2000,1,2,月

年のはじめ                                    土屋正道

会いに行く ふすまへだてて 泣く幼女

師走のカゼで 寝こむ胸さす

念仏を  称える機会 与えられ

高熱の中 口を動かす

柿を食う 鳥飛びたてり 雲り空

年の初めの 挨拶かわす

ガラス越し 歩く人見る 昼前の

上野のホーム おだやかな冬

コート脱ぐ 茶髪娘を 眺む昼

発車べル鳴り 汽車は北行く

平行な 線路眺めて 君思う

交わらずとも 行先同じ

青列車 夜なべ仕事を なしおえて

昼寝の時か 早春の駅

飛鳥山 早春の陽あび 山茶花の

色鮮やかに 緑陰に映ゆ

駅近く 住みし人の子 思い出す

いくつになるか 年明けにけり

陽光に 輝く自転車 整然と

宇宙の秩序 我に届けん

新都心 人住まぬ街 空中に

輝く橋も 仏の御栄え

みぞれ降る 都心の1月 病院ヘ

妻子迎えに 車をとばす

2000,3月

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