- Elysee -
 
 

「ちなみに、あいつの名前、三蔵って言うんだ」

 

 不可解な言葉と、「三蔵」と言う名前を僕の頭に焼きつけて、僕と悟浄のちょっとだけ甘い年末が過ぎた。
 そして、 新しい年が明け、一週間が過ぎた月曜日、僕は再び「三蔵」と出会うことになるのだった。

 衝撃的な、と形容するに相応しい、僕にとっては初めての感情に些か自分でも戸惑いながら、大きな買物をしてしまったあの日。
  あの言葉を聴くまでは、僕はきっと幸せだったのだと、今想い返しても苦笑いが溢れるばかりで。それでも僕らは、同じ時間を共有する楽しみを共に得られたのだとすると、不幸ではないのだと。

 たぶん・・・

「俺、八戒と一緒に住みたいんだけど」
 悟浄は満面の笑顔で言う。

 八戒は、俺のこと好き?
 ええ、僕は悟浄のことが大好きですよ

 その言葉に、嘘偽りはなかったのだけれど、

 「好き」ってどう言う好き?
 だったのか、僕は少しだけ頭を抱えて、悟浄の為の答えを用意するために小さな溜息をついていた。

 
 
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