きふみ句会抄

               第9回

96年初句会での天は、川柳で俳句に挑戦してきた「六」さんが初の天。

で会員紹介は「六」さん

和歌山のコピーライターの草分け。川柳作家。お酒をこよなく愛し、稼いだお金をすべて和歌山の夜の街「あろち」につぎ込んだ。で、できた句集が「夜の誘蛾灯」コピーライターの重鎮、土屋耕一さんも絶賛の句集。武友正修句集へ

第9回 きふみ会 1996・1・18 於/じだい屋風

天  猫の目で焼蟹食らう夕餉かな         六

地  どか雪や山の先生遅刻して         三椒

人  柚子風呂に首のかたさのほぐれゆく  かめ女

   古時計振子懸命十二月          ふた月

   一月の電波カリカリ君とボク      紀三井寺

   初詣年に一度の氏子かな         けやき

   冬座敷よく似た顔の通夜の客        波路

   海水の冷たさを吐く牡蛎を割る      真梨子

   被災地を北風すっと通り抜け        団地
 

   鷺一羽片足で立つ冬の川
   満月や大の手ひろげし花八手
   柿の実のひとつ残りし冬の空
   生産を忘れし日本冬耕す
   初参り裸電球坂照らす
   吉宗の終いて春待つ桜かな
   凍てるほどその甘さ増す冬菜かな
   ぎこちなく歩く姿も新成人
   雪ぐもの居座っており赤提燈
   セーターの毛玉をとりて母想う
      深き夜の娘の夜食ちんと鳴る
   キスぐらいしとくんだった温室莓
   にぎやかに万両と蘭到来し
   寒ぶりの身を切る海の想い食う
   隅っこにのし飴も詰め初荷かな
   城守る松には菰の卷いてあり
   小寒やたし算あやしくなりにけり
 
 

席題/炬燵

天  ものせがむ足で合図の炬燵中        団地

   ひと冬を炬燵の人と母決めり       ふた月
   炬燵熱し寝返り打ってせり上がる      波路
   初句会炬燵囲みてはずむ声        かめ女
   炬燵辺で小鳥のように子が話し      真梨子
   「切る」と「弱」間がほしや昼炬燵     三椒
   寒椿いよいよ炬燵の人となり         六
   炬燵人チャンネル操作急がしし      けやき
   鼻くそをホジくっている昼炬燵     紀三井寺


 

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