Sea Lion Island 読書感想
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◆2026年 2月
ユーミンの罪/酒井 順子
著者の酒井さんは僕とほぼ同年齢で、青春時代をユーミンと共に過ごした世代だ。本書は、ユーミンのどこがすごいのか、我々がどこに共感し、どこに騙されたのかを、初期のアルバムを追っていくことで解き明かしていく。僕は青春をユーミンに捧げた、というほどではないものの、いまだに聞き続け、聞くたびに感心させられる身として、興味深く読み進めた。傑作はやはり初期に集中していると思うが、メロディーも歌詞もこれほど卓越した作品を作るミュージシャンはなかなかいない。ただ僕は、彼女が初期に「死」を扱ったところに大きな特徴があり、やがてOLの教祖して祭り上げられていく中で「死」を歌わなくなったあたりから、急速に興味を失っていった。
ストーンサークルの殺人/M・W・クレイヴン
久しぶりに、がっつりした海外ミステリを読んだ。本書の舞台となるイギリスのカンブリア地方は、僕がかつて旅して好きになった、イギリスの湖水地方のあたり。とくにケズウィックの町には思い入れが深く、僕と妻がカフェを起業した際には店名にも起用したほど。知人から、ケズウィックが舞台になっていると聞かされ、興味を持って読んでみた。
 湖水地方にあるストーンサークルで殺人事件が起こり、いきなり凄惨な場面で物語の幕が開く。ストーンサークルは僕と妻も訪れた場所なので、妙な気持ちになりながら読み進めた。主人公のポーの視点で物語は展開し、しだいに深まっていく謎を追いつつ、ぐいぐいと読ませる力は素晴らしい。真犯人が明かされてからしばらく続く物語の中にも人間ドラマが隠されており、600ページ近い文量も気にならない。
◆2026年 1月
この世にたやすい仕事はない/津村 記久子
つまらない住宅地のすべての家』が素晴らしかったので追いかけている津村さん。『ポトスライムの舟』は今ひとつピンと来なかったが、本作は素晴らしかった。オフビートな内容の中に人生の真実に近いことが散りばめられており、これが人の生きる様なのだろうと強く頷かされる。仕事に疲れ、燃え尽きた人が読むと元気をもらえるかも。

 
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