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第5回
今回の席題は春らしく「花」。−夜桜の花びらごとにそっと抱く−の色っぽい句で天をとった幸和さん。会員紹介「こうかい」(幸和)
和歌山駅前と和歌山市駅まえに、居酒屋パブ「じだい屋」を経営。通称マスター。ヨットが好きで愛船「サントロペ」でしょっちゅう航海に。で、この俳号。平日の句会は出席できるが、儲け時の花金は欠席となる。
第5回 きふみ会 1995・3・14 於 じだい屋風きふみ会へ天 潮の香の遠い記憶やあさり汁 朋子
地 はやばやと雛仕舞いたる母ごころ 団地
人 春場所のふれ太鼓の音軽々と 沙世
誘われし香りほのかに梅日和 かめ女
三日月に犬の遠吠え我も吠ゆ 波路
漆黒の波にとびかう春の星 幸和
被災地からさくらめーるの春届き 正修
首かしげ三色すみれのものおもい 智子
枯枝に呼び止められる日暮道 三椒
なつかしき友と出合いぬ春の風 勝司
雪の精舞踊るよにリズミカル 栄理
愛猫の毛づくろいせし陽だまりに
芳しさあたり一面寒造り
うららかな日溜りのなか子等の声
裏庭でひっそり花咲く利休梅
二月三月同じ曜日をくり返す
梅の木に雨水ためて光る枝
春一番つぼみふくらむ桜かな
木蓮の花きわまって雨の家
まっすぐに煙のぼりて梅の春
雛の間のしじまを破り猫けんか
春の宵赤子のごとき猫の声
啓蟄の気配と共に春衣
うす紙を剥すがごとく明り窓
春風に誘われ散歩長くなり
甲高き仔犬や春のまだ浅き
眩しさに目を細めたる春の海
ひな人形おつにすまして主不在
遥々と祖母訪ね来し雛飾る
席題/花天 夜桜の花びらごとにそっと抱く 幸和
風も良し雨もまた良し桜かな 団地
はんなりとうす紅色に桜もち 智子
夢殿を巡りてしだれの桜かな 朋子
三年坂夜の桜はポッと咲き 正修
ほろ酔いで何やら楽し花の宴 かめ女
ポスターの八重歯もかわい花娘 三椒
うっすらと水面に写る夜桜や 栄理
花一輪寒風の中けなげなり 沙世
藤白の有馬皇子の山桜 勝司