1999.10,11,12                                        土屋正道

 秋の香り

 

シャンプーの 香りなつかし 黒髪の

君の面影 10月10日

入園の 仕度くする秋 七五三

娘のために 休日返上

モクセイの 香りなつかし 学園祭

高校時代 思い出す秋

パソコンの 授業受け持ち とまどいぬ

大切なコト 何かと思う

新しき 僧堂の朝 納豆を

かきまぜ思う 紅葉の女

通勤の 列車侍つ朝 寒くなり

手をポケットに 背中丸める

べランダの 竿のしずくに 秋思う

急に冷えこむ 雨の東京

秋晴れに おにぎりほおばる 昼休み

学校ぬけて 山に行きたし

鳥が食う 赤く熟した 柿の実を

見あげて思う 己が未熟を

お握りの 包装むきに 慣れし我れ

つかの間の昼 無言で過ごす

ポコポコと 湯流れ去る 夜独り

秋の長風呂 妻子を思う

酔いが醍め 冷たいタイル 秋の夜の

風呂独り入り 響く念仏

明日飲むと 約せし友と 眼で笑う

酒好きのサガ あわれに思う

宴はねて 東の空の 満月に

向いて歩む 霜月の寺

法要中 仏思わず 雑念に

沈む時あり さんげ念仏

5時前に まっ暗になる 校庭に

歓声響く 秋の放課後

親族の 悪ロを聞き 怒る我 

愛情棒げる 人を持つ幸