1999年1月、2月、3月
土屋正道
外は雨 師走の市街 渋帯中
水滴流る 窓の落書
第2子の 誕生を待つ 師走の日
16年目 祖母の命日
冷雨降る 期未試験の 放課後に
木に残りおり 柿の実三っつ
ごめんネと 頭を下げる 子は2才
浅きサンゲの 我身を恥じる
事故のため ひさかたぶりの 回り道
街並変わり 月日を偲ぶ
第2子の 誕生控え 年賀状
名前未定で 印刷頼む
水あふれ 少ん早めの 大掃除
階下にもれて おおさわぎする
称名の 声高らかに 法の道
歩みて 目指す 真生の星
大晦日 静まりかえる 青空に
赤白映える 日章旗
タイヤ替え 雪の降る日を 心待ち
都会育ちの 身勝手な冬
父母に カゼをうつして 七草の
頃を過ぎても カユ運びけり
ほのぼのと おでんつつきて 新年会
数年ぶりの 友と語らう
用もなく 電話をくれる 友の声
凍てし心に しみる低音
会者定離 わかっていても 涙わく
自が怠惰を なげき悔めリ
祖母の通夜 涙とまらぬ わが妻の
悲嘆の姿 美しく思う
あなたしか いないと言われ れけもなく
喜ぶ心 恥じて焼香
ドアが開き 走り出る人 上野駅
表情硬し 早春の朝
梅思い 郊外行くも 今日もまた
慕情におわる 通勤列車
世の中は 得速楽が 幅きかす
路ぼうの石に わが身重ねる
学期末 試験監督 眠くなる
音がするのは 紙と空調
ママはどこ 所在を聞きし 幼な児の
不安を思い やさしくさとす