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/// I need you ///

Kei Kitamura

I love you
And If it's quite all right
I need you
 湯船に浸かり疲れ切った身体を休めていると、生き返る気がする。
 明日の朝食の下拵えを終え、暫く降っていた雨のために溜め込まれていた洗濯物を洗ってからの束の間の休息時間。
 ちゃぷん…
 少し温めの風呂で長湯をするのがサンジの楽しみだった。
 縁に頭を乗せ目を閉じる。
 瞼の裏に浮かんでくるのは、いつも敵わない相手。

 くだらない事で喧嘩した時の、苦虫を潰した様な顔とか。
 旨い酒に当たり、機嫌の良くなった顔とか。
 重いダンベルを振り回して、身体を鍛えている時の真剣な眼差しとか。

 昨日の夜のイク寸前の顔、とか…。

「…っ」
 急速に熱が中心に集まる。


 イケナイ…

 触レテハ、イケナイ……


 ゆっくりと縁に掛けられていた指が湯船に入り、熱を持った中心へと向かっていく。
「…ぅ」
 触れた瞬間に吐息が漏れる。頭の中でリフレインする言葉とは裏腹に、指は覚えた愛撫を自らに施していく。
 ゆるゆると上下に扱くとソレは硬度を増し、吐く息も忙しなくなる。もう片方の指で教え込まれた快楽を追って胸元へと這い登る。薄紅に染まる胸の尖りを、円を描くように手のひらで揉み込むと、吐き出される息に甘い嬌声が混じる。
「んっ…ん…ぁ…」

 彼の指はどんな風に動いていた?
 彼の掌はどんな風に身体を這い回っていた?

 ちゃぷん…

 ビクビクと足が跳ね、湯がさざ波を作る。
 中心に添えられた手は休むことなく蠢き、胸を這い回っていた指は尖りをキツく摘み上げる。
「ひ…んっ…ア、ア…ふ……」
 思考が犯される。
 彼の腕とは違うのに。
 動きが彼を追う。
 思考が彼を追う。

 爪の先で亀頭を抉り、胸を彷徨っていた手も下方に伸びて睾丸を揉みしだく。
「…っ、あぁぁっ…は、ぁっ…はぁ…」
 自らの手で絶頂に追い上げられ、追い落とされる。白い液体は湯の中で浮遊し、快感に震える躯に纏わりついていく。
 視界に入る淫靡な光景にキツク目を瞑り、中心に添えられていた指を後方へと伸ばしていく。

 コレ以上ハ、ダメダ

 触レテハ イケナイ

 アア…コレハ シテハナラナイコト

「んっ…あ、んっ…」
 後孔に触れた中指を擦りつけるように動かすと、ヒクヒクと開閉を始める。
 恥ずかしい躯。
 だのに動きを止めることが出来ない。欲望を吐き出したばかりの躯は快楽を貪欲に求めている。浅ましい程に、触れているだけの指を飲み込もうとしている。彼の指を思い出し、彼の動きを模倣するように、好き勝手に蠢く指先。
「あっ、やっ…」
 ツプリ…と爪先を含ませると、思わず声が漏れる。
 嫌じゃないのに。
 自分でしている事なのに。
「あ、あ、あぁ……」
 ズブズブと指を埋めていく。
 彼がするように、荒々しく注挿を繰り返すと、湯が行き場を求めて入り込む。内部に進入した湯の助けを借りて、滑らかに指は蠢く。

 コレハ彼ノ指…

「ふ…ぁ…んっ、んっ…」
 指を増やし、同じように注挿を繰り返す。
「ひっ!あんっ!あっ!
 内部の痼りに触れると、足と言わず背までもが跳ね、浴槽から湯がこぼれ落ちる。熱を持った其処を執拗に嬲ると、押さえきれない嬌声が浴室に響く。
「い…つ…あっ…あ、あんっ
 前には触れていないのに再び勃起し始め、愛撫を求めて震えている。指を絡め、彼がするように根本を強く掴む。欲望は行き場を失い、躯全体が瘧のように震える。
 内部を引っ掻くように掻き回し、更に指を増やしては、何度も何度も注挿を繰り返す。
「やぁぁ…っと…」
 奥までっ……

 嬲って。
 犯して。

 壊してっ……


 息を詰め、解放の時を待つ。
「あっ…ゾ、ロ…んっ、ふっ、あっ!あああぁぁっ!!」

 熱い躰とか。
 強い腕とか。
 オレを貫く熱魂とか。

 欲しい。欲しい。欲しい。


 アア…オ願イダ
 オレノ イカレタ頭ヲ


 ブッ壊シテクレ…

2001/10/28UP

当初の予定とは全く違うモノが出来上がってしまいました。反省…。
「風呂場で自慰」ってのは変わってないのですが、意味合いが…。
すみません。本当に恥ずかしいので、裏裏にUP(-_-;)