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第16回
1年か2年かぶりの「きふみ会」。場所も田舎茶屋さんが改装中のため、駅前の「銀杏」にて開催。当期雑詠では、紀三井寺さんが、小豆で圧勝。満面の笑みの中、愛車の自転車でご帰宅。
で、その「紀三井寺」の紹介イラストレーター。今本格的油絵作品を制作中。西国2番札所「紀三井寺」のそばに住むのでこの俳号。ふた月さんと同じく「狩」の和歌山支部へ入会、めきめき実力を発揮している。始めたころ、席題になやみ、どうしても出来ず「まいりました!」というほど、超まじめ人間。天の常連さん。
第十六回 きふみ会 2000年1月26日 於/銀杏
天 大寒の小豆いよいよ煮えたぎり 紀三井寺地 もう一度せがむかるたのゑひもせず 団地
人 のし飴の人数分を持て余し 波路
まだ夢のひとつやふたつ木の葉髪 ふた月元日や百の階段昇りきり 六
エレベーター女子にかこまれ懐手 三椒
初春の幸福まねく仏手柑 けやき
吉凶は顔で判断初みくじ
恋歌を綴って新年ご挨拶
松飾り門を閉ざして海外へ
パソコンに背を向けて書く年賀状
熱高く待合室の松飾り
福笹を買ひ求めては福顔に
めでたいと「さんさ時雨」や初ラヂオ
白息の笑ひて飛ぶよ通学路
電車待つ余裕の時間ふるへをり
ペン先にチカラを込めて年賀状
亀もいて四天王寺の年の暮
天 映りゐし逆さの山も眠りけり ふた月うかうかと五十路のすぎし山眠る 紀三井寺
大方の予想を裏切り山眠る 六紀ノ川に抱れつつ山眠る 波路
町営の温泉宿や山眠る 三椒
山眠る轟渡る狩の音 けやき
父の背を追い越し山眠る 団地
かりそめの恋に破れて山眠る 泰子