きふみ句会抄
               第8回
95年の忘年会も兼ねた句会。今回の地に選ばれたのは「団地」さん。

で会員紹介は「団地」さん

和歌山市内でデザイン事務所アドライフ主宰。昔の写植機から、今はマッキントッシュでのデザイン処理。俳句歴は長く、始めた頃は、団地住まいだったことからこの俳号。今は市内高松に一戸建のりっぱな事務所兼居宅を建てた。でも俳号は 「団地」のまま。

第8回 きふみ会 1995・11・16 於 田舎茶屋 

天  小春日の母はちいさな人となり     紀三井寺

地  扉をあけるでもなく冬に入る        団地

人  体重をのせて白菜割にけり         朋子

   寄鍋や家族もいつかちりぢりに       三椒

   ゲジゲジと筆を相手に年賀状        沙世

   山茶花やポッポッポッと咲きにけり     正修

   隣行く君に歩合わす星月夜         波路

   土手鍋の葱やわらかく冬来る      こうかい

   日曜日ごとの長雨栗を噛む
   日記買ふ日だけは心新たなり
   すきとおる冬の夕ぐれ影長し
   売出しへ泡立草のまっ黄色
   カキカキのCMよそに柿食う夕べ
   珈琲の美味しと思ふ冬の朝
   クラクションムク鳥とんで冬木立
   紀州富士北斉画めくうろこ雲
   冬雲に自律神経出張す
   ヒヨ啼いてキリキリキリと胃の痛み
   北風にたわむれ遊ぶ落葉かな
   午後十時ポインセチアのレストラン
   落日に燃ゆる欅木の葉に見とれ
   こがらしに雨戸たたかれ猫おびえ
   灯り消え十一月の和歌の浦
   祖母となる友の声揺れる夕紅葉
 

席題/枯葉

天  枯葉ちる枝に小さき芽を残し        三椒
 

枯葉にもみれんたらしい奴もあり    こうかい

仰ぎ見る御仏の手に枯葉降る        朋子

枯葉鳴る坂道汗の心地良し         波路

枯葉舞うジェット機ゆるくカーブする  紀三井寺

ヒューヒューヒュ冬の三階枯葉舞う     正修

枯葉鳴り犬のなき声近づきぬ        沙世

梢より離れし名もなき枯葉なり       団地

 

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