児童書の世界へ

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クジラ・イルカ

ともだちは海のにおい (きみとぼくの本)  E
作/工藤直子 絵/長新太 (理論社)
 「これ、のはらうたの人だよね。前に借りた「ともだちは緑のにおい」と似てるよね。(娘談)」『海のにおい』はくじらといるか、『緑のにおい』はライオンとロバとカタツムリという特徴あるキャラクターが登場します。
 この手の児童書は、もともと大人向けに書かれているのではないだろうか。のんびりとゆるやかな海の時の流れを楽しめるので、時間に追われて疲れ果てた大人には、きっと大きな安心効果があると思います。手元においておきたいと思える一冊。(2003.02)

クジラが浜にあがった朝  S
作/A.コールリッジ 訳/定松正(さ・え・ら書房)
 一人の少年が、打ち上げられたクジラを発見し、そのクジラを海にかえすまでの2日間を描いている。クジラ保護の立場から、クジラが浜に打ち上げられていた場合、どのように対処したらよいかを広く知ってもらいたいために書いた本だということです。
 私たちがそのような現場に居合わせることはまずないとは思うけれど、それらの知識は多くの人が当然のこととして知っていて良いとも思いました。
 ただ、主人公の少年が助けたいと思った一頭のクジラも、違う文化で育った別の少年であったならごちそうだと考えたかもしれないことも、こども達には伝えておきたい。(2002.11)

 クジラを糧として生きるインドネシアの小島に住む少年が、日々の暮らしを生き生きと語る。著者が実際に過ごした島で、出会った人と出来事をもとに少年の目を通して書いたものだ。
 古くから大切に作られてきた船に乗り、命がけでクジラにモリを打ち込む漁師は、村の人々の命をも預かる重大な役目を負っている。そんな漁師になった父を誇らしく思い、自分も漁師への道を選んだ少年。
 誇りをもって働けるということは、自分の存在価値をみいだすことも可能で、そこには生きる喜びが存在するだろう。
 現代の日本ではどうだろうか。手本となる大人は近くに見えず、多種多様な価値観が溢れ、選択肢が多すぎるために自分の未来像が思い描きにくい。誇らしいと思える仕事をみつけることも、自分の存在価値を見いだすことも、至難の業だ。物や情報が溢れていて、何でもできる暮らしが豊かな暮らしなのではなく、不自由や貧しさがあったとしても自分の存在価値を豊かに感じられる暮らしこそが、豊かな暮らしなのだと思わされる。
 少年と同年代の息子は、少年の暮らしを自分と重ね合わせ、感じることがあっただろうか。(2003.11)

むらいちばんのりょうしアイパナナ アジアエスキモーの昔話
再話/V・グロツェル&G・スネギリョフ 絵/高頭祥八 訳/松谷さやか
(福音館書店)
 本当はくじらつかまえてほしくないんだ…。くじらの好きな娘(小2頃)。最終ページの肉を前にしたネズミ達、お母さんは怒っているみたいで子供達は舞っているよう。彼らがいったい何を話しているのか気にする娘と息子です。生きるということは食べること。食べるということは、命をいただくということ。そんな当たり前のことも、スーパーでの買い物では実感できません。狩りに出ることも漁に出ることもできそうにない私は、ベランダのプランターで野菜を収穫することで体感したいと思います。

りえの海の旅
作/武鹿悦子 訳/牧野鈴子(小峰書店)
 海で遊んでいたりえはイルカと出会い、海の旅へとでかけます。ザトウクジラの歌、人魚の森、ずーっとずーっと昔のことを思い出す旅へ。(2001)

ゾウとクジラがともだちになった日
作/アラン・バルトマン(フランス) 訳/やまなかきよみ(福武書店)
密漁から逃れる陸のゾウと海のクジラが、力を合わせて密漁者を撃退します。

クジラにまつわるひとりごと

Songs Of The Humpback Whale