小学一年生、入学おめでとう

そう言いながら、少し心が痛む。
娘も息子も、不安と大きな期待で、興奮しながらその日を迎えた。
近所の○ちゃんも、▲ちゃんも、はりきって学校に向かった。
娘は3日目に、冴えない顔で帰ってきて、手を洗いながら言った。
「ママ、あたしよくわかんない。学校、楽しいのかどうかよくわかんないや」
息子は1日目に、帰宅してぽつりと言った。
「学校、おもしろくなかった。」
大きくふくらんだ風船がシュンとしぼんでしまったようで、悲しかった。
娘が入学する日、入学式を終え、心配になったよ。
はりきって行ったのに、よくわからない話をただ座って延々と聞かされて、楽しいはずがないな。
我慢の一日でしかないな、って。
それから2年がたち、3年目を迎えた娘が、その学校生活の中で楽しいことをみつけて元気に通っている。でも、もしかしたら、ちょっと諦めがはいっているんじゃないかな。

息子は入学3ヶ月目に入り、何気なく家を出ていくけれど、毎日の学校生活の中で、諦める方法を一生懸命模索しているのかな、そんな気がして私は重い気分になってしまいます。
「好きな授業は何?」 そんなお友達からの質問に、ぶっきらぼうに「ない。どうしても答えなくちゃダメって言われたら、体育か粘土。」としか答えられないピカピカがまだまだいっぱい残っている一年生の息子。
お友達と遊び、真っ黒になって傷だらけになって「基地つくったんだよ!」と息弾ませて帰ってくる時の輝きだけが、私を安心させてくれます。(2000.7)

春の運動会練習真っ盛り

娘3年生。
テレビを見ながらいろいろ座り方を変えて
「ママ、体育座りって、背中まっすぐにならないよ。どうしても曲がっちゃう。」
娘がそれに気付いてくれて嬉しかったよ。
以前私が「背中をまっすぐにしていると、元気いっぱいになるんだよ」と話したことを覚えていたんだね。
体育座りは、自分を内に閉じこめる座り方だよね。
先生は、子ども達が静かな方が話しやすいものね。
本当は、子ども達はいつだって、元気いっぱいに外に向かって開かれていて欲しいんだけどな。

息子1年生。
入学して2ヶ月。初めての運動会の練習。
お風呂でシャンプーを流してあげている時、
「ねぇ、どうして命令するのかな。前ならえ! って命令するの。どうしてかな。なおれ! もそうだよ。まえーならえっ!!! なおれっ!!! って命令するんだよ。」
息子にとって初めての経験。他人にするどい命令の言葉をかけられる。
「どうしてだろうね。先生に今度聞いてみてごらん。」
先生はきっと気付かないんだろうね。子どもの頃からずーっとそうだったから。私もね。(2000.6)

初めてのクラス替え

娘3年生。

「ママ、今度のクラス、すごく静か。人数は2年の時よりずーっと多いのに、全然静かなの。
前のクラスがどれだけうるさかったかよくわかったよ。」「今度の先生、きびしいよ。起立、礼、の時ね、ちゃんとできてなかったらできるまで何度もやるんだって。みんながちゃんとできるまでやるの。」「あたし、叱られたことあるのかないのかよくわかんないよ。みんなを叱るんだもん。それでね、できていた人もいます。って言うの。あたしができてたのかできてなかったのかわかんないから、叱られたんだか叱られてないんだかわかんない。」「今度のクラス、男の子と女の子とがすわるんだよ。みんなそうなの。並ぶ時も男と女で別れるんだって。どうしてかな。」

疑問に思うってすごいな。私が小学生の頃、何も疑問に思わなかったことを、私の子ども達は色々疑問に思い、考えている。
そしてね、学校の影響力はすごいな、と思うよ。
娘が1〜2年生の時の担任は、1年生の途中から勇気を持って男女混合名簿を取り入れた。親や同僚の反応は様々で、先生は随分苦労したことと思う。朝礼の並び順も男女混合の背の順で2列、教室の席もくじ引き。呼び方はニックネーム以外は男の子も女の子も「さん」付けにした。それに慣れていたからこそ、3年生になって担任が替わり、男女がきちっと分けられていることに驚いたんだ。男女分けられるのが当然だった私には、絶対に思い浮かべられない疑問だよ。(2000.4)