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● スイス 0−1 チェコ ○ |
前回大会の決勝。僕の応援していたポルトガルが伏兵ギリシャに敗れ、悔しい思いをしてから早4年。EURO2008が開幕した。
今回はスイスとオーストリアの共催ということで、開幕試合にはスイスが登場した。「前提」で「ちょこっと」応援していると書いたのは、フォワードのアレクサンダー・フライ選手のことだ。彼は現在ドイツリーグで活躍中だが、以前はフランスリーグのレンヌにいた。ここで得点王を獲得し、ドイツへと“栄転”していった。レンヌはかつて僕もほんの少しだけ滞在し、好きになった街である。だからなんとなくこの選手のことも応援していた。
対するチェコは、前回大会では強豪国だったが、当時の主力選手が抜け、残った中でも一番のスター選手だったロシツキーが怪我で欠場という状況である。今日は、最近はあまりぱっとしなかったフォワードのバロシュがいい働きをしていた。
スイスは途中まで互角の戦いをしていたのに、主力のフライが足を怪我し、交代を余儀なくされる。かなりの重傷らしく、ピッチを去るときには涙ぐんでいた。このあとの試合にはもう出られないことを察したのだろう。
この後スイスは勢いを失い、チェコに先制点を許してしまう。スイスのサポーターはそれでもあまり盛り上がることはなく、淡々とした応援を続けていた。結果、スイスは点を取ることができなかった。次戦以降、なんとか立て直して頑張ってほしい。 |
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○ ポルトガル 2−0 トルコ ● |
僕が2番目に応援する国、ポルトガルの登場である。今大会、最注目選手といっていいクリスティアーノ・ロナウドだが、僕の中ではまだそれほど、彼の評価は高くない。ドリブラーとして確かに魅力的ではあるけれど、底知れない才能や魅力を感じるには至らない。そして今大会、世間の期待値が大きいぶん、並の活躍程度では誰も納得しないだろう。
初戦の出来はまずまずと言ったところか。すごくいい試合内容という訳ではなかったものの、きっちり決めるところは決め、相手に得点を許さなかった。何よりまずは勝つことに終始したことは評価に値する。最終ラインから上がってきたペペが、見事なワンツーから決めたゴールは素晴らしかった。ロナウドもデコも、これからだんだんとエンジンがかかっていってくれればと願う。 |
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● オーストリア 0−1 クロアチア ○ |
共同開催国のオーストリア、そしてクロアチア共に、いいサッカーをしていたと思う。最弱との評価もあるオーストリアだが、引けを取らずに闘っていた。唯一の失点はPKである。 |
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○ ドイツ 2−0 ポーランド ● |
様々な因縁のある両国、2点を決めたのが、ポーランド生まれのドイツ人、ポボルスキだったのは皮肉である。普通、点を決めたあとは派手に喜びを表す選手が多いが、彼は手も挙げず、うつむき加減でゆっくり歩き続けていたのが印象的だった。 |
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▲ ルーマニア 0−0 フランス ▲ |
これはルーマニアのテンポにフランスがしてやられた格好だろう。今ひとつ攻撃のリズムがつかめないフランスに対し、守備的な陣形から正確で速いパスをきれいにつなぎ、カウンターをねらうルーマニア。面白みは薄いが、うまいなあとは思わせるやり方だった。フランスは期待の若手、ベンゼマやゴミス、ナスリなどがまだまだ生きてきていない。ベンゼマはかつて僕の訪れたリヨンのクラブに所属する選手なので、少しだけ応援している。 |
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○ オランダ 3−0 イタリア ● |
素晴らしい!こんなにいい状態のオランダは久しく見たことがない。守備の要、カンナバーロを欠いたとはいえ、2年前のワールドカップ優勝国イタリアを相手に3−0とは恐れ入った。エンヘラールとデ・ヨンクのボランチがとくに素晴らしく、相手の攻撃の芽をことごとくつみ、さらには攻撃的なボールも出していく。これまで代表では活躍のなかったファン・デル・ファールトも調子がいい。スナイデルも輝いている。ワールドカップではあまりいい印象のなかったディフェンダーのブラルスも、特に問題はなさそうだ。
1点目のファン・ニステルローイのゴールは、オフサイドではないかと物議を醸したが、ゴールラインを超えた位置にイタリアの選手がいたので、あれはオフサイドではないらしい。なんにしろ、ニステルローイの反応は凄かった。頼れるエース健在である。
後半には、ピルロのフリーキックを、オランダのキーパー、ファン・デル・サールがスーパーセーブ。この勢いのままに攻め上がったオランダは3点目を決め、試合をものにした。
一方のイタリア、僕ははっきり言って監督のドナドーニをまったく買っていない。どう見ても、ちゃんと戦術を考えるタイプには見えないのだ。前線から積極的に相手にプレッシャーをかけてボールを奪うやり方は、完全にオランダのほうにしてやられていた。ディフェンダーの高年齢化も問題かもしれない。
僕のもっとも応援するチーム、オランダが、最高の形でスタートを切った。これは僕も黙ってはいられない、と、このページを急遽立ち上げたのであった。 |
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○ スペイン 4−1 ロシア ● |
スペイン圧勝。僕が3番目に応援するチーム、スペインがやってくれた。フォワードのビジャがいきなりエンジン全開で、ハットトリックを達成した。持ち味のポゼッションサッカーで、中盤では美しいパス回しを披露した。大会直前に食中毒でダウンしたイニエスタも、才能を遺憾なく発揮していた。シャビもなんだか成長したなあという気がする。ただ、シャビ・アロンソは先発で来るかと思っていたら控えだったのが意外だった。 |
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● ギリシャ 0−2 スウェーデン ○ |
前回、僕の応援していたポルトガルを2度も破り優勝した、にっくきギリシャ。今回も持ち前の守備的サッカーで敵を苦しめるかと思いきや、そう甘くはなかった。復活したスウェーデンのスター選手ラーション、それから僕のあまり好きでないイブラヒモビッチらに完全に苦しめられていた。やっぱりギリシャの戦いは見ていて面白いものではない。前回ギリシャが優勝したことで、ヨーロッパのサッカーが守備偏重になると危惧したネット記事などがあったが、そうなっていないことを安堵したい。 |
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● チェコ 1−3 ポルトガル ○ |
いやったぜポルトガル、決勝トーナメント進出一番乗り! 2試合を終えた時点で、A組一位を決めてしまった。
チーム状態がすこぶるいいのがよくわかる。チェコは、1996年大会、決勝トーナメントで敗れた因縁の相手である。前回はチェコの総合力にやられたが、今回はポルトガルの圧勝だった。デコを中心にしたパスワークが冴え渡っていたし、得意のドリブルではあまり見せ場を作れなかったクリスティアーノ・ロナウドが、シュートで非凡さを見せつけてくれた。彼はヘディングも強く、そうした各面において均一にレベルが高いところが、今シーズン、リーグで得点王を獲れた要因なのだろう。
チェコは、1−2とリードされ、フォワードにコレルを入れた時点でもう終わったと思った。それまで、バロシュを中心に速いパス回しでチャンスを作っていたのに、コレルを入れれば彼の高さに合わせて長いボールをゴール前に放り込む、という単調な攻めになってしまう。思ったとおり、チェコは追加点を取れず、逆にポルトガルがさらに1点を入れて試合を決めた。 |
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● スイス 1−2 トルコ ○ |
ものすごい豪雨の中の試合となった。とくに前半がひどく、水がピッチにたまってボールが止まるため、パスもドリブルもままならない。そんな中、スイスが執念で一点を取った。パスサッカーを信条とするトルコは、思ったように試合が作れないままだった。それが後半になって雨はやみ、パスが通るようになった。これでトルコは息を吹き返し、同点とする。スイスは、前半から積極的に走り回り、ゲームを作っていたハカン・ヤキンに疲れが見え始め、どんどん追い込まれていく。そして、後半ロスタイム3分、トルコのゴールが決まる。試合終了直前の悪夢。これで開催国のひとつ、スイスが、1試合を残してグループリーグ敗退となった。 |
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○ クロアチア 2−1 ドイツ ● |
波乱の結果。今大会、優勝候補筆頭の呼び声高いドイツがクロアチアに負けた。クロアチアは、前評判の高かったモドリッチが、初戦以上にいい動きを見せていた。昔のゲームメイカーのような感じである。ボールを持ったら取られないし、一瞬のすきをつくパスも見事である。久々にこういう選手を見た気がする。いっぽう、ドイツはどこが良くなかったのかよくわからない。コンディションは決して悪くなかったし、現に0−2とリードされた後、初戦のヒーロー、ポドルスキが今大会3点目となるゴールを決め、いいムードになっていた。やはりドイツ相手だと、リードしていてもまったく落ち着くことができない、と思ったものだ。その雰囲気を破壊したのが、交代で入ったシュバインシュタイガーだ。後半ロスタイムで悪質なファウルを犯し、一発レッドカード、退場となった。この時点で試合は決まったのだ。
なんとクロアチア、B組首位で決勝トーナメント進出である。いっぽうのドイツは次節、引き分け以上で2位確定だが、相手は開催国の面子がかかるオーストリアである。ちょっと面白い試合になりそうな気がする。 |
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▲ オーストリア 1−1 ポーランド ▲ |
共同開催国のオーストリア、首の皮一枚でつながった。見所のすくない試合ではあったが、0−1でリードされたオーストリアが必死で追いすがる光景は、どうしてもオーストリアを応援する気持ちにさせられた。後半交代で入ったのが、人気者ヴァスティッチである。彼は名古屋グランパスにも所属したことのある選手で、38歳のベテランである。球さばきが巧みで、初戦も彼が入ってからいい攻撃ができるようになっていた。そして試合終了直前、後半ロスタイムでPKを得た。ゴール前で両チームの選手が競り合った際、ポーランド側の選手が押したということでファウルを取られたのだ。疑惑の判定だと各所で騒がれているが、確かに、あれがファウルなら、ゴール前の攻防は全部ファウルになってもおかしくない。
ともあれ、蹴ったのはヴァスティッチ。恐ろしいほどにプレッシャーのかかる場面で、彼はよく蹴ったと思う。見事にゴールを決め、オーストリアは土壇場でグループリーグ敗退を免れた。 |
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▲ イタリア 1−1 ルーマニア ▲ |
やはりイタリアは、ドナドーニ監督じゃだめだと思う。一戦目でオランダに大敗した結果、この試合ではデル・ピエロを先発に出すという、なんだか子供のような考え方で試合に臨んだ。初戦でフランスを苦しめたルーマニアは、同じように守備的かつ正確なボールポゼッションでチャンスを狙う、という戦術が見事に徹底しており、エースのムトゥが先制点を奪う。しかし、イタリアもそのわずか1分後、ベテランのパヌッチが点を奪い返し、試合を振り出しに戻した。ところがその先が続かない。交代で入ったカッサーノが、シュート以外にも活躍していたものの、なんとなく全体的に冴えなかった。ルーマニアは初戦を引き分けているので、この試合で引き分ければ有利なのはルーマニアである。イタリアはようやく勝ち点1をもらった状態で、最終節でフランスに最低でも勝たない限り、決勝トーナメントには進めない。 |
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○ オランダ 4−1 フランス ● |
すごい! こんなにすごいオランダを見たことがない。初戦のイタリアに引き続き、このフランス戦でも同じく3点差をつけての勝利。2年前のワールドカップ優勝国、準優勝国を続けて大差で破ったことになる。
前半9分、カイトのヘディングがいともあっさりと決まり、1−0とする。その後も、中盤で積極的にアタックを仕掛けてボールを取り、的確なパス回しをおこなう盤石の戦いぶりをみせる。
今大会、オランダのファン・バステン監督の采配ぶりにも注目が集まっている。この試合でも、彼の選手起用のすごみが出た。1−0でリードしている後半、ロッベン、ファン・ペルシーと、攻撃的な選手を交代で入れ、さらに点を取りに行く姿勢を見せた。そして、交代からわずか4分後、ロッベンからのパスを受けたファン・ペルシーが見事がゴールを決めた。その後、フランスも、エースのアンリが絶妙なゴールを決めて1点差に詰め寄る。これでフランスが勢いづくかと思われた1分後、左サイドを駆け上がったロッベンが、角度のないところから思い切りシュートを放ち、ボールはゴール左隅に吸い込まれた。ここでおそらくフランスの心は折れてしまったのだろう。試合終了直前、スナイデルが個人技で決めた4点目はもうおまけのようなものだった。
これでオランダもC組首位を決めた。このままの勢いで、最後まで突っ走れ。 |
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● スウェーデン 1−2 スペイン ○ |
やったぜスペイン! ポルトガル、オランダにつづき、僕の3番目に応援しているスペインまでもが、1位通過を決めてしまった。
スウェーデンはさすがに手強い相手だった。前半早々、フェルナンド・トーレスがゴールを決める。一戦目はハットトリックで大活躍のビジャの陰に隠れて目立たなかったが、ようやく今大会初ゴールを決めた。ただ、クリスティアーノ・ロナウドと同様、今ひとつ評価が先走っている気がする。まだまだそれほどの選手ではないと思うのだ。
しつこく追いすがるスウェーデンは、エースのイブラヒモビッチがゴールを決め、1−1に持ち込んだ。そのまま試合はすすみ、もうこれは引き分けだろうなと多くの人が思った瞬間、ビジャがまたしてもゴールを決めた。貴重な1点だ。この1点があるのとないのとでは雲泥の差である。 |
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● ギリシャ 0−1 ロシア ○ |
まあどちらも特に応援しているチームではなかったが、4年前からあまり進歩の見られないギリシャよりは、名将ヒディンク監督率いるロシアに勝ってもらったほうが、サッカー界には良かったと思う。これで前回王者ギリシャの敗退が決まった。 |
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○ スイス 2−0 ポルトガル ● |
ポルトガルはこの試合で負けても1位、スイスは勝っても最下位が決まっているため、はっきり言って消化試合だった。ポルトガルは主力選手を温存し、出場した選手も明らかに力をセーブしていた。いっぽうスイスは、開催国の一つとして、今大会初勝利を狙って全力を尽くしてきた。その姿勢の違いが如実に表れる結果となった。
“力を抜いた”ポルトガルを非難する向きもあるかもしれないが、僕はこれでよいと思う。ただでさえとてつもないプレッシャー、ストレスを感じながら選手達は戦っているのだ。そんな中で、負けても結果に何ら影響を与えないとなったら、絶対に勝たねばならない真剣勝負と同じ力を出せというほうが酷である。ましてや、これから先、その真剣勝負が何試合も残っているのだ。ただ、勝つリズムだけは忘れてほしくない。それだけだ。 |
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○ トルコ 3−2 チェコ ● |
A組最終試合。スイス−ポルトガルとはうってかわって、こちらは2位争奪をめぐるすさまじい試合になった。チェコは一戦目と同様、長身のコレルをセンターフォワードに据える布陣で来た。真ん中にボールを放り込み、コレルに合わせる作戦である。僕はあまり好かないやり方だが、今回はこれが功を奏し、前半なかばでコレルのゴールが決まった。さらに後半に入りチェコが追加点を決め、2−0とリードする。試合はチェコペースで進むかに見えた。ところが、試合残り時間15分のところで、トルコが1点を返す。ここからトルコの波状攻撃が始まる。分厚い攻めで何度もチェコゴールを脅かしていく。そして残り時間3分、信じられない光景が訪れる。世界有数との評価を受けるチェコの名キーパー、チェフが、トルコのセンタリングしたボールをつかめず、前に落としたのだ。そこへ走り込んでいたトルコのエースストライカー、ニハトが軽く合わせ、土壇場で2−2の振り出しに戻ってしまった。チェフはかなりショックだったらしく、呆然としている。そこへさらなるドラマが連なっていく。完全に押せ押せムードとなったトルコは、さらにその2分後、ロスタイムまで残り1分というところで、ニハトが豪快なシュートをふたたびチェコのゴールに叩き込んだのだ。トルコ、2点差をひっくり返しての大逆転劇である。
試合はまだ終わらない。反撃に出たチェコは、コレルがトルコゴールまで駆け上がり、飛んできたボールをキーパーと競り合った。ここでコレルがラフプレーをおこなったことに憤慨したトルコのキーパー、デミレルが報復行為でコレルを突き飛ばし、レッドカードを受けて退場となった。トルコはもう3人の交代枠を使い果たしているため、代わりのキーパーを入れることができない。仕方なく、出場中の他の選手がキーパーの代役を務める。チェコはここでなんとしてもゴール前にボールを持っていきたかった。枠へ飛ぶシュートを打てば、かなり確率でゴールが決まるだろうからだ。だが、時間がなかった。チェコはこの後、ゴール前に攻め入ることができないまま、試合終了の笛を聞いた。頭を抱えるチェコ選手。A組2位の座は、2試合連続で逆転勝ちをおさめたトルコの手に渡った。 |
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● ポーランド 0−1 クロアチア ○ |
首位通過を決めているクロアチアは、予想どおり主要メンバーを外してきた。注目のモドリッチも出ないため、僕にはあまり興味の沸かない試合となった。Bチームとも言えるクロアチアはそれでも前2試合と変わらず、いいサッカーをしていたと思う。ポーランドはやはり力不足だった。
これでクロアチアは堂々の3連勝だ。1998年ワールドカップで3位となり、一つの頂点を迎えたクロアチアは、以降はその残滓のような存在だった。国際大会に出てはくるものの、魅力的なチームではなかった。それが今大会では、ようやく新しいチームが見えてきた。スーケル、ボバン、プロシネツキらスター選手をそろえた1998年組に引けを取らない強さを身につけてきたようで、この先の戦いが楽しみである。 |
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● オーストリア 0−1 ドイツ ○ |
前節で首の皮一枚つながった、開催国オーストリア。決勝トーナメントに進むためには、この試合で最低でもドイツに勝たなければならない。いっぽうのドイツは、引き分け以上でOKなのだから、ドイツが圧倒的に優位なのは間違いない。
試合を通じていい攻撃を組み立てていたのは、オーストリアだった。いくつも決定的なチャンスを作り、試合を面白くしていた。ドイツは、バラックのスーパーゴールで1点は取ったものの、それ以外ではあまり見せ場は多くなく、絶対に入れなければならないシュートを外したりもして、ふがいない試合だった。
これでドイツの2位が確定した。決勝トーナメントで当たるのは、ポルトガルである。ポルトガルよ、こんなふがいないドイツなど、一蹴してくれ。 |
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○ オランダ 2−0 ルーマニア ● |
負けても1位通過のオランダは、当然のごとくメンバーを落としてきた。序盤はルーマニアに押される場面もあったが、だんだんとオランダもペースを上げていく。控えメンバーと言えども、各国リーグでの中心選手クラスが揃っているオランダである。選手間の歯車がかみ合ってきた後半にはきっちりと2点を取り、無失点でしのいだ。これで3連勝。3試合で9得点、1失点という、素晴らしい出来だ。本当に強いチームができあがったと思う。この調子で、優勝までの道を駆け上るのだ。 |
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● フランス 0−2 イタリア ○ |
この試合で勝ったほうが、決勝トーナメントに勝ち上がれる可能性が強い。そんな緊迫した状況にもかかわらず、開始早々からなんだかのんびりしたというか、どちらのチームにも緊張感の感じられない試合だった。そして、フランスには不運が連発する。まずは中心になって攻撃を組み立てていたリベリの負傷退場。その後、アビダルがペナルティエリア内でのファウルを取られ、レッドカードによる一発退場を食らう。スローで見ても、全然悪質だとは思えないファウルだった。しかもこれでイタリアにPKが与えられ、職人ピルロがきっちりとゴールを決める。その後、後半にイタリアが追加点をあげ、3点を取らなければ勝ち上がれない状況になったフランスはもう、早々に勝負を投げていた。
オランダ−ルーマニア戦でルーマニアが敗れたため、イタリアの決勝トーナメント進出が決まった。準々決勝ではスペインと当たることになる。ただし、中心選手のピルロ、それからガットゥーゾが累積警告のため出られない。我が応援するスペインは、こんなイタリアなど、へなちょこっと倒してくれることであろう。 |
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● ギリシャ 1−2 スペイン ○ |
グループリーグ1位を決めているスペインも、やはりメンバーを大幅に入れ替えてきた。ほぼ全員が控え選手による構成である。対するギリシャは最下位が決まっており、なんとも和やかなムードの試合となった。それでも両チームは手を抜くことなく、きっちりと戦っていた。オランダと同様スペインも、控えに有力選手がごろごろいる。なにしろ、この試合でマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたシャビ・アロンソなど、どうして先発じゃないのか不思議なくらいだ。ギリシャに先制点を許したものの、その後きっちり2点を取って逆転し、3連勝でグループリーグを終えた。準々決勝のイタリア戦では、ふたたび最高の選手が集まり、最高のパフォーマンスを見せてくれるものと期待する。 |
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○ ロシア 2−0 スウェーデン ● |
ロシア、大覚醒である。一戦目、スペインに1−4で敗れた時には、ああこのチームは駄目だろうなと思った。いかな監督が名将ヒディンクであっても、うまくいかないこともあるのだなと思っていた。しかし、ロシアには秘密兵器が隠れていたのだ。その名はアルシャヴィン。僕はまったく知らない選手だったが、彼こそがロシアのマラドーナとも評され、攻撃の中心となる選手だった。それが、予選の最終戦でレッドカードを受け、本戦で2試合出場停止処分となっていて、スペイン戦、ギリシャ戦に出られなかったのだ。
この試合では、そのアルシャヴィンを中心に、実に見事な攻撃を組み立て、スウェーデンを最初から最後まで圧倒した。素晴らしい試合内容だった。これまでの中でベストゲームと言っていい出来だったと思う。やはりヒディンクマジックは健在だった。よくここまでのチームに仕上げてきたものだ。
そして準々決勝の相手は、なんとオランダである。これには数々の因縁がある。まず、ロシアのヒディンク監督はオランダ人であり、1998年W杯ではオランダ代表を率いてベスト4にまで進出させた人である。さらに、今から20年前、1988年のこの大会においてオランダが初優勝をしたのだが、この時に決勝で当たったのがロシア(当時はソ連)だった。そして、この決勝戦で2点目となる超スーパーゴールを決めたフォワードのファン・バステンこそ、今大会のオランダ代表を率いる監督なのだ。
すごい試合になると思う。それでも、試合を終えた後に歓喜の栄光に浸っているのは、オランダイレブンのはずだ。
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