あぁ、またこのタイトルで書くことになろうとは...。
それは、確か平成11年7月21日(水)の起床後のことだった。
この日は仕事が休みで、いつもどおりお昼すぎまで寝ていたのだ(おっと、いつもは夕方までだった)。
しかし、部屋の温度が結構上がってきていて、もはや起きざるを得ないような状況であったので、仕方なく?起きた。
そこで、おもむろに例の歯医者へTELしたのだ。(別項「ムシ歯」参照)別にあれ以来、歯医者マニアになったわけではない。
実は以前から右上いちばん奥の臼歯、いわゆる”おやしらず”がムシ歯状態になってきており、冷たい飲み物などを口に含んだ時など、
かなりシミていたのだ。それに気づいてからカナリ経過しているが、なかなか「歯医者へ行く」という直接的かつ具体的な行動に出ることなく、
今に至ってしまっているのが現状だ。
そもそも、”おやしらず”を意識し始めたのは平成5〜6年ころで、ちょっと歯に痛みを感じて職場の医務室に行ったときのことだ。
結果的にその時の痛みは”おやしらず”のせいではなかったが、診察をしてくれた女医さんが、「あぁ、”おやしらず”があるねぇ。
抜いちゃおうか?」とおっしゃってくださったのが最初である。
この時は「いや、いや、いや、い、い、い、いいです!!」と、素早く診察台を飛び降りて逃げ帰ってきたが、
特にイカれてない歯を、あのおばちゃんは大根でも引き抜くかの如く荒々しい作業をする様をイメージしてしまったのは言うまでもない。
それ以来、特に痛みがあるワケでもなく、つい最近までは気にしてなかったのだ。
で、なぜあの歯医者にTELしたのか? 特にワケはない。そこしか知らなかったからです。
で、なぜ起きてすぐTELしたのか? それは、1.起きぬけで自己管理意識がピークだったから。2.特にやることがないから。以上。
どちらにしても、いつも「歯医者に行く」という、オレ的にカナリの試練めいたイベントが、常にチラついているのに我慢ならなくなったワケだ。
平常時では、コップにつがれている表面張力作動状態の水をチェックするように、常に水を「歯の状態」と想定し、
こぼれたら「歯医者Go!」とする、というような方程式を巡らして、歯医者へ行く口実を先延ばしにしていたワケだが、
起きぬけで寝ボケているオレは、容易くそのコップの水をこぼせるのであった。起きぬけのオレは決断が早い!!
しかし、その素晴らしき決断も、午後3時頃から東京近郊を襲った激しい雷雨を伴った夕立に、その名のとおり水をさされた。 予約の時刻は午後5時なのに、これでは原チャリで行けない。まったく出鼻をくじかれ、オレの信念も予約キャンセルTELを入れたいほどだ。 しかし、なんとかもちこたえ、雨の中、バスで吉祥寺駅へ向かい、歯医者へと歩いていった。
歯医者はあの時と同じだった。誰も待っている人はいない。オレを待っていたのか?と錯覚してしまう。
早速診察室へ。
診察室には、あの時同様、若い歯科医がマスクと手袋を装着して待っていた。あの時同様、非常に丁寧な方で、別の意味で不安になる。
しかし、幾分余裕が感じられるようになっている気がした(余裕を持てるようになっていると信じたい!!信じさせてくれ!!タノム!!(泣))
で、診察開始。
症状を伝えると、テキパキとした応対で患部を確認、”おやしらず”がムシ歯に侵食されていることが分かると、「抜いたほうが良い」といってくれた。
もともと”おやしらず”はムシ歯になったら抜くものと考えていたことに加え、この歯科医の堂々たる診断が、オレに抜歯即決を促した。
しかし、抜歯それも奥歯最深部となると結構段取りも必要なのかと思って聞いてみると、「スグですヨ」ときたもんだ!!
クーッ、頼もしいゼ!!よっしゃぁ、全てアンタに任した!!とは言わなかったが、「じゃ、お願いします」。
まずは麻酔。注射でチクッってな感じだ。
しばらくして麻酔が効いてくると、いよいよ抜歯だ。かなりドキドキする。いっそのことオレを気絶させて、そのスキにヤッてもらいたい気分だ。
ムシ歯で開いている穴に抜歯器具を引っ掛けて歯科医は引っ張る。
「フンッ、フンッ」
最初は手加減していたようだったが、オレの”おやしらず”が思っていたより強敵であると察知するや、徐々に力が増してくるのが分かった。
オレを気遣ってか、時々休んだりしたり、話し掛けたりしてくれた。
「結構、びっくりしちゃうでしょ」
「はひ(はい)」
かなり力技的な治療であるので、そう思う患者もカナリいるハズだが、オレ的には、いつも丁寧でコシが低いアンタの変わりようの方がビックリだ。
「フンッ、フンッ」
変身状態の歯科医の死闘が再開された。かなり抜けてきたのか、ゴリッ、ゴリッという思い出しただけでもゾッとする感触がした。
そして、遂に歯が抜けた。
加えて、全身から力が抜けた。
抜歯直後はほとんど出血しなかったが、ほどなくして出血しだした。しかし、麻酔のせいで痛みの方は全然ない。
「抜いた歯持っていきます?」
歯科医のイキな計らいにオレは快諾し、抜いた”おやしらず”をもらった。歯は、歯科医の死闘を物語るかの如く、
穴が開いていたところは欠けていた。更に、後で測って分かったが、歯ぐきとの境界から1.5cmも埋まっていたのだった。
確かに歯科医が難渋するワケである。他に、ムシ歯が進行中であること示している箇所なども確認でき、臥薪嘗胆よろしく、
毎日の歯磨きに更に磨きがかかりそうだ。
帰り際にその他諸注意。出血してきた時は紅茶のTEA BAGを噛む。抜歯した後の穴は2、3ヶ月で埋まる。痛みが酷いときは、
処方された痛み止めを飲む。
「痛みって、もんどり打つくらい痛いンですか?」
「人それぞれです。」
「我慢しても良いですか?」
「できたら」
だそうだ。
帰りのバスでは、口をずっと閉じたままだ。なぜなら、どうも出血しているらしく、口の中がそんな感じだったので。
あまり想像したくないが、歯が血だらけというのも、平和な世の中を乱しそうでイヤだ。口の中が赤いのは、
バンパイヤか、歯垢チェックのために赤い薬品を噛み潰している小学生か、オレくらいだ。
さっさと帰って口をすすいで、TEA BAGを噛む。しばらくして吐き出すと、真っ赤だ。あ〜っ、目がくらむぅ。
オレは血が苦手だ。しかし、止まらぬ血に何度もTEA BAGを噛む。
ロクに飯も食う気になれず、TEA BAGだけが消費されていくのだった。誰かTEA BAGくれ。