児童書の世界へ

絵本を読もう 昔話を読もう 児童書を読もう
都会・田舎

アマンダ、勇気をだして!
作/リリアン・ムーア 訳/岡本さゆり 絵/本庄ひさ子(文研出版)
 田舎に住むネズミが都会に遊びに行った後、田舎は恐ろしいと思っていた都会ネズミのアマンダが田舎に遊びに来る。(2002.11)

小学生(中学年頃)から
竜の谷のひみつ
作/大庭桂 絵/カサハラテツロー
 ”夏休み、都会に住む少年「神谷しょう」が、田舎に住むいとこ「神谷あやの」の家に遊びに行く。あやのの家は代々竜神を祀る神社の宮司で、今は祖父がその役を担っている。”
実はここまで読んで、よくある安易な設定だなぁとちょっとげんなりしていました。神にまつわる不思議をウリにした小学生向きの短編がいかに多いことでしょう。主人公の子どもは特別な役割を担った定めの子で、ある日、何か事件が起きたことをきっかけに自ら不思議な力をもっていることに気がつき、その力をして事件を鎮め、自らの定めを知る。その後どうなったかはよくわからない。その手のお決まりの話が本当に多い。
きっとこの本もその手の安易な話だろうと思って読み始めたのですが、意外にも、無意味で浅はかな不思議要素は皆無で、現実的な出来事をめぐる地に足着いた物語でした。都会の深刻な水不足、ダムに沈む運命の山村、そういった舞台設定から読み手に「水」は一体誰のものなのかを考えさせます。都会にだけ住んでいたらわからないこと、田舎だけに住んでいたらわからないことが、両者の子どもが出会いぶつかりあう中で自然に表現され、満足のうちに読み終えました。(2007.1)

児童書の世界へ