。マドレーヌ島では、ヘリコプターで流氷の上に降り立ち、アザラシを観察することになります。
 それから必要なものを順次買い揃え、着々と準備が進行しているさなかでした。一通のメールが旅行会社から届いたのです。偶然会社で受信したそのメールには、予定していたアザラシの赤ちゃんを見に行くツアーが中止になるかもしれない、という文面が書かれてありました。慌ててもう一度読み直すと、現地において記録的な暖気が入り込み、氷が溶けてヘリコプターが降りられない、また、霧が発生してヘリを飛ばすことも難しい状況、とのことでした。急いで確認の電話を入れると、やはりメールの通りの内容を言われ、相手の方はキャンセルを勧めてきます。念のため、同じツアーを催行している、別の旅行会社にも電話をしてみたのですが、結果は同じで、やはり別の場所に変えたい方がいいよと言われました。しかし、アザラシウォッチングは、この旅の目的の半分です。これとオーロラのためにカナダに行くわけであって、カナダで適当な観光をしたい、ということでは決してないのです。変更をするつもりは毛頭ありませんでした。
 その後、インターネットを検索し、別の手だてがないかを探ってみましたが、やはり無駄でした。2,3日して、現地でのツアーが無事催行されたとのメールが届き、少し落ち着きました。でも、安心はできません。出発まで、不安が払拭できないのが辛かったのですが、事態が好転してくれるのを祈りながら、遂に出発の日を迎えました
 
 

【必要なもの】

今回の旅行では、かつてなかったほどの準備が必要となりました。とにかくまずは防寒用具です。イエローナイフは、北緯60度を超える極地方であり、夜はマイナス30度から40度にもなるという厳寒の地です。日本では想像もできない寒さのため、装備にもお金をかけることになります。まず上着として、ボアの付いたフードのある、キルティング仕立てのコート。そしてズボンはスキー用の完全防寒防水のものです。これはスキー用品店の売り尽くしセールで安く手に入りました。それから、防寒下着の上下、目鼻を覆う覆面のような防寒マスク、厚手の靴下、防水スプレー。これらも全てスキー用品です。手袋と帽子は前から持っていた、やはりスキー用のものを持って行きました。
 それから大変だったのが、撮影機材。前から持っていたオートフォーカスの電動式一眼レフでは、オーロラ撮影時に電池が効かなくなり、使えなくなるらしいのです。昔ながらのマニュアルフォーカス・マニュアルシャッターのカメラを探し、ミノルタの30年前ぐらいの製品を中古で購入しました。さらに、現地でのホームページ更新のため、デジカメも購入。いざ荷造りしようと見てみると、オートフォーカスカメラ、望遠レンズ、マニュアルフォーカスカメラ、デジカメ、ビデオカメラ、三脚と、撮影機材だけでものすごいことになっていました。
 他にも、レリーズ(リモートシャッター)、カメラの保温ケース、いっぱいの使い捨てカイロなど、小物も色々と揃え、そして今回スーツケースも新調しました。少し大きめのものを選んだので、これだけの荷物類は、意外にあっさりと詰めることができました。


【日程】(全て現地時刻)

日付

時刻

内   容

備考

3/11
(土)

18:45

関西空港発

AC890便

10:55

バンクーバー着  

12:30

バンクーバー発

AC112便

20:10

モントリオール着.空港ホテル泊.  

3/12
(日)

11:40

モントリオール発 AC8233便

14:00

モン・ジョリ着  
16:50 モン・ジョリ発 AC8774便
19:50 マドレーヌ島着  

3/13
(月)

14:00

16:30
マドレーヌ島にて、島内観光ツアー.   
19:35 マドレーヌ島発 AC8728便
20:30 ハリフォックス着  
21:10 ハリフォックス発 AC8899便
21:55 モントリオール着.空港ホテル泊.  

3/14
(火)

06:10 モントリオール発 AC483便
07:35 トロント着  
08:45 トロント発 AC123便
10:55 エドモントン着  
11:30 エドモントン発 AC8953便
13:20 イエローナイフ着  
21:00 オーロラ・ツアー参加  

3/15
(水)

13:30

イエローナイフ市内観光  

21:00

オーロラ・ツアー参加   

3/16
(木)

10:00

トナカイ鑑賞ツアー参加  

3/17
(金)

14:00 犬ぞり体験ツアー参加   

22:00

一人、オーロラを見に郊外へ   

3/18
(土)

日中

フリー   

21:00

オーロラ・ツアー参加   

3/19
(日)

08:00

イエローナイフ発 AC8952便 

09:33

エドモントン着  

10:30

エドモントン発 AC227便  
11:05 バンクーバー着  
12:30 バンクーバー発 AC891便 

3/20
(月)

16:45

関西空港着   

いよいよ出発へ

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