|
第二五回 きふみ忘年句会 二〇〇三・十二・十二 於/開
天 おでん鍋二人じたてがうれしくて 団地
地 石蕗の花の写真や自治会報 六
水平に飛び行く木の葉空っ風 三椒
お向ひもたたく音して干布団 ふた月
どの家も黄金長者や蜜柑村 紀三井寺
高野寺の凍てに身をさす読経かな 金山
ビートルズ聞く冬の夜の更けにけり 波路
カレンダー予定入れずに待つ聖夜 松が丘
晩酌は熱燗となり夜のふける おせん
寒風にうつむき急ぐサラリーマン けやき
若いのに負けてはをれぬ吊し柿 六
足早に交わすあいさつ息白し 団地
空見上げ雪待つ人の薄着かな 三椒
短日や公衆電話の薄明り 波路
二次会は地上を離れ年忘れ 紀三井寺
妖怪のごとくにゆれる枯木立 松が丘
電飾でしあわせ競うニュータウン 金山
短日や人身事故のアナウンス ふた月
初雪の淡く消えゆくいさぎよさ おせん
自転車のマフラーなびかせ女学生 けやき
席題/毛皮
天 毛皮着てさて行先を考える 波路
毛皮の熊に睨まれて山の宿 ふた月
毛皮着て着ぶくれですかと鏡見る 金山
憚らず渦中の人よ毛皮着て 紀三井寺
横向きし狐のマフラー母ゆずり 団地
毛皮脱ぐもう一枚も見てみたし 六
昨日まで生きていたのに毛皮かな 三椒
本物の毛皮自慢げ尻尾ふる おせん
着る人にどこか似てくる銀狐 松が丘
ハリウッド胸もあらわに毛皮の波 けやき