高校時代の友達Rが遊びに来た。
ピザ食べてワイン飲んで楽しかった。

Rは、高校時代の不思議な夢の中で最後まで一緒にいた友達なんだ。
だから、久々にRと会って、あの夢を思い出してしまった。
実は最近、あの夢の女性にとても似ているヒトに出会った。
それは鏡の中の自分。
眼鏡をはずし、ボーっとした視界で姿見に映った自分を見てドキッとしたんだ。
肩まで伸びた髪、大人の私。
高校生の頃、夢で見た、あの光の中のヒトとそっくりだった。
確かにあれは、夢で感じたとおり「私」だったのかもしれない。
顔など細かに覚えているわけではないけれど雰囲気はそっくりだ。
本当にあれは、私だったんだと感じ、
軽いめまいとともに衝撃を受けた。

なぜ、高校生の私は夢の中で未来の私に出会ったのか。
夢の中でRから無理矢理引き離され、黒々と広いトンネルをとおり抜け、
まばゆいばかりの白い光の中に滑り上がった瞬間、
すれ違おうとした白い服を着た大人の女性。上半身しか見えなかった女性。
私だ!
と感じたとたんに金縛りになった。

あの夢の私は、近い将来の私だ。
確信する。

近い将来の私がなぜ、高校生の私の夢に出てきたのか。
なぜ、白い光に包まれていたのか。
すれ違おうとしたと言うことは、あの暗いトンネルに向かって降りていこうとしていたのか。

私は近い将来死ぬのか。

それとも、近い将来、幽体離脱の実験かなにかをして
私は高校生の自分に会いに行こうとでもするのだろうか。
何のために?
幼い私を怖がらせて。
そんなことを、私が近い将来にするだろうか?

近い将来の私が幼い私に会う。
どういうことだろう。

死ぬ?

未知への恐怖。
未来は知りたくない。
知りたくない。

もう一つの不思議な夢、
中学生の頃の、暗闇に意識だけが浮いていた夢。
あれは、ずっと、私の前世の記憶だと思っていた。
でも、ちょっと待てよ。もしや…。
私の他の不思議な体験をいろいろ考察してみると、
山羊をはじめとして他の意識と共鳴したと思われることが多くある。

そうだ、あれは、前世の記憶ではなく、あのとき、
あの夢を見たまさにあの時の誰かの意識に
共鳴したのではないか。
詳しくは覚えていないけれど、あの夢を見たのはたぶん中学生の頃。1980年前後。
あの夢で、あの意識が必死になって呼びかけていた男性は20代半ばのようだった。
そうすると…。
あの男性はまだこの世界のどこかに生きているかもしれないんだ!!

なぜそのことにもっと早く気づかなかったのだろう。
もし前世の記憶だったとしたって彼は60代で生きているかもしれないのに、
考えてもみなかった。前世なんて遠い遠い過去のように感じていた。

狭い部屋(たぶん四畳半ぐらい)で机に向かい、
何かを集中して書いていた冴えない男。
必死に呼びかけても気づかなかった、
決して振り返らずに書き続けていたあの若い男。
狂おしく、寂しく、切ない意識はそれでも
呼びかけていた。

その後同じように呼びかけた、雑踏を歩く赤いスカートの女性だって
どこかに生きているはずだ。

彼も彼女も、今、45才前後になり、きっと私の近くのどこかにいる。
きっと。

それにしてもなぜ、なぜ私は中学生の頃、
見たこともないあの大人たちに出会ったのか。
何のために?

あの男性は、あの意識が必死に呼びかけていたあの男性は、
何か知っているのではないか?
あのやるせない意識は誰のものだったのか。
最後にはあきらめ、消えたあの意識は誰のものだったのか。
なぜ、その苦しみを幼い私が体験しなければいけなかったのか。

考えても考えても考えてもわからない。

今、私は何かに近づいている。なんだかわからない。
でも、少し回転が速まりつつある。
加速度をつけて、回り始めている。
何に近づいているのか、わからない。
でも…何かに近づいているんだ。

未来は知りたくない。知るべきじゃない。
私は今日を、今を、心して踏みしめていこう。

大丈夫、大丈夫、大丈夫、BE NATURAL…

(1999.3.31)

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