きふみ句会抄

第4回

第4回 きふみ会初句会 1995・1・18 於/文鳥二階

天  泪目に負けてかるたの手をはなす   三椒

地  恋ひとつ思案にくれるシクラメン   朋子

人  燗ざましうつらうつらの三ヶ日        沙世

   注連飾終えて心もあらたまり          依子

   初詣帰る石段海光る                  幸和

   文明の脆さ伝えて松の明け      正修

   幼な子に吉凶教える初みくじ          昌幸

   紀の川にユリカモメ舞い初音かな      栄理

   ジェット機の音くぐもりて寒に入る    勝司

   煮炊香が家中に満ち年用意            智子

   初夢を語りて姦し親子かな            波路

   成人の日に口紅の色も濃く            定夫

   犬ころや雪解道を右左
   子等好む屠蘇の中身はワインかな
   マンションのゆらり水面に冬かもめ
   木枯しにかもめ危うし波のうえ
   瞬きやあっという間の寝正月
   時雨るるや竿渡りおりはぐれ鳩
   帆柱のしめなわうれしニューヨット
   福笹の揺れて赤子の笑顔かな
   定年の命寿ぐ賀状くる
   湯豆腐を美味と感じる年になり
   猫がいて手あぶりの上でもちを焼き
   南天の赤い実ぽちりと雪の上
   月明り白い息吐き暖を取る
   商いに活気祈りの宵ゑびす
   実南天色鮮やかに客を待つ
   新年のドカンと太き犬の糞
   庭の池初日にひかる薄氷
   澄きとおる夜空にひかる冬の星
   マフラーに顔を埋めて二日酔
   衣食住すべて炬燵のそばに置き
 

席題/北風

天    北吹いて母への下着買いそろえ     朋子

      北吹いて真近に見える淡路島            波路

   リストラと云う北風の吹き抜ける    三椒

   雲ちぎれ北風うなる床のなか      幸和
   北風に背中おされて模擬試験      沙世
   北風やハタハタハタの売り尽くし    勝司
   北風に負けじと立てり冬木立      智子
   北風が吹いて己が仕事かな       正修
   北風に向いて進む人の波
   北風に立ちすくみし人の群

 

きふみ会へ

Home