ビッグX 
巨大化ヒーローのパイオニア
 
  原作 手塚治虫
  東京ムービー制作
  脚本 角田 次郎(つのだじろう)他
  絵コンテ 出崎  統     
  昭和39年8月3日〜
  昭和40年10月4日
  TBS系放送
 
  「ビッグX」
  巨大化するヒーローの 草分け的存在
  但しあまり人気はなかった(爆)
 
<ナチスがらみの秘密兵器>
 
巨匠、手塚治虫の原作。話は第二次世界大戦の最中から始まる。ナチス・ドイツは大戦において3つの強力兵器の開発を目論んでいた。ロケット弾V2号、殺人光線、そして人間の体を鋼鉄・巨大化させる薬、“ビッグX”。ヒットラーに招かれた朝雲博士は共同研究者・エンゲル博士と協力してビッグXの開発を進めるが、戦争に利用されないようにわざと開発を遅らせ、ついに未完成のままベルリンは陥落。朝雲博士とエンゲル博士はドイツ軍の手によって射殺され、関係書類も灰になった。しかし射殺される前に朝雲博士は自分の息子、朝雲しげるに盲腸炎と偽って手術を施し“ビッグX”の秘密が書かれた金属板を埋め込んでいた。
 時は流れて20年後の東京、レントゲンで発見され、手術によってしげるの体から取り出された金属板はドイツ軍の残党、ナチス同盟に奪われる。何しろしげるの奥さんはゲシュタポの訓練を受けてナチス同盟のスパイに育て上げられ、“ビッグX”の秘密を探るためにしげるに接近して結婚していたというのだから気の長い話である。(笑)で、生まれた子供が“ビッグX”の主人公、朝雲 昭。

 ナチス同盟から金属板を取り戻した昭は父の友人、花丸博士の協力を得て“ビッグX”の薬を注射できるシャープと、どんなに大きくなっても身体にフィットする特殊ゴムの服を開発してもらう。
 エンゲル博士の孫ハンス・エンゲルはナチス同盟の盟主となっており、祖父が殺されたのは朝雲博士が“ビッグX”の秘密を盗んで独り占めしたせいだと思い込んで、何が何でも“ビッグX”の秘密を奪おうとする。祖父と同様に射殺された父の遺言で昭はナチス同盟他の悪と戦うという親子3代にわたる因縁のストーリー。
 “ビッグX”になることのできるシャープは目盛りを1にすると注射針が出て、目盛りの量で薬が調節できる。目盛り2では身体は大きくならないが身体の組織が鋼鉄のように強くなる。目盛り3では身体が3倍の大きさ、目盛り4では10倍の大きさ、目盛り5では身体が50倍!!(アニメのオープニングでは20倍)の大きさになる。身長180cmとすると90m、ウルトラマンも真っ青ですな。
 
<アニメでは・・・>
 このシャープ、“超短波マグネット・ペンシル”ということになっていた。特殊な電磁波を出して身体を鋼鉄・巨大化させるという設定だったようだ。さすがに薬物注射によるヒーローではまずいと思ったのだろうか。(笑)他の話は正直に言って、あまり良く覚えていない。しげるの体から金属板を取り出すところや電磁波を浴びて巨大化したネズミと戦う最初の頃はよく覚えているが・・・。
 子供でも分かりやすかった「鉄腕アトム」に比べてナチス・ドイツうんぬん、というのは幼かった私には難しすぎたし、「エイトマン」や「鉄人28号」のようなカッコ良さ、インパクトにも欠けていたように思う。この3つのアニメの翌年というのもタイミングが悪すぎた。当時の子供は皆、それぞれ「エイトマン」派や「鉄人28号」派に別れていたが、「ビッグX」派というのは聞いたことがない。
 説得力も無かったなあ、今にして思えば。だいたい鋼鉄の身体になって関節が動くのか?特殊ゴムの服って数十倍の大きさになったら風船を膨らますようなもので、たとえ着られたとしてもめちゃくちゃ薄くなって全身ごく薄のス○ン状態では??ヘルメットもゴムだとすると鋼鉄の身体に対し何の意味があるのか?身体にフィットしているわけでもないマントや銃までなんででかくなるんだぁ〜〜〜〜〜!

 そういうわけで、あまり人気のなかった番組だった。まあゴム長靴にゴム手袋ですから。(爆)そうは言ってもウルトラマンやミラーマン、スペクトルマンなど巨大化ヒーローの元祖。身体がずんずん大きくなって、ナチス同盟の開発したV3号というロボットや戦車をぶち壊すところを、一部の疑うことを知らない純粋な子供達はわくわくしながら見ていた。
 主題歌も何か手抜き、っていう感じがした。作詞は「鉄腕アトム」と同じ谷川俊太郎だが、台詞が間に入って1番を繰り返すだけだし。ちなみにうちの高校の校歌の作詞も谷川俊太郎、だからどうなんだと言われても困るが書いているうちに思い出しただけ。(笑)ヤァッーっていう合の手が入るのと、富田勲の曲の軽快なリズム感は結構耳に残った。
 
<手塚治虫って・・・>
 確かに天才、だとは思う。日本の漫画界、アニメ界に与えた影響は(良くも悪くも)計り知れないものがある。よく日本人は大人でも漫画を読むと外国人に馬鹿にされたものだが逆に言えば、それだけ大人でも充分楽しめるくらい質が高かったということだ。その先鞭を担い、漫画を一つの文化として世の中に認知させたのは氏の功績に他ならない。
 惜しむらくは天才過ぎて、その作品が多かったゆえの弊害のようなものを感じるのは私だけだろうか。膨大なアイデアを生み出し、インスタントラーメンを大量消費するように次々に作品を発表したのでは一つの作品を熟考する期間も少なかったのではないかと思う。“ビッグX”ももっとストーリーが洗練されていて、もうちょいかっこ良ければ人気が出たかもしれない。
 
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