home児童書の世界へ

絵本を読もう 昔話を読もう 児童書を読もう

プレゼントに最適!赤ちゃんへのプレゼントに最適!
幼児(2歳頃)より(もちろん大人まで)
お月さん舟でおでかけなされ
うた/神沢利子 絵/赤羽末吉(童心社)
 うたは意味がわからずともくちずさむのに心地良いリズムで、むしゃむしゃと言葉を食べる2歳前後の子どもたちには、たいへん楽しいものとなるだろう。読み手にとっても、繰り返し声に出して読むのが心地よい絵本です。絵は和紙を使ったちぎり絵で、やわらかな中に、力強さがみなぎり、広大な空間をも感じさせる。

子どもの言葉より
「これ、意味はわからないけれど、絵がいいねぇ」中三娘
「こういうのは好きじゃない」中一息子
(なるほど、中学生の息子には今ひとつ興味がわかないようです)

プレゼントに最適!一家に一冊必需絵本!
まだ言葉を知らない赤ちゃんより(もちろん大人まで)
おやすみなさいおつきさま
作/M.W.ブラウン 絵/C.ハード 訳/せたていじ(評論社)
夜、寝る前に読む本。まだ眠りたくないうさぎの子を、月が窓の外で見守っています。
 この本を読んでもらいながら、こども達はうさぎの子と同じように安心して眠りに入っていくことでしょう。そして、毎晩、繰り返し読んでもらうことでこども達は安心を重ね、生きる原動力をたくわえていくことと思います。1歳の誕生日にプレゼントしたい絵本です。

幼児(4〜5歳頃)より(もちろん大人まで)
月のみずうみ
作/イワン=ガンチェフ 訳/岡しのぶ(偕成社)
 美しい宝石がある月のみずうみの場所を知っている人は、この世で一人しかありませんでした。その男は息子に伝えることなく亡くなり、とうとうこの世でその場所を知る者はなくなってしまいました。偶然その場所を知った息子のボルカは、王さまに脅されてその場所へと案内します。しかしそのみずうみにはひとつの秘密があったのです。

 温度と質量をリアルに感じさせるイワン=ガンチェフの絵に惹かれます。人知れず存在する月のみずうみに至る道には、ひとつひとつ異なった質感をもつ大きな岩山が連なります。男の飼う羊たちはほかほかの暖かさと重さを感じさせ、岩山は痛いほどの冷たさと重さを感じさせます。こども達はきっとそういった温度や質量を、目で見ることによって肌で感じる体験を楽しみながら読むことでしょう。

 この本を読んで感じるところはいろいろありましたが、その中でも、所有する必要のない者が、欲から所有しょうとして身を滅ぼす様にはヒヤリとさせられました。自分が手に入れようとする「もの」が、果たして本当に自分が所有するべきものなのか、今までつきつめて考えたことはありませんでした。所有すべき者を「もの」自身が選ぶ。そんな発想はしたことがありませんでした。その「もの」は、誰に所有されることがよいのか、その「もの」を本当に必要としているのは誰なのか、私が所有する「もの」ひとつひとつについて、ひとつひとつちゃんと考えてみようと思います。「(2006.9)

つきよ
作・絵/長新太(教育画報)
 たぬきくんが見るおつきさまは、なにやら妖しく楽しげです。今日、あなたの見るおつきさまは、どんな様子ですか?

つきよのかいじゅう
作・絵/長新太(偕成出版)
 月の明るい夜には、何か不思議なことが起こってもおかしくない気がします。湖に現れるかいじゅうの正体は...? 長新太氏特有のシュールな世界です。ラベルのボレロをバックミュージックに読んでみるといいかもしれません。

どこへいったの、お月さま
作・絵/フランク・アッシュ 訳/山口文生(評論社)
 お月さまとクマくんでかくれんぼ。お月さまにみつかってしまったクマくん、今度はお月さまをさがします。雲に隠れてしまったお月さまを森のみんなでさがします。

かじってみたいな、お月さま
作・絵/フランク・アッシュ 訳/わたなべしげお(福音館書店)
 月に行こうとロケットをつくり、ロケットの中で冬眠してしまったクマくん。起きたらあたりは見慣れぬ風景。きっとお月様に着いたんだ、とクマくんはお月さまをたべてみます。「ちがうよ雪だよ(娘小2)」「プリンだったんだよね(息子5歳)」

ぼく、お月さまとはなしたよ
作・絵/フランク・アッシュ 訳/山口文生(福音館書店)
 何にもなくていい。あなたさえいてくれれば。

14ひきのあきまつり
作・絵/いわむらかずお(童心社)
 14ひきシリーズのお月見バージョン。家族みんなでお月見の準備に大忙し。木の上にみんなで上がると、大きな大きなそれは大きなお月様がのぼってきます。

つきよのかっせんA RIDDLE CONTEST IN THE MOONLIGHT
作/富安陽子 絵/二俣鋭五郎(福音館書店)
 月夜になぞなぞ勝負です。

つきのぼうや
作・絵/イブ・スパング・オルセン 訳/やまのうちきよこ(福音館書店)
 お月様は、下を見下ろしていてステキな月をみつけます。つきのぼうやにとってきてもらったお友達の月をみて、「なんとりっぱでうつくしいかただろう」お月様はうっとりとみつめ、語りかけます。

まんげつのよるまでまちなさい
作/マーガレット・ワイズ・ブラウン 絵/ガース・ウィリアムズ 訳/まつおかきょうこ(ペンギン社)
 待って待って待って、まだまだまだまだ待たされて、もう来ないんじゃないかと思うほど待ったのちに、とうとう満月の夜を迎えます。

つきよのおんがくかい The Moonlight Jomsession
作/山下洋輔 絵/柚木沙弥郎 構成/秦好史郎(福音館書店)
 ガンガンキャンキャンガリフレゴレウイシャバドビドビドビドビドビドビドビ…この本を読むと、我が家ではしばらくの間、言葉がなくなります。そして、やたらとにぎやかになる。シャバドビドンドンドコドンカンカンキャンキャンシャカシャカドゥビー! 子どもたちの声のセッションは夜遅くまで続きます。空では月が煌々と照っていて、私はベランダで洗濯物を干しながら、布団の中のセッションに耳を傾けステップを踏んでいました。

プレゼントに最適!プレゼントに最適!
愛する人へ
みみずくとねこのミミー
作/エドワード・リア 絵/バーバラ・クーニー 訳/
くどうゆきお(ほるぷ出版)
 ねこのミミーは、なかよしのみみずくさんとボートにのって海に出ます。海の波と、夜空の星と、ギターの音色と、静かな時の流れ。「最後の見開きの絵が気に入ったから」と、娘が借りてきました。私も同感。線画と、たった3色のべた塗りで、どうしてこうも世界の広がりを感じさせるのでしょう。涙がでてくるくらい大好きな絵です。絶版なので、図書館でしか見られないのが残念。
絶版本を投票で復刊!

月にあいにいったアギサ THE BOY WHO MEETS THE MOON
文/伊藤比呂美 絵/斎藤隆夫 (福音館書店)
 満ち欠けする月は、古代から不思議の対象だったことでしょう。月の正体を知りたいがために、少年アギサはカヌーに乗り、月に会いに行きます。パプア・ニューギニアの民話。

つき
作/山田和 (福音館書店かがくのとも)
 小さい頃から楽しめる科学絵本です。写真と文で構成されています。絵本の場合、写真よりも絵の方が訴えてくる力が強いように思うのですが、この本は写真が叙情的で、しかも構成が確か。文の説明をしっかりとバックアップしています。何気なく見ている月だけれど、月齢によって見える時間と位置が決まっていることを知ったときには驚きました。昭和40年代生まれの私には懐かしさの感じられる写真ばかりで、都会に住む人の生活に、辛うじて月が参加していた最後の時代だったかもしれないと思わされました。

プレゼントに最適!一家に一冊必需絵本!
4〜5歳のお友達から(もちろん大人まで)
ソリちゃんのチュソク
作・絵/イ・オクベ 訳/みせけい (セーラー出版)
 韓国の「チュソク」は、日本の十五夜とお盆をいっしょにしたような行事です。町に暮らすソリちゃんが、田舎のハルモニ(おばあちゃん)の家へ帰省します。
 日本のお盆は新暦で行うようになって、お月様とは無関係になってしまいました。とても残念です。旧暦の15日といえば、そう、日本のお盆だって満月の日の行事だったんですね。昔からの行事はお月様と無関係のものを探す方が難しいくらいです。できれば季節の行事は旧暦でお祝いしたいですね。

おつきさまのとおるみち―お月見のおはなし
作/香山美子 絵/未崎茂樹 (教育画報)
 おつきさまに照らされた道を、きつねのお母さんが走ります。

月おとこ
作・絵/トミー・ウンゲラー 訳/田村隆一 (評論社)
 地球上の人々が楽しそうにしているのを見て、月おとこが流星につかまって地球にやってきました。ところが、月おとこはつかまって牢屋に入れられてしまいます。それでも月おとこならば大丈夫! なぜって、日がたつと月おとこは...。
トミー・ウンゲラーは「すてきな三人組」の作者です。

月へミルクをとりにいったねこ
作/アルフレッド・スメードベルイ 絵/たるいしまこ 訳/ひしきあきらこ (福音館書店)
ミルクがなくて困ってしまったお母さんねこは、月で女の人がミルクの壺を運んでいるのをみつけ、月へミルクをとりに走ります。「これって、月じゃないよねぇ! 娘はいたって現実的です、(5歳頃)

風の子リーニ
作・絵/ベッティーナ・アンゾルゲ 訳/とおやまあきこ (ベネッセ)
 不思議なことは、大好きです。

月夜のこどもたち
作/ジャニス・メイ・アドレー 絵/モーリス・センダック 訳/きしだえりこ (講談社)
 月夜の晩、子ども達はうきうきと月明かりに遊びます。 電気が街にあふれる今、月明かりに胸騒ぎを覚えることがないのは、とても、とてもさびしい。

くものこどもたち
作・絵/ジョン・バーニンガム 訳/たにがわしゅんたろう (ほるぷ出版)
子どもの臨死体験のようなものがたり。山から落ちたアルバートは、くものこども達がとなえるおまじないでからだがかるくなり、くものこどもたちと楽しい日々をすごすのですが、そのうち家に帰りたくなってきます。女王様がおまじないで家に戻してくれることになり、お別れパーティーが開かれ、つきおとこもやって来た。こんな風に不思議なお話は、読む子ども達をふわふわと興奮させるよ。

つきあかりのにわで サマータイムソング
作・絵/アイリーン・ハース 訳/わたなげしげお (福音館書店)
絵がやわらかで美しい。読むのではなく、見るだけのための本だと思います。残念ながら、私には最後まで読みきれませんでした。
読む楽しみのために買うならば、洋書をお薦めします。 → A Summertime Song

ネコはなぜ月を見上げているか?「ネコ・猫・ねこ―世界中のネコの昔ばなし」より
作/光吉夏弥 絵/Leonard Shortall(平凡社)
猫はネズミが大嫌い。暇さえあればネズミを追いかけます。かわいそうなネズミを守るために、犬がちょっとした知恵を使いました。そのために猫は月のいい晩、じっと高い空を見上げているのです。(アイルランドの昔話)

月夜の子うさぎ
作・絵/いわむらかずお (クレヨンハウス)
「続きはないの? これでおしまい? さっちゃんはどこにいったの?(6歳息子)」「みんな、どうして草むらに探しに行かないのかな(9歳娘)」結論のわからない物語にこどもたちはとまどい、だまりこんでいました。絵には惹かれるのですが、何かもやもやとしたわだかまりの残る本です。

月へ行った魔術師
作・絵/クリスチーナ・トゥルスカ 訳/矢川澄子(評論社)
悪魔と契約を結んだ魔術師は、たくさんの望みを悪魔にかなえてもらいます。ポーランドのクラコフに1500年頃実在した有名な魔術師バン・トワルドフスキの言い伝え。

小学生(高学年頃)より(もちろん大人まで)
月神の統べる森で
作/たつみや章・絵/東逸子(講談社)
 全四巻のこの大作は、縄文から弥生期へと移行していく日本を舞台に、少年が大人へと成長していくものがたりです。焦りや思い上がり、大人になる過程で誰もが経験するであろう感情をもつ少年に、読む者が感情移入することは容易である。少年に心を重ねて読み進むうちに、読者は、この地に人として生きることの意味を深く問わずにはいられない。さらに、少年が生きたその物語が、最終巻の『裔を継ぐ者』において、次世代に生きる少年へと繋がっていくとき、自らの生きた物語が時空を超えて再び生きる感動を味わうことになる。この世に生きるということは、確実に未来へとバトンを渡していくことであり、何者であっても、過去と無関係に生きることも、未来と無関係に生きることもできないのだ。それを知ることこそが、生きる理由、生きる道を決める起点となるのだろう。

 たつみや章の作品は、どれもが作者自身の強い意図を感じさせる。この作品も例外ではない。物質的な豊かさに反して心の豊かさを失い、生きる支えを欠き、よりどころのない不安定な現代に生きる少年たちに、日本人の古くから持つ自然観や信仰心を正面から投げかけてきた作者の意図は、正確に的を射ている。自らの根元をたどることは、自らの未来が見えない現代に生きるには、非常に強い原動力となるにちがいない。(2004.8)

月にまつわるひとりごと

無意識下への旅

児童書の世界へ