「季節を体いっぱいに感じていた子どもの頃…」
そんなフレーズをきくことがある。
私は、どうだったかしら。
子どもの頃、冬は冬であり、夏は夏であり、春は春であり、秋は秋だった。
冬に春はなく、夏に秋はなく、春に夏はなく、秋に冬はなかった。
季節があることには、気付いていなかった。
思春期に入ると、季節の存在に気付かないほどあわただしく、
時は過ぎていった。
今、初めて季節を感じている。
今年、
夏が終わってしまうのを感じ、あわてる自分に驚いた。
人恋しい季節、秋。
もの思いに耽る秋。
もの悲しい秋。
そんな秋を、初めて体験している。
秋のただ中にいる今、過ぎ去った夏の日と、これから来る寒い冬を感じる。
それが恐怖ではなく、歓びに思える日は来るだろうか。
(2000.10.24)