きふみ句会抄

               第13回

今回の席題の天は、いつも会の事務局をお願いしている「泰子」さん。
−紀州路のこくりこくりと小春かな−この句は、その日、紀南の撮影から句会に来る時の情景とか。素直な句に点が入ります。

で会員紹介は「泰子」さん

BBスタジオ専務。社長はビデオカメラマンの夫。小さい体で、会社を切り回す。いつも会の連絡係りをお願いしている。俳句も好きだが、それ以上に、お酒の入った句会の雰囲気が好きなほう。



第13回 きふみ会 1996・11・20 於/田舎茶屋 
 

天  ひとつまみ秋刀魚にうちし赤穂塩     ふた月

地  寒椿しかと承知の酒を汲み          六

人  恋終りピアスの穴の増える秋        波路

   おっぱいの山のふもとの刈田かな     うさぎ

   君の背を見送る夜の神無月        かめ女

   牡猫の首太らせむ寒昂         紀三井寺

   都会ではみんな早足銀杏散る        三椒

   釣りの手を休めて見入るいはし雲    こうかい

   朝夕の日課となりし落葉掃き        団地

   肌恋し君とより添い夜長かな        泰子

   冬の庭小さな花壇になにもなし 
   熟れし柿山鳥のきて無残かな 
   今日のこと地球にまかす星月夜
   加茂川に鴨の二三羽冬日和   
   冬の海別れ話に手をつなぎ   
   霜晴や絵の具のあおと山の赤
   迎えきて吾子と拾うや団栗の実
   遠回りしたくなりそう枯木道
   昂動き又冬が来る真っ直に   
   高速道みかんの里をくぐり抜け
   ささやきは熱き言葉か白き息 
   刈田では野鳥の学校はじまれり
   プラタナス裸となりて意志で立つ
   空深し三日月ひとつ連れ帰る
   生き延びて開かぬ窓に冬の蝿
   紅葉を訪ね歩きて君優し    
   はしっこに鶏頭あそぶ裸畑
   パソコンに呟いている木の葉髪
   知らぬ町乗るたびかわるタクシー代
   日陰にも空青くあり花八ツ手 
 

席題/小春

天  紀州路のこくりこくりと小春かな      泰子

   引越しの荷物まとめて小春かな       三椒
   小春日の母の乳房の丸さかな        団地
   追っかけて窓から逃げる小春         六
   小春日の干したるふとん陽のかほり    かめ女
   影二つ砂場にゆれる小春かな        波路
   尼寺の弥勒に出会ふ小春かな       ふた月
   小春日のかれ草ふるえ池の端      こうかい
   発電の煙ボッソリ小春空        紀三井寺
 
 
 


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