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竜 ドラゴン 怪獣
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| いわずもがなの名作。小学校入学のお祝いには、迷わずこの3冊セットをお勧めします。できれば毎日少しずつ、読んで聞かせてあげてください。 また、中学校入学、もしくは卒業のお祝いには、英語版Three Tales of My Father's Dragon |
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| 龍のきょうだい喧嘩によって、空に裂け目ができてしまい、世の中はその裂け目から降る雹や雨で暗く荒んでしまいました。その裂け目を閉じるために、石から生まれた若者サンが立ち上がり、困難な旅に出ます。
頭に浮かぶ映像や声に出す音の響きががとても美しい本です。思いの外長いし、読むのにもそれなりに時間はかかりますが、読んでいて退屈をする箇所がどこにもありません。繰り返し場面場面がどれも印象的で、ワクワクさせられます。大きな本を縦に使い、見開きいっぱいに描かれた岩山は迫力があり、花に乗った娘がその上から音をたてて降りてくる様には、身が震えるような神秘さがあります。 子どもの言葉より この話の発端である龍の喧嘩の原因は、桃の取り合いです。古来より中国では、桃が霊力をもち、不老長寿の薬効をもつと考えられてきたといいます。個人的にも、あのやわらかな色合い、形、色、香りは女性のやわらかさや神秘性をイメージさせるように思います。日本において桃の節句は女の子の厄よけや健康を祈願するものですし、英雄の桃太郎はまさにその桃から誕生します。 この民話では神にも等しい存在である龍がそういった桃をめぐって争うことにより、世界の均衡が崩れ、結局は痛い思いだけをした龍が惨めな思いをして小さくなっています。何か、現代でも似たようなことがあちこちで起きているようではありませんか。 また、そんな崩壊した世界を救うことのできる英雄が、石から生まれた若者というのも興味深いです。石から生まれたと言えば、やはり中国の孫悟空が頭に浮かびます。どんな逆境にも立ち向かえるだけの人間離れした力をもつ英雄は、やはり人間以外の、自然の力によって生まれた何かである必要があるのでしょう。 古くから伝わる民話は、ただの作り話ではなく、その奥底に計り知れない多くのことを隠し持っているので、大人でもたいへん興味深く読めます。 |
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| 児童文学ファンタジー大賞の「奨励賞」ということで、大賞ではないからあまり期待せずに読みました。 でも、面白かったです。丑三つ時、少年3人がおっかなびっくりで心霊写真を撮りに行った神社に物語は始まります。結局、幽霊の存在は否定するものの、けやきの木の化身は人間となって登場するという作者の中にある微妙なバランス感覚が魅力です。 登場人物の繋がりや設定でちょっと甘さを感じるところもあるけれど、一人一人がきちんと地に足つけて歩んでいるのはとても好感がもてます。登場人物の栗田さんや特徴のあるちょっと冴えない人々は、みんな作者の分身なのでしょう。皆がそれぞれに重たい過去を背負いながらも、なんとか自分の足で踏ん張って生きています。主人公のシゲルもしかり。しかしシゲルはこの物語の後、明日からの新しい日々をどのように歩んで行くのだろうか。他の登場人物はともかくとして、この物語でのシゲルの人生はまだ始まる以前です。物語が終わり、ようやくもうすぐ産声をあげるのだと予感させられます。 また、けやきの木の化身が、本当は化身ではなくただの人間なのではないかと、最後まで登場人物達に疑わせており、ファンタジーに入りすぎないところも作者の微妙なバランス感覚のたまものでしょう。しかしここまでギリギリにファンタジーから逃れようとするならば、いっそのことファンタジーの世界に入ることを一切せず、「竜の谷のひみつ GENの絵は、表紙は別として、挿し絵がいまひとつだったように思う。いかにも若者の絵といった軽いイメージで、年寄りや、年季の入った物の奥の深さが描けていない。ちょっと残念です。(2007.1) |
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| 泣き虫弱虫で都会の学校に馴染めずに山村留学で林業の村に来た少年が主人公です。ホームステイ先の同級生タツオが兄貴分として引っ張っていってくれるので山の生活にすっかり慣れたようにみえたものの、心の中ではお客様でしかなかった少年が、大雨による山崩れをきっかけに当事者にならざるを得なくなっていきます。そして、河童と出会い「女」と間違えられたことから、とうとう事件の渦中に巻き込まれてしまいます。頼りにしていたタツオとの断絶により、以前の弱虫光太郎に戻ってしまいそうになりますが...。
『ぼくの・稲荷山戦記』『夜の神話』との環境問題三部作のひとつです。この三部作は現代の深刻な環境問題を、日本人が古来からもつアニミズム的感性を刺激することによって訴えかけます。自然から切り離された世界に育ち、人々が信仰心を覚える機会がなくなってしまった昨今、たつみや章の作品は一貫して古来より続く自然と共存する智恵、生きる支えとなる信仰心を問うています。 小学校中学年でこの三部作を読み、高学年以降に古代少数民族を扱う『月神の統べる森で (作者のたつみや章さんは、「有言実行」で活躍していらっしゃる現役熊本市議会議員とのことでビックリ!) 2007.2.5 |
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ドラゴンにまつわるひとりごと