「染付」と「印判」

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やきものには陶器と磁器があります。磁器は俗に「せともの」(瀬戸物)と呼ばれました。ここに出しているのは、それらの古いものです。

磁器には「染付」と「印判」があります。染付(そめつけ)は、手作業で絵付けされたやきものを指します。呉須(ごす)と呼ばれる主に日本産のコバルト系の絵の具を使って絵付けされました。呉須は焼き上がると青色になります。江戸時代末までの磁器はこの手がほとんどです。
明治時代になると西洋から酸化コバルトが輸入され、磁器はそれを使って絵付けされるようになりました。呉須がさわやかな青であるのに対し、酸化コバルトは濃くハッキリとした青が特徴です。

やきものも明治になると、生産を効率化するために新しい絵付けの技術が導入されます。それが印判(いんばん)と呼ばれる方法でした。
印判は転写という方法で、同じ図柄のやきものを大量に作ることができました。ただし当時は転写も手作業でしたから、現代のやきもののように完全ではありません。それが逆に面白い味として、いまでは人気があります。また、珍しい図柄が多い印判は、コレクターズアイテムとなっています。昔、印判は安物の代名詞で、たたき売りのような状態でしたが、時代が変わったものです。
現在でも一般的には染付の方が高価ですが、珍しい図柄の印判は、素晴らしい染め付けよりもずっと高い値段で取り引きされるものがあります。

やきものに限りませんが、新しいものと古いものを組み合わせて使うと、とてもいい感じになります。わが家の食器はほとんどが古いものを使っていますが、そのなかにデザインのよい新しいやきものを混ぜて使っています。また、磁器ものだけでは色目が似てしまいますので、陶器を混ぜると、とてもいい雰囲気になります。

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