児童書の世界へ

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王様・女王・王女・王子

 グリム童話 おどる12人のおひめさま 選者S
絵/エロール・ル・カイン 訳/やがわすみこ (ほるぷ出版)
 西洋の細やかで色鮮やかな絵は、見ているだけで楽しめます。だいたいおひめさまが12人もいるのですから、靴やベッドなど、ページをめくるたびに思わず数えてしまいます。こういった作業は、子どもも大好きなのではないでしょうか。(2003.02)

きりの国の王女 ジプシーのむかしばなし=2 選者S
再話/フィツォフスキ 訳/内田莉莎子 絵/堀内誠一(福音館書店)
 夜、寝る前に読みました。娘は読み終わってすぐに声を上げました。「えー! これでお終い? なんかいやだ!」息子も同様に満足いかない様子で「それでコロクルはどうなったわけ?」なるほど、私も同感です。第一話にある「きりの国の王女」は、こうしてこの世に金髪の人が生まれたのですというまとめで終わります。しかし、それまでドキドキしながら追ってきた肝心な登場人物達の物語は中途半端なままなので、読後の気分がおさまりません。
 しかし第二話で十分満足できたようで、読んだ翌朝、起きるとすぐに息子が立て続けに言いました。「あれさ、顔にミルクがついてなかったらきっと大やけどだよね。」「どうして娘は答えを知っていたんだろう。」「きっと四角い鏡にも何か力があって変なことになっちゃうんじゃないかな。」私との受け答えでいろいろと会話が発展し、楽しめました。どうしてだろう、きっとこうじゃないか、次から次へと想像力がかき立てられるお話は、後々まで楽しめますね。(2003.02)

太陽の木の枝 ジプシーのむかしばなし=1 ES
再話/フィツォフスキ訳/内田莉莎子 絵/堀内誠一(福音館書店)
 「太陽の木の枝」、題名を聞くだけで、心のどこかが刺激されて、もう半分むかしばなしの不思議な世界へ連れ込まれたようにウキウキしてきませんか? また、この本の一番最初にあるおはなしは「おはなしのまえのおはなし」と言うのです。ここでまた心のどこかが小さな音を立てませんでしたか? 「太陽の木の枝」という題名だけでうきうきしてこない人でも、この「おはなしのまえのおはなし」を読めば、誰でもすっかりジプシーの世界へと吸い込まれてしまうでしょう。
 むかしばなしを話し始めるまでの導入を自分の技でできない大人でも、この筆力をもってしては確実に子ども達をむかしばなしの世界へ放り込むことが可能です。

ぼくは王さま S
作/寺村輝夫 絵/和田誠(理論社)
 このシリーズは私が子どもの頃に好きだったため、リクエストして借りてきてもらいました。絵本版はこども達によく読んであげていたのですが、私が幼い頃に読んだものとはなにか違う気がしていました。これを読んで納得。やはり絵本版ではなく、この「ぼくは王さま」こそが、私の好きだった王さまシリーズです。王さまはわがままで嘘もつくけれど、素直で心優しいのです。純粋なこどもの姿をよく捉えているなぁと思います。(2002.11)

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