// カルチャーショック //


ソフィアの空港に着いて、「さぁ、遂に来たぞブルガリア!!」なんて思ったのも束の間、アレレ...?!
ここは一体どこ??
確かに私はチューリヒの空港から飛行機に乗ってここまで来たのだから、当然ここは国際空港のはず。
しかし目の前にあるのは、どこかの鉄道駅かバスの待合室のように見える。
何故か木造建築のような趣で、入って左手にちっちゃな、ちっちゃな両替所、ここはビザの発行も兼ねているらしい。そういえば、レート表もなかったような...。
ちょっと、出鼻をくじかれたような気分だった。
でも、ロシアでも空港は鉄道駅みたいだったし、別にびっくりすることもないだろうということで、なんとか出鼻を立て直し、入国審査の列に並ぶ.......というより、飛行機のタラップを降りて、ドアを開けたらすぐ入国審査のブースで、気がついたら自分もその列の中に入っていたという感じか。
どこからか、日本語が聞こえてくる。
前の方に日本のパスポートを持って並んでるビジネスマン風の人が、携帯電話で仕事の打ち合わせをしていた。その姿は、いつもよく見ている光景なのだが、なぜかここの場所には、しっくり溶け込まないように見えた。 あまりにこじんまりとしすぎた空港だったせいだろうか。

まずは空港からバスで市内のホテルへ向かう。
なにやらブルガリアンアーミーのパレードとかで、ツァール・オスボボティテル通りは、車両通行止めになっていた。
「うわぁ、すごいすごい。感激!!」なんて思いながら、そのパレードを見るのに夢中になりすぎて、気がついたらもう一時間半か二時間近くもたっていた。
急いでホテルに向かってチェックインし、まずはバルカンツーリストに行ってみようと、散歩ついでの体慣らしに街に出てみた。
オヤオヤ...。何か違う。街を歩きながら、その言葉が頭の中でグルグルとまわりはじめた。
ヨーロッパ風なものを想像して、ここブルガリアに来たのだが、それとは違ってなぜかロシア的なものを感じた。それは想像していたような明るく華やかな街ではなかった。
広すぎる通り、大きすぎる建物や像、街を彩るには少なすぎる色、早足で歩く人達...すべてに表現しきれないような威圧感を感じた。
寒く外は小雨が降っていたせいか、まるで周辺諸国の発展からポツンとひとつ、取り残されたかのような雰囲気だった。

前日行ったバルカンツーリストが閉まっていたため、今日は朝一番に行ってみることにした。
カウンターには、チェドックやイブスのように英語の話せる若い綺麗なおねえさんが座っていて、いろんな国から来た旅行者の人達がたくさん集まっていて、さぞや賑わってるんだろうなぁなんて思っていた私は、一歩中に入って、唖然としてしまった。
「こっ、ここはバルカンツーリストですよねっ」というのが私の開口一番の言葉だった。
営業してるのかしてないのかわからないくらい閑散としていて、カウンターには太ったおばさんが一人、そして奥にもう一人おばさん、そして私。そこにいるのはその3人だけだった。
日本を出発する前に、ソフィア発イスタンブール行きのバスが毎日出ているかというのを確認するため、電話をいれた時「オー、ジャパーン!!」なんて感激しながら対応してくれた人の声は高く、若かったものだから、私はてっきり、若いおねえさんだとばかり想像していたのだ。
ここに来て英語で私に対応してくれるのは今、目の前にいるこの太ったおばさんだけだった。
あらら、あの声の主は、このおばさんだったのか。。。
民営化に伴い、元国営のツーリスビューローは、やはり下火になってきてるのか、などとごちゃごちゃ考えながら.....まっ、まっ、まっいいかぁなんて思い、用事を済ませ、帰ろうとした時、そのおばさんがカウンターから外に出てきて、私を部屋の角のほうに押し出して、このおばさん私に何の用事があるんだろうと思いきや、大阪の近所のおばさんが「ちょっとちょっと、ねえちゃん、ええ話しあるねんけど」と小声で耳打ちするかのごとく、「いいプライベートルームがあるんだけど、どう?!安くしとくから。」なんて言い出されてしまった。おばさん何もここまで押し出して耳打ちしなくても、さっきおばさんが座ってた担当のカウンターには、大きな文字で"Private Room"って書いてあるじゃない。
もうおかしくて、おかしくて、「おばさん1人、儲けようとしてるんじゃないの?」なんて、私もいやらしい目付きで笑いこけてしまった。
そこには、確かに私がイメージする、太ったしっかり者の東欧のおばさんがいた。
後で知ったのだが、ビトシャ通りにも、バルカンツーリストのオフィスがあった。
ここは綺麗で、いかにもツーリストビューローという感じだったが、今度またブルガリアに来た時、どっちのオフィスに行くかと聞かれれば、私はやはり、迷わずあの太ったおばさんのいるほうのオフィスに行くだろう。

次は、バス会社のオフィスにベリコ・タルノボ行きのチケットを買いに行くことにした。
が、捜しても捜しても、そのオフィスがみつからない。
おまけに、ソフィアはどこを歩いても犬、犬、犬。。。
それもただの犬じゃない。とにかくどの犬もバカデカイ。犬が恐い私は、とにかく遠回りをして遠回りをしてそのオフィスを捜そうとするが、どこを歩いても犬、犬、犬の集団。。。
もう泣きべそ状態だ。こんなに犬が多いとは思ってもみなかった。
でも、なぜかどの犬も弱っている。
元気にキャッキャッとこちらに走り寄ってくるような犬は一匹もいない。
どれも、寝ているのか弱っているのか、歩いているのか這っているのかわからないような犬ばかりだ。
やっとのことで、さっきからグルグルまわっていたなか、もしかしたらあれ?なんて思いながら、目をこすって今度はしっかり見てみると、やはりその建物がバス会社のオフィスだった。
ガイドブックにはバス会社本社オフィスとあったので、それらしい建物ばかりを捜していたが、看板を見ると確かにその会社の文字が...。
ここでもまたカルチャーショック。
オフィスというより、パチンコ屋さんの景品交換所のような小さな小さな小屋だった。
結局そこでは、ベリコ・タルノボ行きの明日朝8時のバスはないと断られ、トボトボと帰る始末だった。

とにかくここは、おもしろいくらいに期待を裏切ってくれる所だった。





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