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『グリムの昔話』
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相違点等
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『ジプシーのむかしばなし』
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題 名 |
金の毛が三本ある悪魔
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悪魔と太陽は両者共に人の手に負えない力を持つ。
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太陽の王の三本の金髪
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題 名 |
物語りのはじまり | ある貧しいおかみさんが男の子を生んだ。 | 主人公はグリムでは男の子、ジプシーでは王さまである。 | あるところに金持ちでなさけしらずな王様がいた。 | 物語りのはじまり |
王さまが村に来る理由 | なし | ジプシーでは王さまのもつ非人道的な様子を前もって強調する。 | ぱちんこで小鳥をころすのが好きな王さまが、ひとり森の奥へ入ってまよってしまった。 | 王さまが村に来る理由 |
王さまが男の子の家を訪ねる過程 | 王さまが村の人に近頃なにかかわったことはないかとたずねたら、幸運の皮をかぶって生まれた赤ん坊がいたこと、将来王さまの娘と結婚するだろうと言われていることを話したため、腹を立てて家を訪ねる。 | グリムでは生まれた男の子への憎しみをもって家を訪れる。ジプシーでは、何の作意も持たずに偶然たどり着く。 | 王さまは日暮れになってやっとみつけたまずしいジプシーの小屋で道をたずねる。 | 王さまが男の子の家を訪ねる過程 |
男の子が生まれた日のできごと | なし | 王さまが家に泊まっていた。王さまの妃も同じ日に娘を出産した。三人の女が将来を決めた。 | 男の子が生まれた日のできごと | |
誰が男の子の将来を決めたか。 | 予言する人があった。 | グリムでは、誰かが予言したという話だけで、本当にそうなるかはわからない。ジプシーでは人とは思われぬ3人の女が将来を決定、将来はほぼ確定したと考えられる。 |
白いながいきものをきた三人の女が将来を決めた。 | 誰が男の子の将来を決めたか。 |
将来どうなることが予測されるか。 | 生まれたときに幸運の皮をかぶっていたので、この子は十四才になったら王さまの娘と結婚するだろうと予言する人があった。 | どちらも男の子は幸運を約束されている。 ジプシーでは波瀾万丈な人生になることも予測される。 |
三人の女のうち、一人目は不幸せを送り、二人目はどんな災難もみんな良いことに変わるようにし、三人目が王さまの娘と結婚することに決めた。 | 将来どうなることが予測されるか。 |
男の子の将来を知っている人 | 両親を含めた村の人々。 | グリムでは公になっているが、ジプシーではのぞき見をしていた王さま以外、誰も知らない。 | 王さまのみ。両親は知らない。 | 男の子の将来を知っている人 |
王さまが殺害を決めた時。 | 幸運の皮をかぶった子どもの誕生を聞いた時点。 | ことの成りゆきでふと殺害を思いついたジプシーの王さまに比べ、即断したグリムの王さまの方が残虐さをより強く感じさせる。 | 妻を失ったジプシーが涙ながらに、子どもを育てることができないと訴えた時点。 | 王さまが殺害を決めた時 |
なぜ男の子を殺そうとしたか | ろくでもない結婚相手から自分の娘を守ってやるため。 | ほぼ同義と思われる。 | こんな貧乏なジプシーのむすこに、自分の娘を嫁にやるなんて許せなかったため。 | なぜ男の子を殺そうとしたか |
どのように働きかけたか | あなたたちは貧しいのだから、子どもは私が世話してやろう。 | ほぼ同義と思われる。 | 育てられないならば、私が育ててやろう。 | どのように働きかけたか |
赤ん坊を渡した親の様子。 | 両親ははじめは断ったが、大金を渡され、さらに幸運を約束された子どもだから大丈夫だろうと見知らぬ男に赤ん坊をわたした。 | グリムでは子どもを渡す必然性はないにもかかわらず、大金を渡されると、予言を盾に自分を正当化して子どもを手放す。ジプシーでは必然的に渡さざるを得ない状況にある。 | 生まれたばかりの子を残して妻が死んでしまい、うろたえていたジプシーは王さまに赤ん坊をわたした。 | 赤ん坊をわたした親の様子。 |
なぜ親は悪巧みに気づかないのか。 | 親が相手を王さまだとは知らないため。 | 親は予言について知らないため | なぜ親は悪巧みに気づかないのか。 | |
誰がどのようにして赤ん坊を川に流したか | 王さま自ら赤ん坊を受取り、川の深い淵に馬で乗り付け、箱に入れた赤ん坊を投げ込んだ。 | 自ら手を下すよりも、家来に手を下させる方が残虐性に関しては多少薄れるように思える。 | 王さまは家来のひとりにジプシーといっしょに森の小屋へ行き、赤ん坊を連れてくるようにいいつけた。そして小さな声で耳打ちし、赤ん坊を途中で川へしずめるようにかたく言い渡した。家来は言うとおりにかごにいれた赤ん坊を川の真ん中に捨てた。王さまは家来に褒美を与えた。 | 誰がどのようにして赤ん坊を川に流したか |
王さまが赤ん坊の親にしたこと | 赤ん坊と引き替えに大金を与えた。 | グリムにおいて王は、赤ん坊を殺すために大金を利用したが、ジプシーにおいて赤ん坊は取引の対象ではないため、王は道案内の正当な報酬として親をもてなした。 | 城まで道案内してくれた報酬に、城でもてなした。 | 王さまが赤ん坊の親にしたこと |
赤ん坊はなぜ助かったか | 水車場のせきにひっかかった。 | 川であみをうっていた漁師がみつけた。 | 赤ん坊はなぜ助かったか | |
誰がどのようにして赤ん坊を拾ったか | 粉ひき職人が宝が入っているかもしれないと手かぎで引き寄せた。 | グリムでは赤ん坊と知らずに拾い、拾った人は興味を持たなかった。ジプシーでは赤ん坊と知って喜んで拾った。 | 漁師が赤ん坊のねむっているかごをみつけて拾い上げた | 誰がどのようにして赤ん坊を拾ったか |
誰がなぜ育てたか | 粉屋の親方には子どもがなかったので、粉ひき職人が連れてきた赤ん坊を神様のさずかりものだといって大切い育てた。 | 動機は同様。 | ひろった漁師の夫婦には前から欲しかったのに子どもがいなかったので赤ん坊に名前をつけ、我が子のように大事に育てた。 | 誰がなぜ育てたか |
どのように育ったか | 何一つ欠点のない立派な若者。 | 同様 | 美しい若者。 | どのように育ったか |
王さまとの再会 | 嵐をさけて王さまが水車場にやってきた。 | 若者が魚を市場へ売りに行ったとき、王さまがぱちんこで鳥をしとめに来た。 | ||
なぜあの赤ん坊だとわかったか | 王さまが親方夫婦にこの背の高い若者は息子かと尋ねた。 | どちらも唐突な印象を受けるが、粉屋や漁師にしては不釣り合いなほど立派な若者だったということだろう。 | 若者を見た王さまはわざわざ漁師の小屋へ行き、あの美しい若者は息子かと尋ねた。 | なぜあの赤ん坊だとわかったか |
王はどうしたか | 若者に妃にあてた手紙を届けさせた。 | 若者に妃にあてた手紙を届けさせた。 | 王はどうしたか | |
育て親はどうしたか | 夫婦は金貨を二枚もらい、若者に支度をさせた。 | 重要な役目をいただいた漁師は喜んで承知した。 | 育て親はどうしたか | |
手紙の内容 | 手紙を持ってきた若者を殺して埋めるように。すべて自分が帰る前に済ませること。 | 手紙を持ってきた若者を殺すように。殺さないと我々が殺される。 | 手紙の内容 | |
城に行く途中、何が起こるか。 | 道に迷い大きな森で小さな家に行く。そこは盗賊の家であった。 | よく知った道なのに、どうしたことかぐるぐるまわって森に迷い込んでしまうと、白いきものをきた女が突然現れて家につれていく。 | 城に行く途中、何が起こるか。 | |
手紙が入れ替わる方法 | 疲れ切った若者が寝た隙に盗賊が帰ってきて手紙を開封。盗賊達は若者をかわいそうに思い、手紙を書き換える。 | 若者は、家につくと魔法にかかったかのようにぐっすり寝込んでしまう。その間に女が手紙を入れ替えた。 | 手紙が入れ替わる方法 | |
書き換えた内容 | 若者を直ちに姫と結婚させるように。 | 若者を直ちに姫と結婚させるように。書き換えたのみならず、王の筆跡で、王の印をした。 | 書き換えた内容 | |
妃と姫の対応 | 妃は手紙に従い、姫は喜んで結婚。 | 同様 | 妃は手紙に従い、姫は喜んで結婚。 | 妃と姫の対応 |
王の対応 | 手紙を見てすり替えられたことを知り、若者にわけをきいた。 | 手紙を見て驚き、若者にわけをきいた。 | 王の対応 | |