// 強さとしたたかさ //


イスタンブール市内を歩いている間中、とにかくよく日本語で話しかけられる。
それはもう、うんざりするほどだ。
「日本人ですか?」「今から何処に行くんですか?」「案内しましょうか?」「絨毯見ていきませんか?」
観光地だから仕方ない。
たまに、「イタリア人ですか?」なんて言われて、私のどこをどう見ればイタリア人に見えるんだと、笑いをとろうにも程があると、怒りが込み上げてきて、気分の悪くなるものまである。
そんな中をとにかく、ひたすら無視して、歩く。
声かけてくる人をやっと振り切れたと思ったら、今度は靴磨きの坊やがやってくる。
その坊やをやっとの思いで振り切れたと思ったら、今度は、絨毯屋さんの勧誘の声が飛んでくる。
そんなわけで、なかなか道をまっすぐに歩けない。
ある時は、振り切れずに、とっさに入った所がレストランで、飲みたくもないチャイを飲むはめになってしまったこともある。

それに、よく法外な値段をふっかけられる。
レストランで食事をして、出てきてから、計算してみると、どうして水がこんなに高いんだ!!
...なんて後の祭りである。
同じトルコ人同士でも、ふっかけられる事はよくあることのようで、観光客の私がふっかけられても、それはそれであたりまえのような。。。
ホテルに入っても、レセプションの人にツアーの勧誘をされる。
もちろん、そんな高いツアーには参加できないのでフムフムと聞いてるだけだけど、おかげで土地感ができたというか、大体の見所はつかめたというか。
ホテルの中にインフォメーションセンターがあるようなもの。これはこれでありがたかった。
しかし、チェックアウト時の精算では、サービス料やら、なにやかやと、最初に言ってた宿泊料よりだいぶ高いことを言われる。
「いや、それは聞いてない」と、必死で反撃。
しかし、頭の中をフル回転させて計算していると、宿泊日数は確かに4泊なのに、何故か3泊の計算をしている。
うーん、これはおかしいな、と黙り込んで考えてると、私がまだしつこくしぶってると見たのだろう。これでどうだ、これだと払えるだろうとばかり、最終的に66US$ を 55US$ までまけてくれた。
別にしぶっていた訳ではなく、このおじさん計算間違いしてるなと考えていただけなのに。。。
それはそれで、得したような。。。
そのホテルの近くに絨毯屋さんがある。
そこには、日本人の女の人が働いていた。
しかし、店員さんがどこの人だろうが、何語を話そうが、高価で買えないものは買えないのだ。
でも、どこに行くにも必ずその絨毯屋さんの前を通らなきゃならない。
私は、その日本人の店員さんから話し掛けられても、いつも通りすがりの挨拶程度の言葉しか交わさなかった。
ある時、両手いっぱいにお土産物を買って帰ってくると、その店員さん、
「あら、買い出し?」 なんて言われてしまった。
失敬な。今日はショッピングの帰りなのに。。。
自分の手元を見ると、新聞紙にくるまれたチャイセットやコロンヤ、エルマチャイが入ったビニールの手提げ袋が2つ、3つ.....これじゃ仕方ないか。
一見 みた目には、やはり買い出しのように見えるんだろう。

そんなこんなで、日本語でしつこく話しかけられたり、勧誘にあったり、ふっかけられたり...通りを歩いていると、毎日同じことの繰り返しだった。
でも、不思議と皆、目が明るい。
詐欺まがいのことで人を騙そうとしたり、とにかくお金を落させようとする人達ばかりなのに、何故か皆サラッと爽やかだ。
話す日本語はこの上なく うさん臭いのに、態度や表情には うさん臭さがない。
そんなふうに思ったのは 私だけだろうか?!
明るく笑って嘘をつく人達を、私はここに来て初めて見た。
いくら執拗に断って邪険にしても、何もなかったかのようにまた明るい笑顔で同じ事を繰り返してくる。
人を騙そうとしていても、罪の意識も何もなく、騙し騙されて というのを楽しんでいるようだ。
私は、通りで出会うそんな人達を見て、強さとしたたかさを感じた。
どんな事をしても生きていかなきゃいけないんだという強さ、少々汚い事をしてもお互いの為になるんだからという、変な思い込みからくる したたかさ。
私が日本で送る杓子定規で図ったような生活、そんなの人生じゃないよと言わんばかりに、皆毎日を楽しんでいるような。。。
やっぱり、そんなふうに思うのは私だけなんだろうか?!





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