きふみ句会抄

第6回

 
第6回 きふみ会 1995・6・28 於 じだい屋風
 

天  ひまわりに愛し続ける意志があり      まり子

地  歯ぶらしの一本多き夏休み          三椒

人  ハイジャック映す画面に枇杷を剥く     正修
 
 

田代掻き熊野古道は山に沿い        勝司

画用紙に溢れし顔や母の日は        団地

青梅を微笑むように煮ふくめる       智子

冷奴手吹き瑠璃色硝子鉢          朋子

野に遊ぶ童にもどり茱萸ひとつ       波路

夜光虫指よりこぼるる雫にも        幸和

   立夏の月児は神妙に手を引かれ
   毛虫這う昼すぎの町ねむりをり
   すこしだけ傾むきかげん夏帽子
   ゆすらうめ明治の母も老いにけり
   看板の美女しとど濡れ歌麿忌
   汗ばむ日うなじにすこしオーデコロン
   青空を映した空に田植する
   淡紅んではじらいに似し新生姜
      長靴も傘もひと息梅雨晴れ間
   植木鉢色づく桃待つ朝餉かな
   缶蹴りの音響きくる夏至の夕
   緑立つ家に少年の足伸びる
   さくらんぼ盛られて誰の卵かな
   やけた肌さます潮風初夏の海
   生ビール明日のことはまた明日
   はまゆうの蕾涼しき梅雨の雨
   瀬戸大橋どうどうとして霧の海
 

席題/青田

天  大らかに国分寺在り青田原                勝司

   自転車の少女鳥になる青田風        まり子
   昨日より緑深めて青田道            三椒
   故郷の歩めば三歩の青田かな        朋子
   風一瞬ペパーミントの青田かな        智子
   光る波うねりの中の青田道           波路
   見わたせば目にしみいる青田かな            幸和
   早乙女の藍を映して青田かな         正修
   墓まいり母子で歩く青田道           団地
 
 


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