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※このお話は『雨やどり』というパラレルの学生ゾロサンです※

Honey Honey Crescent Moon

<Vol.9>

「湯…湯の中も…マズイ…と、思う」
「…面倒だな」
 では仕方がない。ココで出させるしかないらしい。
 サンジを抱えたまま座り込んで、放っておいた竿を思い切り擦ってやった。
「う、わっ…あっ…――っ」
 我慢する暇も与えず追い上げ、強い刺激にサンジはすぐに果てた。
 一度出してしまえばもういいだろうと、サンジを抱えたまま湯船に浸かる。湯の中で指を出し入れすると、濡らす手間が省けてスムーズに慣らす事が出来た。
「…っあ…湯…湯が…はいっ…」
「もうそろそろいいか?」
「ん…んんっ」
 ゾロもいい加減限界に来ている。これだけ慣らせば十分だろうと、双丘の狭間に滾った熱を押し当て、こじ開けるように挿入した。
「あっ…つ…」
 大した抵抗もなくゾロを飲み込む秘所は、時折ひくりと締め付け、柔らかに絡みつく。
 ガツガツと出し入れすれば、腰が立たなくなると後からサンジに罵倒される事が目に見えている。ゆっくり焦らすように腰を進めた。
「は…ぁ…腹、いっぱ…い…」
「あ?まだ腹膨れてんのか?飯食ったの風呂入る前だぞ」
「ちげぇ…よ…ぅ…オマエ、の…で」
 背後から貫いたので、サンジのうなじが見える。湿った髪が首筋に張り付き、俯いた白いうなじが外灯の薄明かりで浮かび上がった。
 血が下半身に集結する。
 何故こうまで煽られるのだろうか。
「あー…もういいか」
「…なに?」
「怒るなら怒れ」
「うぁ…あっ…あ」
 腰に手を回し、引き寄せてから腰を打ち付けた。勢いが付いた動きに湯が跳ねる。
 二人の荒い息と湯気が辺りがぼやけて見えた。
「…っ思い、出した…っ」
「はっ…はっ…んぁ…」
「お前のズリネタ、聞こうと思って、たんだ」
「あ…あぅ…」
「…く…っ…なぁ…?」
 ふと、昼間回答がなかった事を聞いてみたが、返事はなかった。
 まぁ、返事が出来るような状況じゃないか。
 空には黄色い三日月がぽっかり浮かんでいた。
 サンジの髪の色だ。
 飴色の月。下弦の月は、辺りを明るく照らしている。
 場違いな事を思いつつ、サンジを追い上げるように腰を動かした。自分も快楽を追う為に。



 サンジが何やらへっぴり腰になっている。
 へっぴり腰なのに、さっきから膨ら脛に蹴りが入ってくる。
「なんだよ。蹴るな」
「るせぇ。テメェのせいでオレは…ってて」
 荷造りしている間もずっとブツブツ言っていた。
 昨夜のセックスがやたら腰に来ているらしい。かなり加減もしたつもりなのだが、風呂場での行為は体勢に無理があったか。
「うう…腰痛ぇ…。オマエはスッキリした面して、ムカツクなぁ」
「無茶はしてねぇ」
「どこがだよ!風呂ってのがまず無茶なんだよ!」
「布団汚しちゃマズイって言ったのはお前だろうが」
「うっ…でも、布団は汚しちゃマズイだろ。自分ちじゃないから洗濯も出来ねぇし、湯も流して捨てるって訳にもいかねぇし。まぁ、せっかく旅行に来たんだし、そういう事になるかなーとは思ってたけど、でもよー」
「へぇ?期待はしてたのか」
「期待って…そうじゃなくて!とにかく、オマエが悪いったら、悪い!」
「分かったよ。ほら、バナナなんとかに行くんだろ?」
 赤くなっても悪態をつくサンジを促し部屋を出た。
「あ」
「あ?」
「おお、君たちが隣の部屋だったかね」
 隣の部屋から出てきたのは、昨夜大浴場で会った人好きのする初老の男性だった。
「よぉ、おっさん、隣だったのか。奇遇だなぁ」
「…駱駝の間」
 どんなネーミングなんだ。虎やら駱駝やら。
 ふと逆隣の部屋を見ると、鯨の間とある。一貫性が無い。
「今から出るのか?今日は晴れてて良かったな。あ、娘さんも一緒なんだよな?」
「娘は先に出てるよ。ロビーで待っているんじゃないかな」
「紹介してくれよ。そういや、おっさんドコから来てるんだ?」
「東京だよ」
「オレたちも東京なんだ。今日はドコに行く予定?オレたちバナナワニ園に行こうと思ってんだよ」
「あれは熱川じゃなかったかね?私たちは秘宝館に行こうと思ってるんだが」
 この会話はいつまで続くのだろうかと廊下を歩いていると、聞き覚えのある場所が出てきて、ギョッとして振り向く。
「や、え?秘宝館?」
「どんな宝があるのか、楽しみでな。君たちは行ったかね?」
「行ったっつーか…」
 行ったんだが、野郎同士で行くようなトコでもなければ、親子で行くような場所でもない事は確かだ。
 サンジが秘宝館の内容を必死で説明している。さすがに若い娘にアレは微妙だ。ナミ辺りならゲラゲラ笑って済ませるのだろうが。
「ほぉ…それは、行ってみたい気持ちがなきにしもあらずだが、娘にそんな卑猥な物を見せる訳にはいかないな。では、止めておこう」
「それがいいと思う。一緒にバナナワニ園にでも、と思うが、うちの車はツーシーターで、乗れないんだよなぁ。あ、ハーブ園とかあるから、そっちの方がいいんじゃねぇか?」
「それはいい。ハーブというのは、何かね。植物かね?」
「ああ、色んな植物がある。花もあるから、レディにはいいと思う」
「いや、君たちに会って良かった。知らずに大変な所に行くところだったよ。ありがとう」
 ご機嫌斜めが少し収まったようで、おっさんに感謝だ。
 まだ多少フラフラしているが、サンジの足取りも軽くなり、にこにこ笑いながらまだ談笑を続けている。
 朝飯がまだだったと、ゾロの腹が鳴った。
 旅行もいいが、サンジの飯が食えないのはつまらない。
「お父様!」
 ロビーの方から声がした。
 しかし、今時お父様と呼ぶような人間が居るとは。
「おお、ビビ」
 ビビ?
 どこかで聞いたような。
「え?」
「あっ!サンジさん!ゾロさんも!こんなところでお会い出来るなんて」
「ええっ?ビビちゃん?」
 思い出した。ナミの友達だ。何度か会った事がある。
「ああ、じゃぁ、このおっさんがお前の親父か」
「ええ」
「おっさん言うな!ビビちゃんのお父様でしたか!」
「ビビの知り合いだったのか。それはまた奇遇な事だな」
「お父様、こちらがゾロさんとサンジさん。ナミさんのお友達なの」
「やあ、娘がいつもお世話になってます」
「いやいやいやいやっ。コチラこそお世話になってます!」
 挨拶合戦になってきた。
 ゾロの腹はグウグウと勢いよく鳴り始めて、そろそろウンザリしてきた。旅館のロビーでいつまでも話をしていても仕方がないのに、サンジは楽しそうに話を続けている。
「お二人は新婚旅行でしたね!」
「…し、新婚…」
「ほぉ、若いのにもう結婚しているのかね。それは上々」
「けっ……」
 サンジの顔色が赤くなり青くなる。
 ビビのこの知識は恐らくナミ辺りから、あること無いこと吹き込まれたのだろう。
 ゾロとしては、あながち間違いではないので、訂正はしないでおく。
 サンジは真っ青な顔のまま、口をパクパクさせている。
 そんなアホ面も面白いが、このまま放っておく訳にはいかないので、サンジの首を掴んだ。
「あー…もう俺たち行くから。おっさんもビビも、気をつけてな」
「あ、すみません。お引き留めして。楽しい旅をお続けくださいね!」
「おー、じゃぁな」
 茫然自失なサンジを引きずり、チェックアウトを済ませ、車に押し込んだ。
 昨日とは一転、今日は晴天。暑い一日になりそうだ。
 緑深い竹林を抜け、砂利道を走る。今日は車の調子も良さそうで、これなら不安もなく行けるだろう。
「おい。バナナの前に飯食おうぜ。腹が鳴ってしょうがねぇ」
 助手席でまだ呆然としているサンジに声を掛けたが、返事が無い。本格的に呆けているらしい。
「おい?」
「ふ…ふはは…ははははは…」
「…おい…」
 急にサンジが笑い出す。
「も…もう…オレはお婿に行けねぇ…」
 今度は泣き出した。呆けて、笑って、泣き出して。忙しいヤツだ。
「お婿ってなぁ。前も言ったけど、もうお前は俺と結婚してんだからよ」
「してねぇ!!てゆーか、野郎同士じゃ結婚出来ねぇから!」
「そんな事は気にするな」
「気にするわ!!ああ…ナンなんだよ、新婚旅行って…何でビビちゃんがそんな事…」
「ナミしか居ねぇだろ、そんな事吹き込むのは」
「ああ…ナミさん…。なんて罪深き人なんだ」
「どうでもいいから、ナビしろよ。もう道分からねぇぞ」
「どうでも良くないっ」
 機嫌は急転直下らしい。どうすりゃ機嫌が直るものか。ゾロとしては、一番頭を抱える問題だ。
 文句を言いつつも、漸くリモコン片手にカーナビを弄っている。
「ナミさんには言ってなかったのに、いつの間にか知れ渡ってるし、どうせエースがペラペラ喋ってんだろうなぁ。口止めすんの忘れてたよ、くっそー」
「おい。エースだと?」
 何故ここでエースの名前が出てくるのだ。
「あー…言わなかったけどよ、宿とかエースに教えて貰ったんだ。エースなら言いふらしたりしないと思ったけどな」
 そりゃエースからルフィに話が流れ、ルフィがうっかりというか、何も考えずにナミに流したと考えるのが妥当だろう。
 そこが問題ではない。
「お前、何でエースに頼むんだよ」
「え?だってエースの仕事の関係とかで旅行代理店と繋がってたりして、ちょうど良かったし。言わなかったのは、色々教えてもらったんだけど、オレの手柄にしてぇじゃん?」
 色々、教えてもらった。
 何やら悔しい。
 タダでさえエースは年上で、何かとサンジが頼りにしているのが気に入らないのに。
「……」
「…なんだよ?何でオマエが怒ってんの?」
 怒ってはいない。
 ムッとしただけだ。
 そう思っても口に出しては、どうにも負けるような気がして言わなかった。
 誰に負ける訳でもないが、悔しいので黙っておく。
「エースと二人で会うなよ」
「なんで?」
「いいから、会うな」
「だから、なんで?それに、なんでオマエ不機嫌になってんの?」
「なってねぇ」
「ふざけんなよ。まるっきり不機嫌じゃねぇか?あ、ナンだ?エースに焼き餅?」
「黙ってろ、お前」
「あーそっかー、嫉妬してた訳ね。ガキだねー」
 サンジの口調が楽しげになってきた。反してこちらはどんどんムカムカしてくると言うのに。
 カーナビから聞こえてくる機械の声は左折しろと言っている。
 陽が高くなり、日差しが強くなってきた。今日も暑くなりそうだ。
 新婚旅行という呼び名は、そこかしこが痒くなってくるが、ちょっと気に入っている。
 口喧嘩は絶えないが、旅はあと少し続く。
 帰ったらサンジの飯を食おう。そして一緒に寝れば、気が晴れるだろう。





 エンジン音を響かせて、車は一路熱川へ。
 喧嘩もするけど、サンジと居ると何故か落ち着く。
 あと少しの旅をサンジが楽しめればいいと思う。サンジが楽しければ、きっと自分も嬉しいだろう。

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2007/3/17UP

大変お待たせして申し訳ありませんでした。
終わりました。

Kei