長女はるか誕生 

                    土屋正道

 

はるかなる 宇宙の願い 我がことに 御名を称えて  真に生きん

 

1129日午前 4:46、慈恵医大病院の分娩室にて長女はるかが誕生いたしました。2,916グラム、46センチメートル、予定日より3日早く生まれましたが母子ともに健康です。

大勢の方々よりお祝いを頂戴いたしましてまことにありがとうございました。紙面を借りて厚く御礼申し上げます。

 29日の午前1:00に入院、すぐ陣痛室に入りました。「まあ翌朝までは生まれません。」という宿直医の言葉を信じ、私は車で5分ほどの観智院へ一旦戻ろうと致しました。ところが妻の陣痛の間隔が狭まり出しました。持っていったゴルフボールで腰を強く押したり、「ひー、ひー、ふー」と声を出して呼吸の練習をしていました。

 陣痛とは“お産の痛み”とボンヤリ考えていましたが、子宮が収縮する時の痛みだと知りました。母親の意志とは関係なく、月満ちた時、母体が赤ちゃんを押出そうとする力を発揮するのでした。そしてそれに呼応して赤ちゃんが表に出てこようとする。母親は、いきんで赤ちゃんを押出す。赤ちゃんの頭蓋骨はズレて紡錘型となり、狭い骨盤をすりぬけるために一回転して生まれてくるのでした。何と不思議な営みでしょうか。私たちの理性をこえた宇宙力のお陰で新しい生命が誕生するのです。

 「これは、早まりそうだ。」との診断にそのまま留ることに致しました。我慢ができないとのことで3時間ほどで分娩室へ。教授も到着、おなかをさすっています。しかし正直な話、「まだまだこれから。何時間かかるかわからない。」と思ってのんびり陣痛室で本を読んでいました。暫くしますと「土屋さーん、土屋さーん」と看護婦さんが呼んでいます。「はぁ?」と廊下に出ていきましたら、「おめでとうございます。生まれました。」と取上げたばかりの赤ちゃんを見せてくれました。「さっきの泣き声はこの子だったのか?」さっそく産湯をつかい、抱かせてくれました。「赤ちゃんコンニチハ、いやオハヨウございますだね。ようこそ、宜しく御願いいたします。」そう挨拶したら、初めて何かしら神聖な気持ちになりました。“生命のつながり”とでもいう感覚でしょうか。

 お蔭様で母子ともに健康で退院いたしました。すぐ観智院の御本尊、大悲真生阿弥陀仏に報告感謝の念仏をいたしました。おなかにいるときから木魚、鐘、念仏の声には慣れていたのか、ジッとおとなしく耳を澄ませているようでした。法要後、赤ちゃんを頭上高く差し上げますと、阿弥陀様をジーと見ているように思えました。

 冒頭の歌のように

「はるかな宇宙の本なる願い、阿弥陀 様の本願を自分の願いとして、念仏を称えつつ 真実に生きる“真生の人”になってほしい。」という願いを込めて“はるか”と命名 いたしました。

 夜中に泣きやまず、あやしている時、「はるかちゃんも私も、阿弥陀様によってこの世に遣わされたものである。」そう考えると不思議な感じがいたします。そして私が「泣き止んでほしい」と思い、はるかちゃんは何かしら訴えて泣き止まない。そんな状況がフト楽しくなって参りました。いつまでそんな気持ちでいられるか判りませんが、念仏の中に拝み合って暮せる家族を目指して参ります。正道、由恵、はるかの新しい家族を宜しく御願いいたします。                      合掌