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家出

幼児から
フランシスのいえで
作/ラッセル・ホーバン 絵/リリアン・ホーバン 訳/まつおかきょうこ(好学社)
 家出の絵本といえば、何をおいてもフランシスのいえでです。妹が生まれて、お母さんは妹にかかりっきり。つまらないフランシスは、家出をすることにします。家出の先は食卓の下。両親はそんなフランシスを気遣いながら、さりげなくフランシスのうわさ話をします。それを聞いたフランシスは嬉しくなって、「もしもし」と、おうちに電話をかけるのでした。

 フランシス一家の厳しさと暖かさは親として参考になることばかりなので、我が家でもこども達が幼い頃、「子育てに疲れたらフランシスを読む」のが習慣になっていました。

幼児から
ロージー、いえでをする
作/マリアン・マクドナルド 絵/メリッサ・スイート 訳/まつのまさこ(冨山房)
 赤ちゃんができて、ママは大忙し。お姉ちゃんになったロージーは、赤ちゃんのお世話をしようと一生懸命に働きます。でも、赤ちゃんはなぜだか泥だらけ。ママにしかられてしまいます。悲しくなったロージーは、家出をするのですが...。

 2人のママになったばかりのお母さんは、心身共にぐったりと疲れていることが多いものですが、そんなときに上の子がしでかす突拍子もないことには、どうしても心穏やかでいられません。そんなときに、ロージーのママは無口に仕事に精を出し、しかる労力を使わずに気を静めます。なるほどなぁと思いつつも、私にはなかなかできないことでした。

幼児から
ズッコケ家出大旅行
作/那須正幹 (ポプラ社)
 ズッコケ三人組シリーズの一冊。ご存知小学校六年生のズッコケ三人組が家出をするのですが、行き着いたのは大阪あいりん地区。そこでホームレスの人々とともに1日を過ごします。

 端から見てどんなに小さなことでも、本人にとっては大きな問題だし、家出の原因にもなる。三人の家出のきっかけも、その程度の小さなことだったけれど、行き着いた先があいりん地区というのはよく考えたものだと思います。

 この本の中ではホームレスの問題を、結論を出すまで突き詰めて考えてはいないけれど、こども達がその存在を知るひとつのきっかけとして、とても意味のある取り組みだと思います。

寺山修司の「書を捨てよ、町へ出よう」をチラッと思い出しました。人は若いうちに一度は家を出て、自分の知らない別の世界が存在することを知る必要があるのでしょう。

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