|
○ ブラジル 3−1 クロアチア ● |
前半は、クロアチアのゲームプランが徹底していた。自分たちの良さを消してまでも守備に徹する。攻撃の中心選手、モドリッチでさえも守りの姿勢を貫いた。そんな中、オウンゴールというタナボタの1点が転がり込み、これが逆にクロアチアのペースを狂わせた気がする。クロアチアとしてはおそらく、前半では0−0で耐え、後半は期を見て一気に責め立てるという感じで考えていた気がする。
ネイマールの1点目は見事だった。あの局面であのゴールを決められるのはスターの証。そしてPKも、プレッシャーのなか、よく蹴った。ただ、試合全体を通じてどうだったかといえば、彼はいつもそんな印象があるが、なんだかプレーが粗いのだ。いい時はいいが、凡ミスも多い。この試合で評価を上げたのはオスカルのほうだろう。3点目は意表をつく不思議なキックで、それ以外にも好機を数多く作った。
クロアチアは、負けはしたものの、インパクトは残した。モドリッチの才能は疑いようもなく、レアル・マドリッドでの経験を経て、さらに一皮むけた気がする。攻守に脅威の存在だったオリッチも(体は重たそうだが、)よかった。今日はブラジル相手で最初から変則の試合運びだったのだ。次からが本領発揮だ。
さて、この試合は開幕戦で開催国ブラジルの逆転勝ち、というとても”美味しい”結果になると共に、残念な話題も振りまいた。主審、西村氏へのバッシングである。ブラジル2点目となるPKの判定がどうだったのか。クロアチアの監督や一部メディアなどからはかなり大げさに叩かれているが、まあこれはよくある話。個人的には、あれぐらいでPKはないだろうと思うが、これは審判システム全体に絡む問題だ。要は、審判を神格化し、一人の人間が目で見た情報だけを頼りに大事な判断をおこない、しかもそれを覆してはならないというところに問題があるのだ。だから、あのPKはおかしいと僕も思うけれど、西村氏を糾弾する気にはならない。今後、似たようなPK問題が多発しないことだけを祈る。なにせ今大会は、ようやくゴール判定システムが導入され、以前のように、完全に入っているゴールが認められないような悔しい思いをすることがなくなったのだから。
ブラジルはこの勝利をもって、グループリーグ1位はまあ確定だろう。ただ、これは僕の好みであるが、今日の試合を見てブラジルを好きにはなれないし、優勝に値するチームとも思えない。 |
|
○ メキシコ 1−0 カメルーン ● |
雨の試合だった。メキシコの試合運びの巧みさが際だつ。いつもどおり、大人のチームである。僕の好きなジオバニ・ドス・サントスが予想通りに活躍し、2回のゴールを決めるも、オフサイドで取り消された。(そのうち1回は明らかにオフサイドではなかった。)それでも終始カメルーンを圧倒し、面白いサッカーを見せ、やはりジオバニのシュートからのこぼれ球をペラルタが押し込んで先制し、そのまま逃げ切った。チームのレベルからして、順当な結果だろう。
|
|
● スペイン 1−5 オランダ ○ |
むふ。
こんな結果、オランダのサポーターだって誰も予測しなかったはず。前回王者で、しかも決勝で辛酸を舐めさせられたスペインを相手に、そして決勝ではただの1点も取らせてくれなかった相手に、5対1の大勝とは!
むふむふ。
つくづくサッカーは難しいと思った。オランダはかなり守備的な布陣を敷き、序盤はやはりスペインのパス回しをオランダが耐える展開が続いた。スペインは選手達のコンディションが良さそうで、対するオランダは守るだけで精一杯。攻撃の態勢がまったく作れず、体も重たそうに見えた。前回大会の決勝もこんな感じで、攻めるスペインにただ守るだけのオランダ、という構図が甦る。あの時のオランダはダーティーなファウルも多く、本当に酷かった。
スペインも決してチャンスは多くないものの、おなじみのパス回しからゴール前に切れ込み、PKを勝ち取る。スローで見ればPKになるほどのプレーとは思われないが、やはりブラジル戦の影響があったのだろうか。セーブしてくれ、とテレビの前で祈るも、シャビ・アロンソがあっさり決める。これでまたスペインにやられるのかと暗い気持ちになる。
ところが、テレビ中継ではオランダの守備について丁寧な解説をしてくれて、実はオランダも悪くはないらしい。5バックで自陣近くに入るボールはしっかりカットしているため、攻め込まれているようで、大きなピンチを何度も防いでいる。キーパーも、最初はなんだか足元が不安で今イチだなあという気がしたが、試合が進むにつれ結構いいかもと思えてきた。
そこへ来て、前半終了間際のファン・ペルシー。ロングパス一本にダイビングヘッドを合わせ、キーパーの頭を抜く絶妙なゴールを決める。ゴールハンターとはこういうものだと言わんばかりの名ゴールだ。これでオランダに活力が生まれ、パスもだんだんと通り始める。まあこれで最後までしのげば引き分け、それで十分だと思っていた。そしたらなんと、ロッベンの逆転ゴールが決まる。あとはスペインが崩れていくのを待つだけだった。スペインのGKカシージャスは、不運な判定はあったものの、明らかな判断ミス(衰えによるものかはわからないが)を犯していた。
こんなことがあるのだろうか。スペインは攻撃的なチームだと思われているが、実は守備にも長けていて、前回大会の全失点はなんと2点である。それがこの1試合だけで5失点。僕が予想で書いた通りになっていくのだろうか。
とにかくこれでオランダのグループリーグ突破は大丈夫だろう。むふふのふ。それでも気を抜かず、1位通過を決めたい。2位になると、決勝トーナメント初戦でブラジルと当たることになるのだ。
|
|
○ チリ 3−1 オーストラリア ● |
地力では勝るチリが、序盤にぽんぽんと2点を挙げた。大黒柱のアレクシス・サンチェスは、ストライカーとしての資質に加え、チームプレイもできるユーティリティープレイヤーでもある。おまけに顔がマフィア顔のため、必要以上に存在感があり、敵にしたくないタイプ。これは楽勝かと思われた頃、オーストラリアも持ち前の高さを生かし、きれいなクロスからのヘディングで、絵に描いたようなゴールを決めた。これで勝負は互角の様相を呈してきたが、最後はやはりこれが力の差なのか、追いつこうとするオーストラリアにとどめの一発をぶち込んだ。この試合もまた、順当な結果だと思う。
|
|
○ コロンビア 3−0 ギリシャ ● |
今大会の注目株、コロンビアの登場である。攻めるコロンビアに守るギリシャ。概略は予想の通りに進んだ試合だけれど、コロンビアの攻撃も期待したほどの迫力はなく、守備はかなり手薄というかギリシャにぽんぽんシュートを打たれていて危うい。それでも序盤でコロンビアがコロコロッとしたゴールを決め、優位に立つ。ギリシャもチャンスは作るが、最後のところでバーに嫌われたりなど、得点には結びつかない。さほど圧倒的な戦力差を感じないのに、終わってみればコロンビアの圧勝となった。このまま尻上がりに調子を上げていけば、コロンビアは期待通りの成績を収めるかも。逆にギリシャは堅守という持ち味も微力で、先が望めなさそう。(僕は予想1位に上げたのだが……)
|
|
● ウルグアイ 1−3 コスタリカ ○ |
ワールドカップだからといって全試合が面白い訳ではなく、こうした退屈な試合もそりゃ出てくる。ウルグアイはスアレスが間に合わず、フォルランの輝きは失せ、カバーニはPKを確実に決めた以外、目立った活躍はなかった。コスタリカが特別いい出来だったとは思わないが、結構な点差の結果が出た。それにしても今大会はよく点が入るので、見ている分には面白い。 |
|
● イングランド 1−2 イタリア ○ |
プランデッリ監督になって新しいチームに生まれ変わったイタリア。2006年大会で優勝したメンバーはまだ残っているが、あの頃やそれ以前のカテナチオとは方法論が全く異なっている。4バックの両サイドは常に高い位置を保ち、そこを含めてパスが回されるので、恐ろしく攻撃的だ。ピルロの能力もまだ色あせない。いっぽう、僕の応援するイングランドは、ルーニーやジェラードがほとんど消えているような状態で、ストゥーリッジ、スターリング、ウェルベックなど、身体能力の高い若い選手が個人技を元にチャンスを作っていた。こちらはあまりいいサッカーとは思えないが、決定期はイタリアよりも多かった。
前半のなかばを過ぎたあたりで試合が動いた。イタリアがセットプレーから強烈なシュートを叩き込む。効果的な攻撃を繰り返していた成果が実り、これはイタリア、調子づくかも、と思っていたらようやくイングランドも目覚めた。そこまで存在感の消えていたルーニーが一発前に抜き出ると、ゴール前に完璧なクロスを入れた。あとは押し込むだけなので、あの1点はルーニーのものだ。ここまででも十分に面白い試合だったが、さらにヒートアップしてきた。
後半に入ってもイタリアの攻撃の手は緩まない。そして遂に怪童バロテッリが本領を発揮した。重心のそれた体勢から、嘘のように強烈なヘディングシュートが決まる。これで1−2となってからは、暑さによる疲労のためか、だんだんと両者の動きが少なくなっていく。イタリアはピルロの運動量が落ち、決定的なチャンスが生まれない。イングランドはジェラード、ルーニー共に不調で、若いストゥーリッジやスターリングは元気だが一人で勝負しようとして、ことごとく潰されていく。終盤、イタリアもチェックが甘くなり、イングランドのパス回しが通るようになる。それでも、最後の砦をこじ開けることは叶わなかった。
イングランドは、この試合では負けてしまったが、なんとなく立ち直ってくれる気がする。(願望込みの話で、だが。) 若い選手とベテラン、スター選手達が自分のやるべき仕事、連携プレーのあり方をもう一度しっかり見つめ直せば、やり方が生まれると思う。いっぽうのイタリア、この戦い方は確かに有効だが、この暑いブラジルの地で、何試合もこれを続けていけるのかというと不安も大きい。 |
|
○ コートジボワール 2−1 日本 ● |
恐るべきはドログバ。途中出場で出てきた途端、一瞬で試合の流れを変えた。煙り立つようなオーラを身にまとい、神懸かり的なボールタッチを披露する。彼自身のゴールはなかったものの、2点ともに確実に彼が生み出したと言える得点だった。
日本は、僕の予想以上に動きが悪かった。本田は相変わらず体が動かず、それに合わせるように香川も長谷部もいいところがまるでない。もちろん瞬間的な動きの冴えで奪った1点には唸らされたが、試合中、唯一ともいうべき日本の輝きだった。暑さと、繰り返し降ったりやんだりを繰り返す雨に苦しんだのかもしれないが、それは相手も同じこと。コートジボワールも日本と大差はなく、ドログバがいなければどうなっていたかわからない。ただ、個人能力はそこそこ発揮できていたので、この結果はまあ妥当というところか。 |
|
○ スイス 2−1 エクアドル ● |
どちらも攻撃的なスタイルで、意外にも好カードとなった。スイスの監督は、あのヒッツフェルトさん(ドイツのバイエルン・ミュンヘンなどで手腕を発揮した)だったのか。エクアドルの時間帯、スイスの時間帯と、それぞれが攻勢になったり守勢に回ったり、めまぐるしい攻防が続く。先制点はエクアドル。コーナー近くのFKから、マンチェスター・ユナイテッドで活躍するバレンシアがきれいなヘディングを決める。スイスも後半早々、同じような位置のコーナーキックから、交代したばかりのメフメディがやはりヘディングで決め、同点に追いつく。このあたりから、シャキリを中心にスイスが徐々に試合の主導権を握るようになる。今大会初めての同点かというムードが漂いはじめたロスタイム、やはり交代で入ったスイスのセフェロヴィッチが、ゴール前にこぼれてきたボールを渾身の力で蹴り込み、劇的な逆転弾を決めた。これはいい試合だ。 |
|
○ フランス 3−0 ホンジュラス ● |
やったぜ、ベンちゃん!
前回大会でメンバーから漏れ、悔しい思いをしただろうベンゼマ。ようやく出場叶ったワールドカップで、さっそく大きな仕事をやってのけた。最初のPKもかなりのプレッシャーだったろうが思い切り決め、さらに2点目も彼が決めたようなものだった。そして3点目こそ圧巻のゴール。狭い隙間を抜いてゴールに突き刺さる、本当に素晴らしいゴールだった。ホンジュラスも、守備体系はかなりしっかりしていてフランスを苦しめたが、やはりそれだけで勝利するというのは難しい。
ただ、これでフランスはこの先も安泰かというと、そうも言っていられない。おそらくグループリーグは抜けるだろうが、競合国を次々と破っていく力があるのかどうか。ベンゼマは、この試合でこそ活躍したものの、パスワークでもどかしい場面がいくつも見られた。リベリの欠場が、この勝利においてさえ痛手に思えてくる。 |
|
○ アルゼンチン 2−1 ボスニア・ヘルツェゴビナ ● |
アルゼンチンは、試合開始早々ラッキーなゴールを決めたものの、そのせいでアグレッシブさも見られず、前半は面白みの薄い内容だった。ボスニアのほうもそこそこチャンスは作りながら攻めきれない。後半に入り、元レアル・マドリッドのガゴが入ってからはボールが繋がるようになり、アルゼンチンのチャンスが増えていく。そこへ来て待望のゴール。ディフェンダーをひょいひょいと交わしてゴールの隅にたたき込む、メッシらしいゴールだった。この後、ボスニアも1点を返すも力及ばず、試合終了。
メッシは今回ゴールを決めはしたが、相変わらず代表チームではぱっとしない。今や二人目のスーパースター、ディ・マリアが円熟期を迎え、彼との連携でうまくいくかと思いきやそんな気配もない。ディ・マリアも、レアル・マドリッドで見せるような、サイドをえぐって精度の高いクロスをあげるプレイがまったく見られない。フランス同様、グループリーグ勝ち抜けは問題ないだろうが、その先を勝ち進めるかには大いに疑問が残る。 |
|
○ ドイツ 4−0 ポルトガル ● |
さてさて、我が二番応援のポルトガルの登場、しかも相手はドイツだ。ドイツの勝ちは濃厚だが、なんとか凌いで引き分けに持ち込めれば十分、と思っていた。それなのに。ああ、それなのに。
退場となったペペ一人に責任を負わせるのはかわいそうだ。敗因はいくらでもある。ロナウド中心のチームにおいて、彼がトップコンディションにない影響は大きい。テクニックというより彼の凄みは瞬間のダッシュ力、突破力、シュート力にある。体が万全でなければ、魅力は色褪せてしまう。コエントランの負傷交代ももちろん大きい。攻撃の大きなコマが一つ減ってしまい、さらに、レアル・マドリッドという大クラブでプレイしているという神通力というか経験値みたいなものも、奪われてしまった。
ドイツは思った以上に盤石だった。どんな体勢からでも攻撃が組み立てられるし、守備の組織も頑丈でつけいる隙がない。GKのノイアーも抜群の動きで、ここまで見た中では確実に最高のキーパーだろう。ただ、僕がドイツ人選手で二人目に好きになったエジル(一人目はザマー)やゲッツェなど、テクニシャンタイプの選手は、悪い動きではなかったものの、それほど輝く場面はなかった。まあ現代サッカーにおいて、一人の活躍で試合が決まるようなことはめっきり少なくなっているのだが。
とはいえ、僕はこの試合のポルトガル、悪くなかったと思っている。これは応援する者の強がりではなく、これまでの大きな大会でできなかったパスワーク、セカンドボールの奪取など、基本的な組織プレーが意外にしっかり出来ていたのだ。特に、ジョアン・モウティーニョに覚醒の兆しがあり、彼が活躍して前線にパスを配球できるようになったら、ポルトガルはまだまだよくなる。まだ終わっちゃいない。 |
|
△ イラン 0−0 ナイジェリア △ |
これもまた息抜きというか、流して見る試合。両チーム共に、かつてはスター選手もいたが、いまや凋落傾向なのは否めない。ナイジェリアが躍動感溢れるプレーをし、爽やかな緑のユニフォームも綺麗で、見ていて気持ちがいい。 |
|
● ガーナ 1−2 アメリカ ○ |
どちらかと言えばガーナが攻め込んでいる印象があったが、最後にはアメリカが決勝点を決めた。サッカーとは理不尽なものだ。アメリカの実力はおそらくこれ以上ではなかろうが、ガーナはまだ爆発力を秘めている。ドイツ、ポルトガルとの対戦でその真価が問われる。 |
|
○ ベルギー 2−1 アルジェリア ● |
今大会、最大の目玉と言っていい、ベルギーの登場。僕の三番応援のチームでもあるので、注目していた。ところが序盤、なんだか動きが固く、うまく攻撃の組み立てができない。対するアルジェリアのほうが、常に動いて相手のボールを奪いパスを回すという、攻守にバランスの取れた戦い方をしている。ベルギーのいい所がまったく出ない。何度かのアルジェリアの攻撃が功を奏し、遂にPKによる先制点を奪う。
ところで今大会の特徴でもある、途中出場の選手がドンピシャで活躍をし、逆転勝ちを収めるという図式。それがこの試合でも見られることになる。アザールが徐々にテクニックを見せ、ドリブル、パスで次々とチャンスを作り始める。交代で入ったフェライニが、マンチェスター・ユナイテッドでの不振を感じさせないプレーで貢献し、得点を挙げた。さらに、入るべくして入ったメルテンスの強烈な逆転弾。ベルギーが勝ち点3をもぎ取った。
ベルギーがなかなか得点できない時間帯では、ふと1994年大会のコロンビアを思い出した。あの時も、かなりの前評判ながら初戦でルーマニアに負けてしまい、結局グループリーグ突破を果たせずに消えた。今回のベルギーはとにかく最高と言ってもいい組に入った(他が弱いという意味で)ので、決勝トーナメント進出は固いだろうが、その先はどうだろう。どうしても昨日のドイツを考えてしまうが、あのドイツにベルギーが勝てるとは思えない。そこまでの衝撃はなかったというのが正直な感想だ。この先、どんどん調子を上げて勢いをつけていってほしい。 |
|
△ ブラジル 0−0 メキシコ △ |
ブラジルが、難敵メキシコを迎えた。どちらも初戦を勝利しての2戦目で、ここで勝てばほぼグループリーグ突破が決まる。ブラジルは圧倒的な応援のもと、いくつものチャンスを作るものの、なかなか得点を決め切れない。見たところ五分五分といった印象で、両者無得点のまま前半が終わる。
後半に入ると、両者さらにアグレッシブになりチャンスも増えるが、決定打が奪えない。メキシコがしぶといのか、ブラジルがふがいないのか。メキシコのGKが”当たって”いたせいもあるが、僕はやはり後者とみている。けっきょく0−0のまま終了。ブラジルはこれでいいのか? |
|
△ ロシア 1−1 韓国 △ |
ロシア、韓国ともにさほど魅力的なサッカーとは言えず、残念ながら退屈な試合と言わざるを得ない。ロシアはアルシャヴィンがいた頃が懐かしい。とはいえ、徐々に攻撃的な姿勢が見え始め、後半に入って1点ずつを取り合った。これまたどちらも交代選手による得点だ。ここまで続くと不思議な気持ちになる。 |
|
● オーストラリア 2−3 オランダ ○ |
なんたる試合! そしてオランダ、よく勝った!
現時点での大会ベストゲームはこれで決まりだろう。オランダがゲームを通じて出来が良かったわけでは全くないが、それはスペイン戦も同じこと。むしろ、完全に支配していなくとも勝ってしまうところに強さを感じる。ドイツのような強さではなく、とにかく勝負強いのだ。これはこの先、どんどん良くなっていく予感がある。優勝するチームはたいてい、最初は不調なところから徐々に調子を上げていくものだ。
初戦を最高の形で終えたオランダ、ここで一気に決勝トーナメント進出を決めたいところだった。ところが、試合の滑り出しはオーストラリアのペース。果敢なアタックでオランダのパスコースを消し、奪ったボールを効果的に前へ持っていく。オランダはうまくパスが回らず、いい所が出ない。それでも先制したのはオランダだった。ロッベンがセンターライン付近でボールを受けると、タイミングを外して駆け上がり、そのままゴールを決めた。
これでオランダのペースか、と思った矢先、オーストラリアのケーヒルがもの凄いゴールを決める。後方から来た長いパスを、トラップせずにそのままボレーで叩き込む。今大会ベストというべきスーパーゴール。これでオーストラリアがふたたび息を吹き返す。逆にオランダは楽にいけるかと思ったところだったので、ショックは大きい。
オランダに追い打ちをかけたのが、後半に入ってからのPKだった。しかしもういい加減なんとかしないかアレ、と思うのは、単に手に当たっただけでハンドを取られるというやつ。巧いフォワードなら、わざと相手ディフェンダーの手に当てることは簡単だ。ハンドというルールにははっきりと”故意に”手を使ったら反則、ということが書いてあるはず。なのに最近はこうしたハンドでPKになるシーンが後を絶たない。
とにかくこのPKを決められ、オランダは逆転を許した。それでもオランダは優勝を目指すチームだ。この先何度も、こうした逆境を跳ね返していかねばならない。こなしていけ、これくらい。忍耐の時間が続いた。すると、前半のお返しとばかり、失点直後にオランダがゴールを決める。いまや絶対的エースとなった、ファン・ペルシーだ。破壊的に強烈なシュートを、ゴールの上部へ叩き込んだ。これで勢いづいたオランダは、動きがどんどん良くなっていく。最初のうちはなんだか勢いのなかったパスが、するすると通り出す。もちろん、無理をしてでもボールを追っていたオーストラリアの息切れもあった。スペースがどんどん出来て、そこをオランダがついて攻める。交代で入ったデパイがよく動いてチャンスを作っていたが、今度は彼自身が遠目からシュートを打ち、得点を決める。これで再逆転だ。歓喜に沸くオランダサポーター、そして僕。
オランダはここからが一番の頑張りどころ。選手達の思いは一つ。このリードを保ち、勝ち切らねばならない。実はオランダはオーストラリアに勝ったことがないそうだ。そうした苦手意識も頭をかすめたかもしれない。でも、みんなよく耐え抜いた。とくにデ・ヨングが驚異的なスタミナで、相手のチャンスをことごとく潰していく様は、感動的でさえあった。そして試合終了の笛。オランダのミッション、完了である。
面白かったのは、オランダのディフェンダー、マルティンスが負傷した時のこと。通常なら別のディフェンダーに替えるところ、ファン・ハール監督は、フォワードのデパイを投入した。大丈夫か、とも思ったが、この作戦が完璧にはまった。リードしながら早い時点でディフェンス固めの交代をして自滅した、2004年欧州選手権のアドフォカート監督とは、雲泥の差だ。
さあ、これで決勝トーナメント進出は決まった。ただ、ブラジルと当たらないためにも、次のチリ戦も勝っていきたい。しかし一番の不安はディフェンダー陣である。守備力というか、足元のボールさばきに難があり、いつもひやひやさせられる。あとはスナイデルの出来がまだ悪い。彼が爆発すれば、もっと楽に試合を進めるはずだ。 |
|
● スペイン 0−2 チリ ○ |
なんたる結果。あのスペインが連敗で決勝トーナメントに進めないとは! 確かに事前予想では僕も3位に書いたけれども、もしかしたらこんなことも、という程度の話。あれだけ強かったスペインが、相手の好守に阻まれて、という感じでもなく、こてんぱんに叩きのめされて、手も足も出ずに敗退という結果になるとは思わなかった。
ただ、2008年に欧州選手権に優勝して以来、同じ気持ちでここまで来てしまったツケが一気に回ってきたのだと思う。チームの中心選手はいまだにシャビ、イニエスタを中心に代わり映えがしない。彼らの衰えを早めに察知し、次の世代の育成を急ぐべきだった。そのあたりがドイツとの差である。
いっぽう、チリにおいても簡単な試合ではなかったはずなのに、終わってみればこの大差。やはり曲者だ、ここは。 |
|
● カメルーン 0−4 クロアチア ○ |
思ったとおり、クロアチアは強かった。初戦のレポートにも書いたとおり、ブラジルに負けはしたが、決して悪いサッカーではなかった。ここにきてようやく、本領発揮である。エースのマンジュキッチが戻ったのも大きく、実際に得点を決めてみせたのは頼れる大エースの証拠だ。モドリッチはまだ100%ではないが、ラキティッチ、そしてチーム随一の頑張り屋オリッチなど、タレントはいくらでもいる。カメルーンは、チャンスをつかみかけてはいたものの、ソングの退場で全ては台無しとなった。 |
|
○ コロンビア 2−1 コートジボワール ● |
前半を見ていると何故か、アマチュア同士の試合のように思えてしまった。明確な戦術が感じられず、ただ闇雲にボールを蹴り合っているだけのような。それでも、ドログバが入って試合が動き出す。日本戦と違ったのは、得点したのが相手のコロンビアのほうだったこと。しかもたて続けに2本のゴールを決めた。コロンビアはこの試合でも、圧倒的な攻撃力というよりは、要所要所での老獪さのような感じで勝ちをものにした。面白い試合かというと首をひねらざるをえないけれど。 |
|
○ ウルグアイ 2−1 イングランド ● |
どちらかといえばイングランドの優勢で試合が運ぶものの、ウルグアイは、超人スアレスの2点でイングランドの希望を打ち砕いた。2点とも、並のゴールではない。彼が今、世界最高のストライカーだということを世界に見せつける一戦だった。
イングランドは、頼みのルーニー、ジェラードが初戦同様ぱっとせず、スターリングのドリブルや個人技も空振りに終わる。若手起用が奏功せず、このチームの完成にはまだ時間がかかりそうだ。 |
|
△ 日本 0−0 ギリシャ △ |
日本は、弾けそうでうまく弾けない。場面場面ではいい動きもあるのだが、恒常的な組織として成り立っていない気がする。何があったか知らないが、本田の動きの重さは致命的なレベル。香川がフィットしないのは、本田中心のチームだからかもしれない。一度、本田抜きで戦ってみてはどうなのか。4年前は不可欠の存在だった彼も、今大会では単なる重荷に思えてしまう。
対するギリシャも、いいチーム状態とは言えないだろう。淋しい話だが、結果どおりの試合だったように思う。 |
|
● イタリア 0−1 コスタリカ ○ |
イタリアはイングランド戦よりも出来が悪かった。ミスが多く、ピルロもときおりいいプレーは見せるもののさほどスーパーな動きではない。バロテッリは組み立てにも守備にもほとんど参加せず、最後のボールだけを待っている状態だ。しっかり動いて守備までこなすスアレスとはそこが違う。彼はスーパーサブ的に使ったほうがいいような気もするが、そうなると今度はへそを曲げてしまうので、こうした選手は能力があっても活躍できないことが多い。
コスタリカはコンパクトかつシンプルなサッカーで、なかなか狡猾な戦い方を見せた。プレーの幅が広いわけではないが、同じ攻撃を徹底することで、自分たちのできる最大限のプレーを披露し、見事に得点に結びつけた。面白みはないが、強くはある。
死の組と呼ばれるこの組で、最初にグループリーグ突破を決めたのがコスタリカだと誰が予想できただろう。同時に、イングランドの敗退が決まった。残念だが、チーム状態からすれば妥当な結果かもしれない。 |
|
● スイス 2−5 フランス ○ |
フランスは前試合よりもさらに調子を上げてきた。全員の動きが統一されており、迫力ある攻撃を見せた。先発で入ったジルーがきっちりゴールを決め、さらにその直後、相手のミスから2点目を決めた。その後、ベンゼマのPK失敗があったものの、相手コーナーキックからパス3本ほどで決めたゴールは圧巻だった。
その後もフランスの怒濤の攻めが続く。試合をしている間にも、フランスチームは成長している。最後に2点を取られたのは余分だったが、フランスの完勝と言ってもいいだろう。
いやあ、フランス強い強い。そういえば思い出した。2004年から2010年の前回ワールドカップまでは、ドメネクという無能な馬鹿監督がなぜか長期間君臨していて、僕は彼が大嫌いだった。結果が出ないのに何故か解任されず、あれはフランスサッカーの暗黒時代だと思う。 |
|
● ホンジュラス 1−2 エクアドル ○ |
僕にとっては、直接的にも間接的にも興味の薄い試合。全試合を観ているのだから、たまにはこうした息抜きも必要だ。先制したのは意外にもホンジュラスだったが、きっちり逆転するエクアドルはすごい。 |
|
○ アルゼンチン 1−0 イラン ● |
アルゼンチンは、前試合に比べ、格段に動きがよくなった。とくに、ディ・マリアの切れが戻ってきており、彼がボールを持つと絶対に取られない。左サイドはサイドバックのロホもよくオーバーラップをしてチャンスを作り、それを見てディ・マリアが逆サイドに回ったりなど、攻撃は多彩だ。なのに、得点がなかなか奪えない。
イランは前試合も無失点だったように、守備固めをしっかりできるチームのようだ。アルゼンチン相手にもそれが徹底できていることは評価に値する。よほど監督がしっかりと指導しているのだろう。ただ、面白みはない。
そして最後はやはりこの人、メッシが決めた。試合を通じて出来が良かったわけではないが、こうした場面で決定的な仕事ができるのが、スーパースターの証拠である。いっぽう、他のフォワード陣はかなり出来が悪かった。 |
|
△ ドイツ 2−2 ガーナ △ |
両者最後まで攻撃的で、素晴らしい一戦であった。ドイツが相変わらずの盤石の布陣で、序盤はペースを握る。ところがガーナはそれをきっちり守り切り、カウンターで効果的な攻めを見せる。前半を終わってみれば、決定的なチャンスはガーナのほうが多く作っていた。
ドイツは攻めても攻めても得点できず、心身のダメージが重なっていたろうが、後半に入ってようやくゲッツェがゴールをこじ開ける。これでドイツが落ち着くかと思いきや、ガーナは全く諦めることなく前半同様の攻撃を続け、直後に同点弾、さらにその10分後には逆転まで決めてしまった。
これで終わることはないだろうと思っていたら、ドイツは終盤に来てクローゼとシュバンシュタイガーを入れてきた。ここでクローゼかなあ、と僕は首をひねったが、レーヴ監督の判断は正しかった。交代してすぐに、クローゼがこぼれ球を渋く押し込み、同点とする。泥臭い、彼らしいゴールだった。これでワールドカップ通算ゴール数でロナウドに並ぶトップタイとなった。
その後も、両者勝ちに行く積極的な攻めが続き、最後まで目の離せない一戦となった。ガーナはドイツ相手にこの試合と結果を残せるとは大健闘である。両チームに拍手を送りたい。 |
|
○ ナイジェリア 1−0 ボスニア・ヘルツェゴビナ ● |
個人能力を生かす攻撃のナイジェリアと、旧ユーゴ勢の特徴である華麗なパスワークを見せるボスニア・ヘルツェゴビナという、わかりやすい構図の試合。ナイジェリアが先制し、試合終盤はボスニアがなんとか得点しようと猛攻を見せるものの、結局そのまま終了。これでボスニアは敗退が決定。いっぽうのナイジェリアは、1998年大会以来の勝利だったというのは意外。 |
|
○ ベルギー 1−0 ロシア ● |
ベルギーが開始早々、何か吹っ切れたように伸び伸びとしたプレーを見せた。各選手がよく動き、きれいなパスワークを見せながら攻撃の手を進めていく。ただ、今大会では、ボール保持率が高くても勝てないという傾向がある。2連敗で敗退を決めたスペインの印象が強烈だったせいかもしれない。ベルギーが圧倒的に攻めながら得点を奪えず、逆に決定的なシュートはロシアのほうが多いという展開となり、ベルギーもだんだんと手詰まりになっていく。
ルカクは体調が万全ではないようで、まったく良いところのないまま交代となる。さらに、前試合で強烈なゴールを決めたメルテンスも、試合開始から積極的に動くものの、ややプレーが荒く自滅しがちだった。フェライニもかつての切れは戻らず、重い体を持てあましている。ただ、交代で入った19歳のオリジが元気に動き回り、ベルギーに活気が出始める。両者無得点のまま残り5分を切ったころ、ベルギーがここぞとばかりにギアを変え、果敢に攻め始めた。そして最後はやはりこの人、アザールが左サイドを切り裂き、中央に短いパスを送る。これをオリジが確実に決め、ようやく均衡が崩れた。ベルギーはこの1点をしっかり守りきり、結果として2連勝でグループリーグ突破を決めた。これでベルギーも調子の波に乗り始めた気がする。さらにいい状態で決勝トーナメントに臨んでほしい。 |
|
● 韓国 2−4 アルジェリア ○ |
アルジェリアは、さすがジダンを生んだ国だけあって、初戦に続いて素晴らしい攻撃を見せ、勝利を手にした。各選手が常に動いてパスを回し、攻撃を組み立てていく。それはちょうど2002年の日韓大会において、ヒディンク監督に率いられた韓国チームが実践したやり方だった。あの時の韓国は、実績となったベスト4に値するかはともかく、今のチームより格段に強かったことは確かだ。この試合では、ソン・フンミンの能力は際だっていたものの、他に特筆すべき内容が見当たらない。 |
|
△ アメリカ 2−2 ポルトガル △ |
アメリカはいつもポルトガルを苦しめる。2002年日韓大会をまた思い出してしまうが、この時もポルトガルはグループリーグ初戦でアメリカと当たり、2−3で敗れている。今日の試合、ポルトガルは序盤でナニの豪快なゴールが決まり、出だしは上々だった。しかし、やはり頼みのクリスティアーノ・ロナウドに切れは戻っておらず、まともに走ることさえ出来ない状態だ。さらに、初戦に続くアクシデント。フォワードのポスティガが前半16分に、また、サイドバックのアンドレ・アルメイダが後半開始時に、それぞれ怪我で交代を強いられる。アンドレは、左サイドをよく駆け上がってチャンスを作っていて、(そのぶん自サイドにスペースを開けてピンチも招いていたが、)貴重な攻撃のコマだった。この試合だけのことならよいが、と願わずにいられない。
アメリカは今日も動きがよかった。上記のアルジェリアと同様に、とにかく元気に動き回り、相手のパスをカットして攻撃につなげる。だが、この戦い方は体力を求められる。さんざん攻めても点が取れないアメリカは、後半に入って明らかに運動量が落ちた。
このまま終わればポルトガルの勝ち、その僕の思いは届かず、遂にアメリカのゴールが決まる。コーナーキックからの流れで、ジョーンズが外側から回り込む豪快なシュートを突き刺した。キーパーは全く動けなかった。
さらにポルトガルには悪夢の展開。残り10分を切った頃、テンプシーの人を食ったようなお腹でのゴールで、逆転を許してしまった。このまま終わればポルトガルは敗退が決まる。なのに、ロナウドは再三のチャンスに、全くらしくないミスキック、ミスパスを繰り返すばかり。これで万事休す。誰もがそう思った終了間際、スーパースターは一瞬だけ輝きを解き放つ。右サイドを駆け上がったロナウドが、センターへのクロスを上げる。これがドンピシャでヴァレラの頭に合い、奇跡の同点ゴールが生まれた。
これでポルトガルは、首の皮一枚つながった。それでも、決勝トーナメント進出の道は厳しい。とにかく、次の試合ではガーナに大差で勝利し、ドイツがアメリカに大差で勝利しなければならない。 |
|
● オーストラリア 0−3 スペイン ○ |
スペインは重圧から解放され、ようやく本来のパスサッカーを見せることができた。だったら最初からそうしていればとも思うが、そこがうまくいかないのが人生というものか。逆にオーストラリアは敗退決定でモチベーションを無くしたようで、前2試合のような果敢なプレーが影を潜めた。しかしこの先、スペインはどう変わっていくのだろうか。 |
|
○ オランダ 2−0 チリ ● |
両者ともに決勝トーナメント進出を決めているが、2位だとブラジルに当たる可能性が高いため、単なる消化試合ではない。とくにチリは引き分けでは2位なので積極的に攻めてきた。いっぽうのオランダ、前半はほとんどいい所がなく、今大会で最悪に出来が悪い。まったくボールが保持できず、パスも繋がらない。ロッベンのドリブルなど、個人技で攻め込むシーンも見られるが、決定機にはならない。チリもまた、ボール保持はできるものの、最後のところでオランダの固い守備に阻まれている。
前半があまりにも不甲斐なかったため、僕もそれまで普通の服で見ていたのを、オレンジのポロシャツに着替えた。その甲斐あってか、それともチリの守り疲れか、はたまたオランダの最初からの戦略だったのか定かではないが、オランダの攻撃の形が出来てきた。最終的にチリに得点を与えず、2点を決めてみせたのは、オランダの力がまさった証拠だろう。今日も交代で入ったデパイの動きが素晴らしく、得点も決めた。また、チリの攻撃を完封に押さえた守備陣、とくにフラールの働きが大きかった。初戦の頃に感じた守備の不安がだいぶ解消されてきたようだ。
オランダはこれで3連勝、文句なしの1位抜けである。どの試合も圧倒的に強いという訳ではないものの、勝利をもぎとるところには、こうした大きな大会を勝ち抜く勝負強さを感じる。決勝トーナメントも、この調子で最後まで勝ち進んでほしい。 |
|
○ ブラジル 4−1 カメルーン ● |
力の差、そしてモチベーションの差があまりにはっきりしすぎて、面白いという試合ではなかった。それでも僕にとっては、ブラジルが2位になったりすると決勝トーナメント一回戦でオランダと当たることになるため、是が非でもきっちり勝ってほしかった。そんな中で難なく勝ち切るブラジルにはさすがに地元開催の勢いを感じる。ネイマールも、今大会のスター選手として申し分のない輝き方だ。これで優勝までいったら、それこそ世界的な大騒ぎになって次のバロンドールも視野に入ってくる。 |
|
● クロアチア 1−3 メキシコ ○ |
クロアチアは勝たなければ決勝トーナメント進出はない。そのせいで固くなったのか、それとも疲労がたまってきているのか、前2試合に比べて格段に動きが悪かった。モドリッチ、オリッチ、ラキティッチなど、いずれもまったく目立った動きを見せない。逆にメキシコの動きが素晴らしく、全盛期のスペインのように華麗なパスさばきを見せてくれた。それにしても、ラファエル・マルケスはとっくに引退したものと勝手に思っていたら、今大会もしっかりキャプテンとして出場していた。そしてこの試合で、大事な大事な先制点を決めたのだ。均衡が破れると、クロアチアは後がないので攻めに転じるしかない。すると守備が手薄になり、そこをついてメキシコが追加点を入れたのはもう必然の流れだったろう。クロアチアはいいチームが出来ていたのに、実力を出し切れずに去る。もったいない。 |
|
● イタリア 0−1 ウルグアイ ○ |
死のD組は、まさかのコスタリカがグループリーグ突破を一番に決めた。そしてこちらは、勝てば勝ち抜けが決まるという、一発勝負の真剣試合。そのせいかどちらも固さが見られ、前半は無得点に終わる。後半に入り、イタリアにアクシデント発生。マルキジオがレッドカードで一発退場となった。それでも引き分けなら勝ち抜けるイタリア、守備を固めてピンチを凌ぐ。だが、残り10分を切ったところで、遂に牙城が崩れる。ウルグアイのゴディンがヘディングシュートを決め、ウルグアイ先制。この1点を守りきったウルグアイが、3位からの逆転進出を決めた。イタリアは、まさかの2大会連続グループリーグ敗退となる。
スペインと共にイタリアは、盛りの過ぎた選手を中心に据えたシステムを変えなかったところに敗因があるように思う。つまり、ピルロ、そしてシャビのことだ。栄光の過ぎ去るのは速い。常に次世代へとバトンタッチしていかねば、どんなに強いチームでも勝ち続けることはできない。 |
|
△ コスタリカ 0−0 イングランド △ |
あああ、イングランドは、最後までいいとこなしで終わってしまった。近年は、大きな大会ではそうした失望を何度か味わってきたが、今回はひと味違うのでは、という僅かな期待は大きく外れた。ジェラードはおそらく最後のワールドカップになるだろうが、既にルーニーでさえ時代遅れになっているのだろうか。 |
|
● 日本 1−4 コロンビア ○ |
前半終了間際、岡崎が同点弾をぶちこんだ時には、これはもしかするかも、と誰もが思ったろう。しかし同時に、最初からこれだけ飛ばせば、後半はばてて動けなくなるのも自明のことだったように思う。それでも今日の日本は素晴らしかった。常にアグレッシブな姿勢を崩さず、全員で攻め、全員で守った。あまり根性論は好きではないが、魂のこもったプレーだったと思う。健闘に、心から拍手を送りたい。また、コロンビアはこれで決勝トーナメントを勝ち進んでいってほしい。やはり地力のあるチームだ。
日本は、本田依存のチームから生まれ変わる時ではないか。シャビ頼みのスペイン、ピルロ頼みのイタリアと共に敗れ去った今、次のステップを考えるべき時だと思う。 |
|
○ ギリシャ 2−1 コートジボワール ● |
最高にヒートアップした日本−コロンビア戦に比べ、こちらの試合にはあまり熱が感じられない。ギリシャが先制し、逃げ切れば勝ち抜けるところで、コートジボワールが同点とし、今度はコートジボワールが有利な状況となった。このままタイムアップかと思われた瞬間、ギリシャが奇跡のPKを得る。これを冷静に沈めたギリシャが勝ち、日本が負けたため、ギリシャが4位からの大逆転進出となった。 |
|
● ナイジェリア 2−3 アルゼンチン ○ |
思いがけず、撃ち合いの試合となった。しかも、アルゼンチンが得点すると直後にナイジェリアが返して同点にする。これが2回繰り返された。それでも最後はアルゼンチンが意地の3点目を決め、勝負が決まる。グループリーグ突破を決めていたアルゼンチンにとっては、流しながらもきっちり勝てたところに収穫がある。メッシとディ・マリアもだんだんと良くなってきた。それでも絶好調というほどでもないので、優勝するにはさらにギアを変えて臨まねばならない。 |
|
○ ボスニア・ヘルツェゴビナ 3−1 イラン ● |
ボスニア・ヘルツェゴビナはもちろん初出場なのだけれども、旧ユーゴスラビア勢ということでいえば、決して弱小国ではない。1998年大会で、同じく初出場でベスト4まで進んだクロアチアほどではないにせよ、世界的レベルのフォワード、ジェコを筆頭にした選手層で、もう少し活躍できたはず。対するイランは、ずっと守備固めで勝ち進んできたのに、ここにきて大量失点を喫してしまった。アルゼンチン戦のような戦い方ができていればと思うが仕方がない。これでアジア勢は韓国を残すのみとなった。 |
|
● ホンジュラス 0−3 スイス ○ |
エース、シャキリの大活躍により、逆転でのグループリーグ突破を決めた。乗った時のスイスはなかなか手強い。決勝トーナメントではアルゼンチンと当たることになるが、なかなかの好ゲームになる予感大である。 |
|
△ エクアドル 0−0 フランス △ |
フランスはほぼグループリーグ突破を確定しているようなものなので、それほど本気で攻めにはいかない。それでも、肩の力が抜けているせいでかえって優雅にパスを回したりしている。まあこの先はまだ長いので、このあたりで休みモードでも仕方がないだろう。とにかく負けなければ1位通過なのだから。対するエクアドルは必死で追いすがるものの、レッドカードで退場者を出し、厳しい戦いとなった。それでもGKドミンゲスが好セーブを連発してフランスの得点を許さない。フランスが攻め込み、エクアドルがそれに耐えてカウンター、という状態が続く。結局そのままスコアレスドローとなった。 |
|
● アメリカ 0−1 ドイツ ○ |
ドイツは余裕の戦いぶりで1位通過。それにしてもミュラーは代表の大舞台だとゴールを決める。点取り屋というイメージはまったくないのに。アメリカも、ポルトガル対ガーナ戦の途中経過を逐一確認しながらだったと思うので、1点差での負けならよしとしたのだろう。消化試合だった。 |
|
○ ポルトガル 2−1 ガーナ ● |
ポルトガル、最後までよく戦った。不可能と言われながらも、僅かな希望に最後まですがりついた。それにしても、けが人が多すぎた。フォワードにディフェンダーにと、次々と離脱していき、この試合では再びゴールキーパーが負傷し、第3キーパーまで出てくる有様だった。そんな中でも勝利できたのは、闘将と言ってもいいクリスティアーノ・ロナウドの執念の1点が決まったからである。正直、チームの戦力としてはガーナのほうが上だったように思うが、ポルトガルは特に前半は相手を圧倒する勢いだった。ロナウドのシュートが何度も相手キーパーの攻守に阻まれてしまった。あの時間帯で2点ほど取っておけばとも思うが、タラレバは通用しない。 |
|
● 韓国 0−1 ベルギー ○ |
ベルギーもドイツと同様、ほぼ1位通過を決めた中での韓国戦。余裕の戦いぶりだった。スコアもドイツ対アメリカと同じ、1−0である。省エネで選手を温存しながらもきっちり勝利はもぎとっていく。ドイツ並みの貫禄が出てきた。この先どここまでいけるか、楽しみ。 |
|
△ アルジェリア 1−1 ロシア △ |
早い時間帯でロシアが先制しながら、アルジェリアが後半に追いつき、引き分けに持ち込むことでグループリーグ突破を決めた。アルジェリアはこれで初の決勝トーナメント進出だ。やはりジダンの国、ロシアを差し置いての健闘は大したものである。 |
|