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星
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| 龍のきょうだい喧嘩によって、空に裂け目ができてしまい、世の中はその裂け目から降る雹や雨で暗く荒んでしまいました。その裂け目を閉じるために、石から生まれた若者サンが立ち上がり、困難な旅に出ます。
頭に浮かぶ映像や声に出す音の響きががとても美しい本です。思いの外長いし、読むのにもそれなりに時間はかかりますが、読んでいて退屈をする箇所がどこにもありません。繰り返し場面場面がどれも印象的で、ワクワクさせられます。大きな本を縦に使い、見開きいっぱいに描かれた岩山は迫力があり、花に乗った娘がその上から音をたてて降りてくる様には、身が震えるような神秘さがあります。 子どもの言葉より この話の発端である龍の喧嘩の原因は、桃の取り合いです。古来より中国では、桃が霊力をもち、不老長寿の薬効をもつと考えられてきたといいます。個人的にも、あのやわらかな色合い、形、色、香りは女性のやわらかさや神秘性をイメージさせるように思います。日本において桃の節句は女の子の厄よけや健康を祈願するものですし、英雄の桃太郎はまさにその桃から誕生します。 この民話では神にも等しい存在である龍がそういった桃をめぐって争うことにより、世界の均衡が崩れます。そうして、龍は惨めなことに痛い思いだけをして、小さくなっています。何か、現代でも似たようなことがあちこちで起きているようです。 また、そんな風に崩壊してしまった世界を救うことのできる英雄が、石から生まれた若者というのも興味深い設定です。石から生まれたと言えば、やはり中国の孫悟空が頭に浮かびます。どんな逆境にも立ち向かえるだけの人間離れした力をもつ英雄は、やはり人間以外の、自然の力によって生まれた何かである必要があるのでしょう。 古くから伝わる民話は、ただの作り話ではなく、その奥底に計り知れない多くのことを隠し持っているので、知識のある大人にもたいへん興味深く読めます。 |
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| 星のひとみをもつ少女がいた。そのひとみは、真実を見る。
西洋において、魔女が忌み嫌われたのはなぜだろうか。魔女は真実を見、真実を語る。真実を語られると困るのは、一見この現実社会に生きることに成功していると見える人々だ。真実は、表の世界からは見えない。でも、本来ならば誰だって見ているはずなのだ。実は見えているからこそ、見たくない。 この表紙にある絵の淡く深みのある色合いは、まるで魔女の心模様を表しているようで、胸騒ぎと安らぎとが同居しているように感じられる。(2000.) |