答礼人形と一緒に贈られた手紙
私たちのお使として差上げる可愛いお人形は埼玉生れですから名も秩父嶺玉子と申します。
玉子の郷里は東京のお隣ですけれど海を見ることが出來ません。
そのかはり宮さまの御名にゆかりの秩父嶺がはるかにそびえ、
その山からはそれはそれはきれいな水か湧き出て、
その水が岩にくだけ玉のやうに輝きながら流れてまいりますですから、
此の川の近所は日本でも有名な景色のよい所となって居ります。
玉子は毎朝この水でお顔を洗って居りましたですから、
ご覧下さい、眞珠ののやうにきれいでせう。
平野には小さな丘が波のやうに続いています
畑は皆よく耕されていて、
その間にはあちこちに雑木林があります
埼玉縣の少女たちは戸外の運動が大変すきで、ポールで色々な遊戯を致します
男子にも負けない位です。
出來ることなら玉子と一緒に皆様の所に行って、マッチをしたいと思ふ位です。
皆様からのお便りをお迎へしたのは櫻の花の咲きにほう春の頃でした。
今は丁度菊の花かほる秋です。
菊は我が 皇室の御紋章に迄もなっている位です。
其の花の咲く時にこの玉子を差上げる事が出來るとは、何といふうれしいことでせう。
どうぞ菊の花を愛すとともに、この玉子をも可愛がって下さい。
昭和二年十月十五日
玉子の郷里のお友達を代表して
埼玉縣師範學校附属小學校
尋常科第六學年
内田三保子
おなつかしい
アメリカ皆様へ
原文では、句読点は全くなく、促音も大文字になっていたが、読みやすいように、私が直しました。旧仮名遣いも、原文通りにしましたが、再生できなかったものは一部現代仮名使いに直しました。
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