6/30(日) 決勝  ドイツ×ブラジル
6/29(土) 3位決定戦  韓国×トルコ
6/26(水) 準決勝  ブラジル×トルコ
6/25(火) 準決勝  ドイツ×韓国
6/22(土) 準々決勝  スペイン×韓国 セネガル×トルコ
6/21(金) 準々決勝  イングランド×ブラジル ドイツ×アメリカ
6/18(火) 1回戦  日本×トルコ 韓国×イタリア
6/17(月) 1回戦  メキシコ×アメリカ ブラジル×ベルギー
6/16(日) 1回戦  スウェーデン×セネガル スペイン×アイルランド
6/15(土) 1回戦  ドイツ×パラグアイ デンマーク×イングランド
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6/30   決勝
  ● ドイツ 0−2 ブラジル ○      
 
ロナウド 後半22'
ロナウド 後半34'
     
     
 事前の予想に反し、互いに攻撃的な意志の見える好ゲームだった。ドイツはとくに前半にいい攻めの形を作りブラジルを脅かしたが、最後の詰めが足りなかった。
 バラックの抜けた穴をどうするか、とさかんにマスコミで叫ばれた。しかし、もともと今大会でバラックはそれほどに活躍してはいない。シュナイダーやノイヴィルが動き回ることで、十分に迫力あるサッカーが展開できたと思う。準決勝で積極的な上がりを見せたラメロウが、今日も同じくオーバーラップをかけ、パスを回していた。彼はもともと中盤もできる選手なのだ。見ていて楽しいディフェンダーである。
 ブラジルは今日もいつものブラジルだった。不安を抱えるバック陣の前に頼れるボランチ、ジウベルト・シウバを置き、守備に専念させる。彼が攻撃に参加しないかわり、同じくボランチにいるクレベルソンが自由に動き回り、前線の3Rと絡む。鉄壁のドイツDFにおいても、3Rを止めるのに必死でそのぶんクレベルソンへの守備が手薄になり、この試合では目立つ存在になっていた。

 3Rのうち、もっとも出来が良かったのはロナウジーニョだと思う。後半の最後になるとさすがにバテて運動量が減ったが、1試合休んで休養を取った成果は充分に発揮された。かわりにリヴァウドの調子は今ひとつ。それでも2アシストはたいしたものだが、今大会を通じて見せたプレーは決して満足のいくものではなかったろう。
 そして、ロナウド。時折アップで見せる表情から、足の痛みが伺えた。まだまだ彼も本調子とは言えない。しかし今日の2得点、合計8得点での得点王は超人的だ。1点目、ハマンから奪ったボールをパスする動作の速さ、2点目のシュートのコースなど、凄すぎてため息が出る。まだまだ活躍できる選手である。次の大会も出場し、歴代最高得点を狙ってほしい。

 ドイツの準優勝というのは、立派な成績だと思う。事前にここまで来るとは、自国サポーターやマスコミでさえ、全く予想していなかったに違いない。EURO2000と同様に、予選リーグでの敗退も予期された。それがこの結果だ。
 ただ、運は良かった。決勝まで、強豪国との対戦がなかった。難敵と言えば、予選リーグで当たったアイルランドぐらいのものだ。それでも取りこぼしをせず、手堅く勝ち進んだのには大きな意義があると思う。特にキーパー、カーンの存在感は絶大だった。
 今日の1点目は、残念ながら彼のミスだ。だからといって、彼の活躍ぶりは微塵も揺るがない。後で発覚するが、その前のプレーで右手の靱帯を痛めており、回復に数週間かかるという状態だった。それでもカーンは試合後にいいわけをせず、静かにピッチを去った。しびれるほど格好いい。ドイツファンならずとも、彼に惹かれる人は多いと思う。僕もその一人だ。
   
         
 
6/29   3位決定戦
  ● 韓国 2−3 トルコ ○      
 
ハカン・シュクール 前半 1'
前半 9' イ・ウルヨン
イルハン・マンシズ 前半13'
イルハン・マンシズ 前半32'
後半48' ソン・ジョングク
     
     
 両チームとも後はないだけあって、積極的に打ち合うゲーム展開。今日のトルコは、不調だったハカン・シュクールとセネガル戦の功労者イルハンという二人のフォワードが活躍した。ハカンがW杯史上最速となる試合開始11秒でのゴールを決めると、その後ハカンがアシストしてイルハンが2ゴールを決める。韓国は疲れからか動きが悪く、パス回しもディフェンスも出来が今ひとつ。それでも2点を返すところが粘り強い。
 トルコは、キーパーのルストゥも目立っていた。足を痛めながらもファインセーブを連発し、トルコの勝利に貢献した。今大会を通していいプレーを見せてくれた選手だと思う。
   
         
 
6/26   準決勝
  ○ ブラジル 1−0 トルコ ●      
 
後半 4' ロナウド
     
     
 大方の予想通り、ブラジルが多くボールを支配し、勝利をものにした。トルコもところどころでいいプレーを見せたが、なにせハカン・シュクールの出来が悪すぎ、得点に結びつかなかった。ブラジルも爪が甘くて1点しか獲れなかったので、チャンスはあったのだが。
 決勝はついに、ドイツ対ブラジルというワールドカップ史上初の対決が実現した。長い歴史の中で、常連常勝国の両チームが一度も当たらなかったのは、ワールドカップ最大のミステリーとされていた。しかも、決勝の大舞台である。これは盛り上がるだろう。僕も、少なくともどちらかのチームのファンなら良かったが、残念。点を取り合う好試合になってほしいと願うばかり。
   
         
 
6/25   準決勝
  ○ ドイツ 1−0 韓国 ●      
 
後半30' バラック
     
     
 韓国の快進撃が終わった。正直、ほっとしている。このうえ韓国が決勝に進むような事態になるのは、僕には耐えられなかった。生まれて初めてドイツを応援し、なんとかドイツは勝利をものにした。

 ドイツは、対韓国用戦術をとってきた。あまり中盤でつなぐことをせず、長いボールを前線に運んでチャンスをうかがう。スペインやポルトガルのようになまじパス交換をしたりすると、運動量の多い韓国選手たちにどんどんインターセプトされてしまうことを心得ていた。もともとそれがドイツの特性とも合っていて、試合を有利に運んだ。
 韓国はさすがに連戦の疲れからか、イタリア戦やスペイン戦ほどには攻めてこない。それでもゴール前は固く、ドイツは攻め込みながら点を奪えず、苦しんだ。
 試合を決めたのは不調のキープレイヤー、バラック。後半に入ってトーナメント二つ目のイエローカードを受け、勝っても決勝には出場できないことが決まっていた。憂さを晴らすように中盤から飛び出し、ゴールを決めた。交代で入ったビアホフが体をかわしたのも巧かった。

 振り返ると、とても準決勝にふさわしいとは言えない凡戦だった。勝ってくれとは思っていたものの、実際ドイツが決勝にふさわしいチームとも思えない。しかし、これでもう一方の準決勝でブラジルが勝ち進めば、ワールドカップ最大のミステリーでこれまでただ一度の対戦もなかったドイツ−ブラジル戦が、遂に実現することになる。
   
         
 
6/22   準々決勝
  ● セネガル 0−1 トルコ ○      
 
No Goal

− 延長戦 −
イルハン 前半 4'
     
     
 スペイン敗戦のショックで、うつろながら観た。とても面白い試合だった、と思う。今大会、セネガルの絡んだ試合は全部面白い。そして僕は、こういう観ていて楽しいチームが大好きだ。トルコももちろん悪くはない。勝ちながら冴えなかった日本戦とは大違いだ。
 できれば、セネガルに勝ってほしかった。今日のセネガルの選手達は、疲れからかどこか苛立ちが見え、集中力を欠いていたように思う。
   
         
 
6/22   準々決勝
  ● スペイン 0−0 韓国 ○
(3 PK 5)
     
 
No Goal

− 延長戦 −
No Goal

− PK戦 −
ファン・ソンホン ○
○ イエロ
パク・チソン ○
○ バラハ
ソル・ギヒョン ○
○ シャビ
アン・ジョンファン ○
× ホアキン
ホン・ミョンボ ○
     
     
 最後に残った僕の応援チーム、スペインが負けてしまった。試合後、あまりの脱力感にこのページの更新さえ出来なかった。

 今日のスペインの布陣は、今までの試合とは違った。ずっと守備的な位置にいたバレロンをトップ下に置き、センターバックだったエルゲラをボランチに上げ、さらに右サイドには新進気鋭のドリブラーホアキンを入れるという攻撃的フォーメーション。ただトップに入るべきラウールは、負傷でスタメンを外れた。
 スペインは結局、体力勝負で負けたような気がする。前半は、スペインらしさの片鱗が見えていた。パスがだんだんと回り出し、シュートまでこぎ着けるようになる。しかし前試合と同じく、後半途中あたりから足が止まってしまった。交代で出場した選手も目立たず、とくに僕の好きなメンディエタが信じられないくらい酷い出来だった。ほかにも、エルゲラ、デ・ペドロという僕の好きな選手たちも今日はことごとく精彩を欠いた。

 韓国は、これまでのやり方と全く変わらない、最後まで全員が動き回ってボールを奪い、パスを回す攻撃を展開し、勝った。フィジカルの強さとスタミナは驚異的だ。確かに強い。
 でも僕は、決してこのチームを好きにはなれない。サッカーを観る楽しさを全く感じさせてくれないからだ。そして、相手チームがボールを持っただけでブーイングをしたり、韓国の出ていない試合(ドイツ-アメリカ戦)で大韓民国コールをしたりするサポーターも嫌いだ。さらに、やたらと韓国を応援する日本マスコミも大嫌いだ。昨日はNHKだからまだマシかと思ったら、違った。終始韓国寄りの放送にはずっと不快感を感じていた。悪いけど僕は、”同じアジアの人”というような親近感は全く持ち合わせていない。そしてたぶん、僕と同じ考えの日本人はたくさんいる。もちろん、韓国を応援する人を非難するような気は全くない。ただ、皆が韓国を応援しているというような認識や、韓国を応援するべきだというような考えには真っ向から反対する。

 そして……。
 審判の裁定にはもちろん思うところはあるけれど。
 言っても仕方がないので、言わない。
   
         
 
6/21   準々決勝
  ○ ドイツ 1−0 アメリカ ●      
 
前半39' バラック
     
     
 ドイツが持ち前の堅さを見せつけた試合。とくにキーパー、カーンのセーブは今日も何点防いだことか。しかし神がかっているなどと言われるが、ちゃんとポジショニングや飛び出しのタイミングなど、技術的なレベルの高さで凌いでいるのだ。格好いいよ、カーンは。

 アメリカは、1回戦のメキシコ戦よりも動きは良かった。前線の選手たちの個人技のレベルは高く、たびたびドイツディフェンダーを振り切ってチャンスを作っていた。それでも結局、カーンという最後の大きな山を越せなかったのが敗因となったようだ。
   
         
 
6/21   準々決勝
  ● イングランド 1−2 ブラジル ○      
 
前半23' オーウェン
リヴァウド 前半47'
ロナウジーニョ 後半 5'
     
     
 イングランド、散る。僕が応援しているチームが、また一つ敗れて消えていく。だがしかたない。今日は完璧に力負けだ。攻撃も守備も体力も、全てにおいてブラジルが一枚うわてだった。

 先制したイングランドだが、あれはブラジルディフェンダー、ルシオの決定的なミス。攻撃で崩して入った得点ではなく、ブラジル相手にこのまま守り切れるとは思えなかった。はたして前半終了直前、今日絶好調のロナウジーニョの素晴らしいドリブルがイングランドDFを置き去りにし、最後にリヴァウドが決めた。今大会屈指の守備力を誇るイングランドディフェンス陣がブラジルの攻撃に屈した瞬間だった。

 イングランドにとっては嫌なムードで始まった後半。実に簡単にケリがついてしまった。ロナウジーニョの蹴った微妙なボールがゴールに向かい、そのまま中へと吸い込まれる。キーパーのシーマンは予期していなかったのか、前に出過ぎていて、このシュートを防ぐことができなかった。あれはやはり、シーマンのミスだろう。もっと集中していれば防げたような気がする。

 ブラジルはその後、今日の殊勲者ロナウジーニョをレッドカードによる退場で欠いてしまうものの、スタミナの切れたイングランドをうまく翻弄し、失点を許さなかった。イングランドのいつものパターン。後半に息切れして得点できない、という欠点が露出した。

 ブラジルは調子づいてきた。南米予選での不調が嘘のようだ。傑出しているのは前の3人だけなのに、バランス良く試合を闘っている。ロベルト・カルロスのオーバーラップは今日は見られなかったが、ベッカムへの対応は成功したし、飛び出しによるディフェンスも効いていた。
   
         
 
6/18   1回戦
  ○ 韓国 2−1 イタリア ●      
 
ヴィエリ 前半19'
後半43' ソル・ギヒョン

− 延長戦 −
後半12' アン・ジョンファン
     
     
 なんということだろう。イタリアにも勝ってしまった、韓国。しかも、最後の最後までイタリアを押し続けての勝利。
 韓国はいつからこんなに強くなったのか。フィジカル面でイタリアに全く劣っておらず、信じられないスタミナで素早くチェックをしかけて相手の攻撃の芽を摘んでいく。しかも、必ず動いてパスをもらうため、攻撃がどんどんつながっていく。個人技にも優れ、速いパスも確実なトラップで止め、1対1の勝負でも負けない。何なんだ、これは。ヨーロッパのチームを見ているようだ。

 イタリアは先制しながらも危ないシーンばかりで、一時も落ち着くことがなかった。ネスタ、カンナヴァロという二枚看板のディフェンダーを欠いたのは決定的に痛かった。前試合で活躍したデル・ピエロが今日はスタメンに入ったが、攻撃面でのメリットは見出せなかった。イタリアのように後ろでがっちり守るというスタイルはもう、古いのだろうか。

 今日は日韓両試合が行われたわけだが、勝負の結果以上に内容は韓国が日本を大きく上回っていた。韓国のヒディング監督は、肉体面の強さ、基本技術の徹底など、ピンポイントで徹底的に選手達に指導をしたのだろう。ものすごいチームを作り上げたと思う。

 ただ、僕はこの試合、イタリアを応援していた。某民放の実況はあからさまに韓国寄りで、聞いていて非常に気分を害した。日本を応援するのは仕方ないかと思うが、共催だからと言って韓国を応援している人ばかりではないのだ。
   
         
 
6/18   1回戦
  ● 日本 0−1 トルコ ○      
 
ウミト・ダバラ 前半12'
     
     
 正直、このサッカーなら仕方ない。あれだけミスをしていては、ベスト8は狙えない。ベスト16というのは、日本の今の実力に見合った結果だと思う。
 それにしても、あのスタメンはどういう意図だったのだろう。調子がいい時にメンバーをいじるのは自殺行為だ。西澤がスタメンフル出場というのは、ブラジルのロッキ・ジュニオールと同じくらいよくわからない。そして、三都主や市川をあまりにも早く諦めたことも。
 トルコも、ほとんどいいところはなかった。唯一の得点も日本のパスミスから生まれたもので、相手を崩し攻撃を組み立てたわけではない。ただ、ひとつひとつのプレーに僅かずつ日本とのレベルの差が見え、それが結果につながったのだろう。
   
         
 
6/17   1回戦
  ○ ブラジル 2−0 ベルギー ●      
 
後半22' リヴァウド
後半42' ロナウド
     
     
 ブラジルが苦しみながら、終わってみると勝っていた、という感じ。とにかくベルギーはよく攻め、守った。無尽蔵のスタミナを持つウィルモッツがどこにでも顔を出し、ボールをキープして試合を作っていく。中盤を支配していたのは、確実にベルギーだった。
 ブラジルは守備、とくに中盤でチェックにいかずボールを持たせてしまうところに難があったと思う。センターのロッキ・ジュニオールは、いつものように不安定だった。それでも勝てたのは、ロナウド、リヴァウド、ロナウジーニョという前線の選手たちが好調を維持しているからだろう。決まったゴール以外にもファンタスティックなシュートが何本かあった。
 ブラジルは、次戦でイングランドと当たることになる。あの鉄壁のセンターバック二人とどう対決するのか、非常に楽しみだ。もちろん僕はイングランドを応援するが。
   
         
 
6/17   1回戦
  ● メキシコ 0−2 アメリカ ○      
 
マクブライド 前半 8'
ドノバン 後半20'
     
     
 意外な結果。あの粘り強いはずのメキシコが、アメリカの前に為す術もなく敗れ去った。イタリア戦で見せた攻撃はどこへ行ってしまったのか。
 デンマークと同様に予選リーグが地上波で放送されなかったアメリカ。初めて見たが、今大会で流行りのガッチリ守ってカウンターのチームだ。どこが強いのか今ひとつはっきりしないが、中盤以降のチェックの速さというところか。
 それにしても、昨日と比べ、あまりにも面白味のない試合。語るべきものが見つからない。
   
         
 
6/16   1回戦
  ○ スペイン 1−1 アイルランド ●
(3 PK 2)
     
 
前半 8' モリエンテス
キーン 後半44'

− 延長戦 −
No Goal

− PK戦 −
キーン ○
○ イエロ
ホランド ×
○ バラハ
コノリー ×
× ファンフラン
キルベイン ×
× バレロン
フィナン ○
○ メンディエタ
     
     
 いやあ、勝った。勝ちましたよ、スペイン!粘って粘って競り勝ったよ!おめでとう!

 今大会、残り少なくなった応援チームのうち、最も優勝に近いと思われるのが、このスペイン。しかし対するアイルランドは粘りが信条のチーム。好調のドイツと繰り広げた予選リーグ第2戦、終了間際ロスタイムでの同点劇は記憶に新しい。

 スペインは前半、シンプルな形で先制点を挙げた。プジョルからのロングスローの跳ね返りに再びプジョルがセンタリングを上げ、モリエンテスがヘディング。前半はそのままスペイン優勢のうちに終える。
 しかしアイルランドは後半10分、高さのあるクインを投入し、ポストプレーでチャンスを作り始める。そして17分、PKを得たアイルランドは名手ハートが蹴るが、この日大当たりのスペインキーパー、カシージャスがファインセーブ!スペインは命拾いをした。
 しかしアイルランドの勢いは止まらない。ダフのドリブルは右サイドを切り開き、クインがポストで落としたボールにキーンが飛び込む。スペインはモリエンテス、ラウールのフォワード二人を外して守りに徹するが、いつ点を入れられてもおかしくない状態で、リードしながら全く安心できない。
 そして後半44分。怖れていた事態が現実となる。イエロがペナルティエリア内でファウルを犯し、PK。さすがにカシージャスも二度目のセーブはならず、アイルランドはドイツ戦に続いて終了直前で追いつくドラマを見せる。

 精神的ショックが大きいスペインには、さらに不運が重なった。延長開始時、ピッチには10人の選手しか立っていなかった。アルベルダが負傷のため、出てこられなくなったのだ。スペインは交代枠を全て使ってしまったため、このまま10人で戦わざるを得ない。明らかにスタミナのなくなったスペイン選手たちに対し、アイルランドの選手は不思議なほど元気だ。予想通り延長戦はほとんどアイルランドの攻撃がスペインを圧倒した。しかしこれをスペインは老獪な闘いぶりで凌いだ。
 PK戦。祈った。ここまで来たら実力差は関係ない。ただ選手達の度胸と運に賭けるしかない。アイルランドが先攻で、先に2人が外した。これでスペインは楽になったろう。その後ファンフランとバレロンが続けて外した時にはハラハラしたが、最後はPK職人メンディエタ。僕は、彼がPKを外すのを見たことがない。必ずキーパーの動きを予測して蹴るからだ。はたして、真ん中に蹴ったボールはゴールへと吸い込まれた。スペインは苦しい試合をものにし、ベスト8へと駒を進めた。

 アイルランドはドイツ戦以来注目していたが、ただ勝負強いだけではなく、攻撃的にも見るべきものが多かった。特に、クインが入ってからのポストプレーは必ずチャンスを生み、スペインディフェンダーは心休まる時がなかった。それに、右サイドを駆け上がるダフのドリブル。これほど面白いとは思っていなかった。
 スペインは、延長戦は見るも無惨なものだったが、後半途中あたりまで魅力的な攻撃を見せてくれた。バレロン、デ・ペドロ、ラウールらで構成する中盤のパス回しは、かつてのポルトガルに与えられた”華麗なる中盤”という称号を送るにふさわしい。ディフェンダー陣も素晴らしかった。とくに今日のプジョルは神懸かり的だった。まるでカンナヴァロのように相手の動きを読んで飛び出し、右サイドをほぼパーフェクトに抑え切った。ナダルの代わりにセンターに入ったエルゲラも、高さと速さを十分に見せつけ、効いていた。さらに特筆すべきは、キーパーカシージャス!割に波のある選手だが、今日の当たり方は半端ではなかった。試合中のPKを止め、最後のPK合戦でも止めた。今日のマン・オブ・ザ・マッチは彼だろう。

 今日の2試合は、これぞワールドカップと言うにふさわしい素晴らしい試合だった。サッカーって楽しいよ。
   
         
 
6/16   1回戦
  ● スウェーデン 1−2 セネガル ○      
 
前半11' ラーション
アンリ・カマラ 前半37'

− 延長戦 −
アンリ・カマラ 前半14'
     
     
 セネガル最高!スウェーデン最高!そして、サッカー最高!
 間違いなく今大会最高のゲームだ。勝ったセネガル、負けたスウェーデン、ともに素晴らしい闘いぶりだった。両チームの選手たちに拍手。

 スウェーデンは守り中心のチームという印象があったが、どうして、攻撃も多彩だ。前半立ち上がりは中盤のチェックも速く、ボールを支配してゴールに襲いかかった。いっぽうのセネガル、立ち上がりこそ攻め込まれ1点を失ったものの、だんだんとリズムをつかみ始める。25分過ぎあたりからは、セネガルの一方的な展開。個人技を駆使し、見ている側にも楽しいサッカーを繰り広げる。そして前半終わりがけ、絶好の時間帯での得点。さらに試合は白熱していく。

 後半は、体力に勝るセネガルが有利かと思いきや、スウェーデンもスタミナが切れない。互いに何度も見せ場を作り合うも点が入らず、遂に今大会初の延長へ。
 先に決定的チャンスを迎えたのはスウェーデンだった。延長開始から息を吹き返したように攻め始め、ゴール前でスヴェンソンが見事なターンから放ったシュートは、ゴールポストに阻まれた。ピンチを凌いだセネガル、最後は絶妙のヒールパスからアンリ・カマラがシュート。ジャストミートせず弱いボールだったが、ゴールポストに当たって、コロコロコロとゴールの中に転がった。

 今大会、がっちり守って最少得点で勝つ、というチームが多く、攻撃的なチームがどんどん敗れ去っていくのを見てきた。これはサッカーファンにとっては危惧すべき状況だった。見ていて面白いと思わなければ、応援する意味がないからだ。この状況で、セネガルという個人技溢れる攻撃的サッカーを見せてくれるチームは貴重だ。これからも同じペースで勝ち進んでほしい。
 
   
         
 
6/15   1回戦
  ● デンマーク 0−3 イングランド ○      
 
ファーディナンド 前半 5'
オーウェン 前半22'
ヘスキー 前半44'
     
     
 前半最初のシュートで得点を入れたイングランドが、勢いを保ったまま90分を凌いだ。デンマークディフェンスは、ベッカムのいるチームに不用意にコーナーキックを与えたのがいけなかった。いつものように鋭く曲がって落ちるボールがファーディナンドの元へ飛び、鮮やかな先制点が生まれた。以降もパスにシュートにとベッカムは素晴らしいキックを連発した。確実に調子は上向いてきているようだ。
 今日のイングランドには、ほとんど反省点は見つからない。最初にとばしすぎると後半にバテて失点するパターンが前にはあったが、今日は前半からリードしながら最後まで集中力を欠かさなかった。
 最終ラインは完璧だ。ファーディナンドとキャンベルのセンター二人は今大会最高といってよい。サイドの二人も、ミルズには少し不安が残るが、まず及第点だろう。バットはあまり好きな選手ではないが、守備固めをするには効果的な選手。予選リーグ最終戦に引き続き、かなり効いていた。それから、今日はじめて見たダイアー。その巧さにびっくりした。中盤の意外なテクニシャンで、イングランドには貴重な攻撃のコマとなる。
 オーウェンは、今日の得点で重圧から逃れられただろう。4試合目に来て初ゴール。まだ本調子ではないのか、得点以外にはあまりいいプレーはなかった。同じく今日初得点のヘスキーは、ポストプレーでかなりいい動きをしていた。オーウェンに変わり後半からは僕の好きなファウラーが今大会初登場。応援しながら見ていたが、シュートは打てず、時折ポストプレーを見せる程度。体がまだ出来ていない印象だ。

 デンマークは予選リーグでは1試合も地上波中継がなかったため、ちゃんと見るのはこれが初めて。いいサッカーをしていると評判だったのだが、4得点を挙げているトマソンをはじめ、今日はほとんど見るべきものはなかった。
   
         
 
6/15   1回戦
  ○ ドイツ 1−0 パラグアイ ●      
 
後半43' ノイヴィル
     
     
 いよいよ始まった決勝トーナメント。ドイツはらしさを見せたといえば言えるが、かなりの苦戦だった。パラグアイの攻撃を防ぐことで精一杯だったような気がする。そのおかげでパラグアイはもう少しの所まで攻め込みながら、決定的なチャンスを作ることができなかった。チラベルト中心のチームというのにも限界が来ていると感じる。FKもアルセに蹴って欲しかった。
 得点ランキングトップのクローゼは、今日は目立たなかった。これまでの得点は全てヘディングによるものだが、足技はあまり器用ではなさそうだ。バラックも今日は消えていた。対して良かったのはディフェンス陣。センターのラメロウが出場停止なのに関わらず、しかも試合途中にレーマー、メッツェルダーという二人が交代になりながら、安定した守備を見せた。中盤のフリングスも素晴らしかった。
 やはり毎回ベスト8には顔を出すドイツ。試合はちっとも面白くはないけれど。
   
         


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