Watching (現地観戦記X)

 2004 Week 14
 @ MIN 
 
 
 by  たかし

 ミネアポリス国際空港には、試合前日午前中に到着しました。(その前日はシカゴに1泊、最近はめっきり弱くなったNBAブルズの試合を見ました)12月なので当然ですがともかく寒い。まずは、空港から市バスでツイン・シティの片方セントポールへ。名所のミネソタ科学博物館(博物館めぐりが趣味の私にとっては、全米各地はそれぞれに充実しているので、いつも嬉しい限りです)を見て、また市バス(この日の夕方はなんだかのお祭りで運賃はタダ)に乗り、ミネソタ大学の近くのディズ・インに投宿。ホテルの従業員はいかにも学生のアルバイトといった感じのお兄ちゃん、お姉ちゃんたちでしたが、部屋は適価、清潔で過不足はありませんでした。いつもある程度名前の通ったブランドのホテルで、高価なダウンタウンを避け、郊外にあるものを探すようにしています。レンタカーを使わないときは、公共交通機関の便がよいものがベスト、いつもその都市の交通局のHPの路線図を見て調べます。このホテルは60ドルくらいでした。プロモーションも要チェックで、今回は同系列のホテルを3軒使用し、無料宿泊をゲットしました。

 試合当日また市バス(停留所にバスがなかなか来ず寒い思いをしました。使い捨てカイロを2,3個貼って20分ぐらい待ちました)で市内へ出ました。どんより曇っていたため、気温も低かったのでしょう。とても試合開始まで市内散策という気分になりませんでした。ここには世界的に有名な彫刻庭園があるのですが(サクランボが乗っかっているでっかいスプーンのオブジェは特に知られており、息子の図工の教科書にも載ってます。)屋外ということもあり、情けないんですが寒さに負けて断念することにしました。いつものようにグレイハウンドのターミナルに行き、ロッカーに荷物を預けようとしましたが、全部壊れているか、使用中でした(泣)。守衛が申し訳なさそうに“Broken”と一言。




 メトロ・ドームは市内の中心部にあり、路面電車で行けます。なるほど東京ドームに似てるといえば似てます。Will Callでチケットを受け取り、中へはいろうとしましたが、“No Backpack”の掲示。(前述の通りロッカーに預けてなかったので持参せざるを得なかった)恐る恐る守衛氏に「これだめっスか?」と聞いたところ、「中身見せて」とチェックされ、「いいよ」。以外とあっけなくパス。いいのかな。

 さて試合が始まります。バイキングスもプレイオフ争いの最中とあって、ファンも気合いがはいってる。至る所で雄叫びが聞こえます。少し萎縮しましたが、隣は上品そうな老婦人(しかし当然ミネソタファン)で少し安心。私はというと「へっ。みんなビッケ(子供のバイキングが主人公の昔のアニメ)みたいなもんじゃねえか」と小声で気合いを入れて応援に望みます。角笛の音が響いてバイクス登場。QBカルペッパーは生で見ても丈夫そうに見えます(笑)。WRモスはリズムを取りながら体をくねらせており、少し周囲から浮いてる感じ。監督のタイスはご存じ元シアトルの選手で、私も生プレイを見たことがあるので悪印象はありません。


 試合は一進一退の攻防となりました。当初は元気のなかった海鷹も次第に元気を出して前半3本のTDを決めます。2本目は圧巻で、自陣30YD付近から4本連続パス成功で得点、キープレーは、TEハナムへのパスで、たぶん守備側のミスと思われますが、全くのノーカバーの状態でパスを受け、無人の野を36YD走りました。TEらしく(?)どたどた一生懸命のランニングが好感を持てるものでした。ミネソタは、怪我で本調子でないと伝えられていたWRモスが、話がちがうぞの大活躍で一歩も譲りません。21−20でリードし前半終了。


 後半はTDを取れない地味な展開。ようやくミネソタのファンブルからFGを拾い、27−23と少し突き放ししますが、(この4点差が後で効いてきます)4Qにはいると、よく守っていたシアトルの守備も疲れが出たのか、残り3分すぎで、またまた勘弁してくれよのパス守備反則をやらかしてしまい、あっという間に自陣20YDまで攻め込まれて、おまけにまだ1ストダウン(!)。逆転を覚悟した次のプレイ、問題のプレイコールです。ハンドオフされたWRモスがサイドへロールアウト、何とパスを投げちゃった。完全に裏をかかれたので、思わず「やられた!」と(日本語で)叫ぶ。ボールはゆるやかな弧を描いてエンドゾーンへ。何人かの選手が重なっていてよく見えない。というのも私の席は敵陣側コーナーで、かなり遠めだったもので。ところが、次の瞬間、歓喜に飛び跳ねるシアトルの選手たちが目に飛び込んできました。「うぁ!インターセプトじゃっ!」。頭をかかえるミネソタファン。突然の悲劇(もちろん当方には天の恵み)にブーイングとため息、「タイスのボケ、なにやっとんじゃ!こるぁ!」の怒号、ドームが異様な雰囲気になりました。とっくにFG圏内だったので、ホントに前述のFGは値千金でした。

 その後ミネソタのタイムアウトが丸ごと残っていたのもあり、うまく時間を殺せず、最後のドライブも攻め込まれます。昨年のレイバンズ戦の悲惨な大逆転負けも頭をよぎりました。最後まで安心できないのは慣れっこなのですが、このあたりは(冗談抜きで)発作で倒れるのではというくらい心臓の鼓動がはっきりわかりました。しかしカルペッパーのパスがこぼれて試合終了!!(このパスも前述の通り、遠くてよく見えなかったので肝を冷やしました)、プレイオフ進出に向けてこの上ない貴重な勝利を手にしました。かたやミネソタにとってはかなり痛い敗戦、放心状態で席を立てないパープル・ピープルや物を投げ散らかす屈強なミネソタ・ガイもいました。(怖いので近寄らないぞっと)。ドームからたくさんの観客が帰路につくため、街にあふれます。その人ごみにまぎれ、喜んでいるのは私だけだろうなと思いつつ、笑いをかみ殺しながら停留所へ。敵地で勝利したときのこの快感は比類するものはありません。

 空港へはこれまた路面電車で直通でたいへん便利、それも最近路線が延長されたばかりで超ラッキーでした。(翌朝が早いので)空港近くに予約したホテルへ向かう途中、全米最大の室内ショッピングセンター、モール・オブ・アメリカへ寄って、食事と買い物。スヌーピーの屋内テーマパークもあり、室内とあって規模は小さいのですが、好きなひとには結構楽しめるかも。セント・ポールはそのまんがの作者シュルツ氏の生誕の地なので、公園などにウッドストックやC(チャドではなくチャーリー)ブラウンの彫像がありました。
 
 翌日、地元新聞の見出しは「また今年もそんな雰囲気」。バイキングスとしては、前半好調で後半失速して苦しくなるといった傾向が昨年に似ているので、やな感じといったところでしょう。特に昨年は最終戦の最終プレイで逆転負けし、プレイオフを逃しているので。モスのパスプレイに関しては批判的な意見が多かったようです。レッドゾーンなのですから、トリックプレイで賭けに出るより、こつこつ攻めれば十分得点のチャンスはあるはず。
1ストダウンにもかかわらず球を投げ捨てず、2人のカバーがいるところにあえてチャレンジしたモスへの批判もありました。
 ともあれ、個人的には、紫のチーム相手に昨年の雪辱を果たしたということで(少しこじつけですが)大満足でした。

(画像はすべて、たかしさんのオリジナルです)
Go back