人形の作り方ー2


前回では、素材の作り方を説明しましたが、今回からは、いよいよ人形の作り方を具体的に説明します。


デザインを考える


まずデザインを考える前にすることは、その人形は、どういうイメージなのか、又、その人形にどういう動きをさせたいのかを考えることです。人形は、いわば、役者さんです。その印象一つで作品の雰囲気が、がらっと変わってしまいます。ここは、ひとつセットのデザインと併せてじっくりと考えてから制作に取りかかってください。

デザインと素材


人形の作り方には、二通りあります。
一つは、デザインを先に考えて、それにあった素材を選ぶ方法です。(大体の仕事は、このパターンで、毎回素材選びには苦慮します。)その場合、最終的に選んだ素材で逆に動きが制限されたり、デザインに無理が生じたりしないように慎重に選ぶ必要がありますが、自分の作品の場合は、デザインを練り直す等の裏技を駆使して、なんとか折り合いを付けましょう。(笑)
もう一つの方法は、その逆で、素材を先に、例えば、クレイならクレイと決めて、その特性を生かしたデザインを考えることです。特にクレイは、あまり複雑なフォルムや、華奢な構造等には向かないので、どうしてもコロコロ、プクプクとしたデザインになりがちです。どうしてもそれがいやな場合は、複雑なフォルムの部分は、硬い紙粘土などで作って、頻繁によく動かす部分だけをクレイにする等の工夫をしましょう。


人形のサイズ

デザインが決まったら、次にその人形の大きさを決めて下さい。人形のサイズは、基本的には、自由ですが、背景になるセットや小道具の大きさも考え合わせて決めるようにして下さい。あまり小さいと作りにくい上にアニメーションもしにくく、逆にあまり大きいとセット全体が、大きくなってしまって、自宅では、撮影が難しくなってしまいます。
大体15cm~30cm位の間がいいでしう。縮尺で言うと1/10~1/8位でしょうか。
随分前に、「Dr.かめかめ」(講談社・ビデオ絵本、ぽんぱ)という子供向けの人形アニメのキャラを作ったのですが、これが、1/12のドールハウスの家具のスケールに会わせたので小さいこと小さいこと、毎日泣きながら作った経験があります。よいこのみなさんは、くれぐれもまねしないように(あ、違うか)


人形の構造

デザイン、素材、サイズが決まったら、いよいよ制作に入ります。
まず、初めに、その人形の動きを考えながら、人形全体の骨格の計画を立てます。
ここからは、皆さんに一番馴染みのある人型(猫ですが・・・)の人形を作ることを想定して解説していきたいと思います。

リアルタイプ

クレイタイプ


デザインを決めたら次に正面の絵と側面の絵を描きます。その時に顔の大きさ、手足の取り付け位置等が正面図と側面図でズレないように気をつけて下さい。
次に、その絵の上にトレッシングペーパーを重ねその上から骨格の絵を書き入れます。

 



 


次に骨に当たる部分に何を使うかを決めます。骨になる部分には、いくつかの方法がありますが、代表的なのは、球体関節(ボールジョイント)・ヒューズや鉛です。その他にアルミ線・ネジ止め・磁石等が有りますが、あまり一般的ではありません。
球体関節は、作るのに難しく、それなりの技術と費用が掛かるので、ここではまず、みなさんが、一番使いやすく、初心者でも比較的簡単に作ることの出来る方法としてヒューズを使うことにします。一口にヒューズといっても太さが色々あって、その人形の動く部分や大きさなどによって使い分けます。ヒューズは、関節と違って、どこからでも曲げられるため柔らかい滑らかな動きが出来ます。アメリカや、イギリスなどでは、アルミ線をねじって使うところもありますが、それだとどうしても「もどり」がでてしまって、繊細な動きが出来にくくなるのでお勧めしません。先に言ったように、鉛やヒューズを使うと微妙な動きにも対応でき、柔らかい動きになるので演技に深みが出ます。(の・・・はずです。笑)しかし、このヒューズにも折れやすいと言う欠点があります。
以前H.Pの質問コーナーに「関節がすぐ折れてしまいます。どうしたらいいでしょうか?」というメールがありましたが、答えは、「そーなんです。それは、しょーがないんです。」ということなんですね。ヒューズなどは、「20回曲げたら折れると思え。」と言う有名な格言がありますが(うそうそ)、その通り折れやすいのです。ですから、スペアーのパーツを作っておいたり、ハンダでつないだりと修理しながら使います。始めにヒューズに紙テープ(フラワーテープなども可)をのりで巻いて使うと、多少もちがいいようですが、いずれ折れると言うことは、同じです。


ヒューズ・・・・東急ハンズや、電気店(秋葉原)などで手に入ります。

なまり・・・・・東急ハンズや、」大工センター等でもある程度の太さは、入手可能。
        その他の物は,鉛の専門店で買うしかないが、まとまった量がないと
        売ってくれないこともある。

と言うわけで今回は、ここまで。
次回からは、実際に作りながらもう少し詳しく解説していく予定(?)です。どうぞお楽しみに。
    


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